ココイチの“6辛カレー”を食べると…!?「とび辛システム」開発秘話とかつてのキャッチコピーが大袈裟なワケ

2022年10月21日

“ココイチ”の愛称でおなじみの「カレーハウスCoCo壱番屋」(以下、ココイチ)。国内だけでなく海外展開も積極的に行っており、2013年には“世界で最も大きいカレーレストランのチェーン店”としてギネス世界記録に認定されたカレー専門店チェーンだ。

そんなココイチのサービスの1つである「とび辛システム」をご存知だろうか。辛さのレベルが10段階で設定されており、有料で自分好みの辛さを選択できるというもの。辛いものが好きな人にとっては画期的なシステムだが、そもそもとび辛システムはいつ誕生したのだろうか。また、卓上にある「とび辛スパイス」との違いはあるのだろうか。

今回はココイチを運営する株式会社壱番屋 経営企画室 広報課の森将宏さんに、とび辛システムの開発秘話について聞いた。さらに、それぞれの辛さレベルにつけられていたキャッチコピーも明らかに!

ココイチのカレーと「とび辛スパイス」。あなたは何辛がお気に入り?


実は役割が違う!2つの「とび辛スパイス」

とび辛システムが誕生したのは、ココイチ創業の翌年である1979年頃。創業者の宗次德二氏が考案したサービスで、「辛いのが得意な方もいれば苦手な方もいらっしゃいますので、お客様それぞれの好みや味覚に合わせてご利用いただけるように導入しました」と森さん。当時からパッと見で辛さのレベルが分かるように、「1辛」から「10辛」までランク分けしていたんだとか。では、この辛さはどのようにして作られているのだろうか。

「『とび辛スパイス』は、ブラックペッパーや唐辛子などのスパイスをブレンドしたものです。調理の際は、辛さのレベルに応じて1〜10辛用の計量スプーンでスパイスの量を変えていきます。そしてカレーにもしっかり馴染むように、スパイスにオイルを加え半練り状にし、カレーソースと一緒に加熱して提供しています」

「ポークカレー」の10辛。見た目だとそこまで辛そうに見えないが…

画像は1辛用の計量スプーン。1辛でこの量とは、10辛はやばそうだ


一方、卓上でも「とび辛スパイス」と書かれた調味料を見たことがある人も多いだろう。無料で提供しているので、「タダで辛さが増量できる!」と喜んだユーザーもいるかもしれないが、実は同じ名前でも役割が違うそうだ。

「仮に同じ量の卓上スパイスの粉を振りかけても、1~10辛をご注文いただいた場合とは味わいが異なります。また、卓上のものだけだと舌ざわりがザラッとしてしまうので、あくまで味の微調整用としてご利用いただくことをおすすめしています」

卓上に設置してあるとび辛スパイス


6辛以上は内臓破裂⁉︎かつてのキャッチコピーが大袈裟なワケ

そんなとび辛システムは、かつて辛さのレベルにそれぞれ「キャッチコピー」がついていたそう。今食べている辛さが、過去にどのように宣伝されていたのかを見比べてみるのもおもしろいかもしれない。キャッチコピーは以下の通り。

■各辛さのキャッチコピー一覧 ※現在は使用されていない。
・1辛「口中ボーボー、三口でシャックリ」
・2辛「汗はタラタラ、耳までマッカ」
・3辛「目はパチパチ、十二指腸もビックリ」
・4辛「頭はガンガン、二日酔いもマイッタ」
・5辛「全身ガクガク、三日はケッキン」
・それ以上「内臓破裂、医者の紹介いたします。(過去に5辛を食べた人に限ります)」

ちなみに、6辛以上を注文する際の「過去に5辛を食べた人に限ります」は、現行のシステムでも採用されている公式ルール。中途半端な気持ちではチャレンジできない辛さであることが、ひしひしと伝わってくる。

「もちろん本当にキャッチコピーのようになるわけではなく、お客様が無謀なチャレンジをしないよう注意を促す意味も込めて、ユーモアを込めつつ大袈裟に辛さを伝えるために作った表現です。また、公式サイトにもある通り、辛さのレベルについては1辛を基準に、2辛は約2倍、4辛は約6倍、10辛は約24倍とほどよい辛さから激辛まで幅広くありますので、無理せず自分に合った辛さを選んでくださいね」

かつてのキャッチコピー一覧。右側の「大盛表」の内容も気になる!


組み合わせは12億通り以上!「マイカレー」を楽しもう

創業翌年からとび辛スパイスを提供してきたココイチだが、辛さが苦手な人や小さな子供でもおいしくカレーを食べられるようにと、2015年からは「甘さ」が選択できるようになった。

「これまでは甘口のみでしたが、2015年から『1甘』から『5甘』を追加しました。甘さの秘密はハチミツとフルーツを原材料とした『とろ~り甘くなるソース』という調味料です。また、どのカレーメニューにも対応しておりますので、辛さが苦手な人でも気軽に注文していただけます。ココイチでは普通と甘口、1甘~5甘、1辛~10辛の全17段階のラインナップをご用意していますので、お客様のお気に入りの辛さ・甘さを探していただき、ぜひ『マイカレー』を楽しんでください!」

「やさいカレー」(778円)

「ロースカツカレー」(864円)

やさいカレーにロースカツをトッピング。自由自在な組み合わせが可能だ


ココイチでは、ユーザーの「こんなカレーが食べたい」という声に応えるべく、50種類以上の豊富なトッピングを取り揃えている。さらにカレーソースやご飯の量などを含め、その組み合わせはなんと12億通り以上にものぼるそうだ。

これを機にココイチで、自分だけのお気に入りのカレーを探してみてはいかがだろうか。とび辛システムはもちろん、ほぼ無限と言える自由自在な組み合わせにハマることまちがいなし!

取材・文=西脇章太(にげば企画)

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