累計4億食以上を売り上げた大人気コンビニスイーツはどれ?ローソン「Uchi Café」がヒットしたワケ

2022年10月12日

無数の商品が並ぶコンビニエンスストア(以下、コンビニ)。その限られた商品棚の一角に「スイーツコーナー」ができてどれくらいになるだろうか。この「スイーツコーナー」には、洋菓子専門店も顔負けのケーキや焼き菓子、和菓子などが並び、商品によってはあまりの人気に品切れになるものも。

これらを指して「コンビニスイーツ」と呼称されるほどの主力カテゴリーとなっているが、その草分けとなったのがローソンで展開されている「Uchi Café」だと言われている。今では、新商品を出すとSNSでたちまち話題となるほどの人気コンテンツだ。

今回は株式会社ローソンに取材し、「Uchi Café」がここまでの大ヒットとなった理由を聞いた。

2009年に登場したローソンの「Uchi Café」


累計販売数がスゴイ!ヒットの発端「プレミアムロールケーキ」

「Uchi Café」ブランドが立ち上がったのは2009年。それまでローソンでは、デザート・スイーツ類を購入する顧客の約6割が男性だったというが、デザート・スイーツへの関心が特に高い20〜30代の女性に向けて、コンセプトや商品の開発を行い「Uchi Café SWEETS」としてスタートさせた。

つまり、従来の顧客だけを満足させるためだけではなく、新たなユーザー獲得に向けてのブランド立ち上げだったわけだ。その支持は少しずつ広まっていき、ほかのコンビニチェーンにも影響を与え続け、今日に至る。

ちなみに「Uchi Café」ブランドの大ヒット商品で「コンビニスイーツを浸透させた」とも言われる「Uchi Café」の「プレミアムロールケーキ」は、現在までにシリーズ累計で4億5千万食を販売。数字だけを見れば、日本の人口の数倍となる圧倒的な販売数だ。

爆発的ヒットとなった「Uchi Café」の「プレミアムロールケーキ」(167円)


そのほかにも和洋折衷、数多くのヒット作がある。最近では2019年に販売をスタートして以来、累計8100万食以上を販売した「どらもっち」や、SNSでも話題となり累計2300万食以上を販売した「生ガトーショコラ」などもある。

累計8100万食以上を販売した「どらもっち」(192円)

累計2300万食以上を販売した「生ガトーショコラ」(235円)


鍵となったのは「個食」ニーズへの呼応

ローソンの担当者によれば、「Uchi Café」がヒットを連発する理由の1つは各商品の味のクオリティの高さはもちろん、「変化するお客様のニーズを捉えた商品開発に徹しているからです」と言う。

「たとえばロールケーキは、それまでは家族で食べるような『一本売り』が当たり前で、食べる際も包丁で切り分けてフォークでいただくことが大半でした。これに対し、コンビニには個食を求めるお客様が多く来店されるため、1人前でスプーンで食べられる『プレミアムロールケーキ』を開発しました。もちろん、『プレミアムロールケーキ』はおいしさの面でも徹底した商品開発をしています。それまでのコンビニスイーツでは、使用するクリームを植物性脂肪のホイップクリームにすることが多かったのですが、賞味期限が短い生クリームを採用し、おいしさを追求したことも大好評をいただいた理由だと自負しています。

ほかにも、もちもちの食感の楽しさとホイップクリームの乳味感を増量し、食べた後の満足感を実現させた『どらもっち』や、ワンハンドガトーショコラとして開発した『生ガトーショコラ』も同様で、いずれも“馴染みあるスイーツ”であり、また、コンビニならではの便利さ(食べやすさ)や素材のおいしさにこだわり、ワクワク感や新しさを感じていただけるように開発しています」

「Uchi Café」のヒットの理由は、「個食」「ワンハンド」などのニーズへの呼応

「Uchi Café」の「クリームへのこだわり」の理由とは?


“クリームにこだわる理由”はローソンの出自にアリ?

また、「Uchi Café」ブランドの商品には“クリームへのこだわり”がパッケージに記載されているものがあるが、これにはローソンの出自に関係する思いが込められているという。

「1975年に誕生した日本のローソンですが、もともと1930年代にアメリカ・オハイオ州にできた牛乳販売店『ローソンさんの牛乳屋さん』を発端としたものです。“牛乳屋さん発祥のチェーン”であるからこそ、クリームに対するこだわりを強く持っています。

定番メニューはもちろん、流行の先駆けとなるようなメニューに至るまで、クリームを使うスイーツの場合はいつも良質でおいしいものを採用し、商品に反映させています」

こだわりのクリームの風合いを楽しめる「生カスタードシュークリーム」


2022年秋の新スイーツは「濃厚」「濃密」!

秋はコンビニ各社のスイーツが続々と登場する季節でもあるが、「Uchi Café」からも渾身のスイーツがリリースされる。

「Uchi Café」のロングセラー商品で累計7200万個以上を販売した「バスチー-バスク風チーズケーキ-」の商品開発担当者が作った「濃厚生チーズケーキ」と、構想から3年という長い時間をかけ、満を持して売り出される「濃密カヌレ」の2商品だ。

今秋登場となる「濃厚生チーズケーキ」(248円)

3年という長い時間を費やして開発した「濃密カヌレ」(160円)


この2商品は「濃厚」「濃密」が謳われているが、その名の通り、濃厚かつ贅沢な味わいを楽しむことができる。それでいて後を引かない上品な甘さが魅力で、気軽に本格的なスイーツを求める人にぴったりな商品だ。

「『濃厚生チーズケーキ』は、チーズケーキのトレンドである“とろける食感”と“濃厚な味わい”、“後味の良さ”をテーマに新たに開発したスイーツです。2種類のクリームチーズ、北海道産生クリーム、牛乳、サワークリームを合わせて低温でじっくりと湯煎焼きにすることで、濃厚でありながらもなめらかな舌触りととろける食感、すっきりとした後味をお楽しみいただけます。

『濃密カヌレ』は、牛乳、卵、カヌレ専用のミックス粉、発酵バター、ラム酒、バニラシードなどを配合した生地原料をじっくり寝かせた後、カヌレの型に入れ、長時間じっくりと焼きあげることで外側はカリッと、中はもっちりとした食感が楽しめる商品です。本格的なカヌレに仕上げました」

「Uchi Café」の真骨頂でもあるクリームをふんだんに使った「濃厚生チーズケーキ」

長時間焼き上げることでカヌレの食感を実現した「濃密カヌレ」


新作の「濃厚生チーズケーキ」「濃密カヌレ」の2商品がそうであるように、「Uchi Café」の商品はリーズナブルな点も魅力の1つだが、昨今の原材料高騰などの影響はないのだろうか。

「たしかに物価高が続いていますが、『Uchi Café』の『お買い求めやすい価格で、本格的なスイーツを楽しんでいいただきたい』という思いには変わりなく、これからもお手頃価格を実現させてまいります。『Uchi Café』では今後もホッとしたひと時を楽しめて、お客様にワクワクしていただけるようなスイーツの開発を続けていきたいです」

取材・文・写真=松田義人(deco)

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