2月の定番イベントとして例年盛り上がりを見せる「バレンタインデー」。デパートやコンビニで売られるものだけでなく手作りチョコレート(以下、手作りチョコ)も盛り上がりを見せており、最近ではSNSを中心にバラエティあふれるレシピが投稿され、お店顔負けの本格的なものも増えている。
そして近頃は「女性がチョコレートを渡して好きな男性に思いを伝える」だけではなく、さまざまなコンセプトが生まれており、それに伴ってレシピのバリエーションも多種多様に。では、現在のバレンタインデーのトレンドはどうなっているのだろうか。また、近年のバレンタイン事情はどのように変化しているのか。
このような疑問を解消するべく、今回は株式会社明治(以下、明治) マーケティング本部カカオマーケティング部の杉山詩織さんに話を聞いた。
多様性によって変化しつつあるバレンタインデー事情
バレンタインデーと聞いてどんな情景を思い浮かべるだろうか。中学生や高校生の女子が好きな男子のためにチョコレートを渡す、いわゆる「本命チョコ」、あるいは「義理チョコ」「友チョコ」といったワードを想像する人が多いかもしれない。ところが、時代の流れによりバレンタインデーの価値観が多様化しているという。
「これまでバレンタインデーは“女子が好きな男子にチョコレートを渡す”というのが一般的でした。しかしここ数年、“推し活”が流行したことで大きく変化しつつあります。弊社が行ったバレンタイントレンド把握調査※1によると、多くの方が“推し”が喜びそうなチョコレートを選び、手作りをしてバレンタインを楽しんだことが明らかになりました」
※1 2022年バレンタインSNS分析/分析対象時期:2020年2月1日~2022年2月28日/手法:投稿内容を定量・定性分析/対象:SNS上の投稿(Twitter・Instagram)
また、生活者のバレンタインデー意識を明らかにするために実施したバレンタイントレンド把握調査※2によると、小中高生において“男子同士の友チョコ交換“がほかの世代と比べて活発化していることが判明。さらに10代の間ではチョコレートを「贈答」する以外にも、キャラクターや動物、ファッションにアートと、「チョコレート」というモチーフそのものを楽しむ傾向があるそうだ。
※2 2022年バレンタイントレンド把握調査/時期:2022年2月15日~2022年2月21日/手法:インターネット調査/対象:一都三県在住6-74歳女性(731名)、一都三県在住15-74歳男性(385名)
そのほか、日頃仕事でお世話になっている上司や部下に感謝を込めて贈る「世話チョコ」や、自分へのご褒美である「マイチョコ」と、バレンタインの楽しみ方は多岐に渡る。バレンタインデーにおけるチョコレートの需要は依然として女子中高生が高いようだが、もはや老若男女問わず楽しめるイベントと言える。
今年の手作りチョコは「推しどうぶつチョコ」がトレンド!
そんなZ世代に向けて明治が2023年のバレンタインイベントとして提案するのが、「#推しチョコバレンタイン」。Z世代の間で流行しているTikTokで推しに思いを伝えるハッシュタグチャレンジや「ウマ娘」、「すとぷり」とのコラボレーション企画など、多彩なプロジェクトを実施予定だ。そこで今回は、プログラムの1つである「手作りチョコレート『推しどうぶつチョコ』」のレシピについて聞いた。
「かわいい“どうぶつ”が推しだという方も多いのでは?と考え、弊社の今年イチ推しレシピは、どうぶつを模したかわいいレシピをラインナップしおすすめしております。まず弊社がおすすめするのは、『プチアソートでデコレーション楽々!アニマルチョコマフィン』です。弊社商品の『プチアソート』を活用して、ネコの蝶ネクタイやウサギの耳を再現したりと、豊富なデコレーションが可能なんです。また『プレゼントにも!手作りアニマルチョコ』は、『ミルクチョコレート』『リッチストロベリーチョコレート』『ホワイトチョコレート』の自然な色味が魅力のレシピですね」
コロナ禍でペットブームが訪れたことで、SNSでペット関連の情報を検索・投稿する人が増加した背景を踏まえ、SNSとの相性が良い「動物」を取り入れたそうだ。そして実際に作った写真をTikTokやInstagramに投稿して拡散され、ブームが生まれているのである。また、トレンド以外にも明治社内で話題になっているレシピがあるのだとか。
「『果汁グミで?!お手軽フォンダンショコラ風』をおすすめします。これは弊社の商品である『果汁グミ』を使用したレシピで、本格的なショコラをお手軽かつ低価格で楽しめるとして、弊社内でも“革命的”と言われています。これまでにあるようでなかった新発見のレシピなので、ぜひ一度作ってみてください」
コロナ禍で時期問わず手作りチョコを楽しむ人が急増!
コロナ禍では、おうち時間におけるさまざまな過ごし方が模索された。その1つとして手作りチョコに挑戦した人も多く、それによってインターネットでアレンジレシピを検索する人が急増。そして現在、検索数はコロナ禍のピーク時よりは落ち着いたものの、手作りを楽しむ人はさまざまなアレンジレシピを楽しんでいる。
「コロナ禍をきっかけにチョコレート作りを始められて、今では趣味として定着している方が多くいらっしゃると聞いています。これは、SNSに投稿されているレシピに触れる機会が増えたことが大きな理由かと考えています。ちなみに、弊社ではバレンタインデーやホワイトデーといったイベント以外の時期でもチョコレートを楽しんでいただけるよう、さまざまな商品やレシピを発売・考案しています。ぜひ参考にしていただき、チョコレート作りを楽しんでくださいね」
半世紀以上もの間、季節の風物詩として人々に親しまれてきたバレンタインデー。SNSの普及によって今までになかったアレンジレシピが考案され、今まで以上に手作りチョコを楽しめるようになった。杉山さんは「こうしてお客様が自由に楽しんでくださるのはうれしい限りです。今後も積極的に後押ししていきたいですね!」と語ってくれた。
毎年訪れるバレンタインデー。これまでの概念にとらわれず、チョコレートで意中の相手に思いを伝えるのもよし、家族や仕事仲間に感謝を伝えるのもよし、もちろん1人で楽しむのもよしだ。
取材・文=西脇章太(にげば企画)