一時期から、SNSなどでよく目にするようになった韓国発のビネガードリンク『美酢』(ミチョ)。100%果実発酵の酢から作ったもので、果実の味わいを楽しめることに加え、“健康にはいいが飲みづらい”というイメージがあったお酢をおいしく飲めることもあり、女性を中心にブレイクしている。さらに近年、飲食店ではお酒の割材としても支持されるようになり、「美酢活」といったワードも浸透するなど、絶大な人気を博している。
彗星の如く現れたように思われる『美酢』だが、韓国での誕生から2023年で14年、日本上陸から11年になるのだとか。今回は、販売元であるCJ FOODS JAPANの担当者に話を聞きながら、『美酢』の全貌に迫る。
飲用酢を好む男性ではなく、女性や子供にウケた
『美酢』の販売元・CJ FOODS JAPANは、家庭で韓国料理を作る際に欠かせない『ダシダ』(韓国の牛肉だしの粉末調味料)などを販売するメーカー。“おいしい韓国”をテーマに、日本での小売りも積極的に行っている。
韓国にあるCJ FOODSの本社には「発酵チーム」という部署があり、健康志向が特に高まり始めた2000年代後半より、「飲みにくいお酢をなんとかおいしく飲めないか」と日々研究を重ねていたそうだ。その試行錯誤の結果、果汁をそのまま発酵させるビネガードリンクの開発に成功。従来のお酢よりもマイルドかつフルーティーな『美酢』の完成に至った。
こうして2009年に韓国で発売となった『美酢』だが、当初は韓国焼酎の割材としての支持が高かったと担当者は語る。
「韓国では2009年の発売当初、アルコール提供店で韓国焼酎を飲みやすくするための割材として若年層の消費者から好評でした。2012年に日本に上陸し、最初はコストコのみでの販売をスタートしましたが、それまでの日本市場における飲用酢は、主に40〜50代の男性に好まれていました。しかし、コストコでの試飲や購入を通じ、『美酢』の『お酢特有のツンとした香りが少ない飲みやすさ』が話題となり、20〜30代女性やお子様たちでもおいしく飲めると口コミで知名度が広がっていきました。このご支持を受け、2016年より一般流通経路での販売を始め、現在に至っています」
そして、その支持は今日まで高まり続け、冒頭でも触れた「美酢活」といった現象にも飛躍し、「『美酢』を飲むことで、健康的に過ごす」といった人たちが続出するようになった。
「話題の『腸活』『推し活』『サ活』のように、毎日楽しく美酢を飲み続けることを『美酢活』と呼び、そんな美酢活をする人を応援する会員制ファンクラブ『美酢Beauty Vinegar Club』をオープンしました。SNSなどでハッシュタグ『#美酢活』をつけて投稿していただくとポイントが貯まり、そのポイントを集めるとうれしい特典を入手できるというものです。『#美酢活』で消費者の方々と連動することで、私たちでも想像がつかなかった『美酢』の楽しみ方を拝見することができ、本当にありがたいかぎりです」
実は韓国よりも日本で売れている『美酢』
これらの大ブレイクは、数字にも如実に現れている。2021年度の1年間における希釈タイプの『美酢』の出荷数は2000万本を突破。また、同年『美酢 ざくろ』は「日経POS セレクション ビネガードリンクカテゴリー」で売上1位となった。
この頃、なんと韓国本土よりも日本のほうが売れているということが発覚。当初のメーカーの思惑から、“うれしい誤算”となったという。
こういった絶大な支持・売上を経て、現在の『美酢』ブランドは定番の「希釈タイプ」「ストレートタイプ」のほか、「ゼリータイプ」「アイスタイプ」「サワータイプ」の大きく5カテゴリーを展開。これまで以上にさまざまなシーンで『美酢』を楽しめるようになった。
また、各カテゴリーとも新味の研究にも余念がなく、今後も新フレーバーが登場する予定だという。
「2023年3月には、『希釈タイプ』のオリジナルボトルに新フレーバーとして『グレープフルーツ』が加わり、500ミリリットルの希釈タイプ『美酢プラス』に、『うめ』『りんご』の2種が加わりました。また、『ストレートタイプ』の『美酢ビューティータイム』にも500ミリリットルが加わりました。今後も『美酢』ブランドでは、消費者の方々の声をお聞きしながら、『おいしい(絶対的な商品力)』『楽しい(レシピが豊富)』を守りつつ、カジュアルに習慣化できる商品や味わい方を提案していきたいと思います。さらに、より楽しんで美酢活をしていただけるようなキャンペーンも引き続き行っていきたいと考えています」
フルーツとお酢の力で毎日を美しく!
『美酢』の人気は今も留まることはなく、「美酢活」をきっかけに今後もさらなるブームが巻き起こる勢い十分だが、その絶大な支持の大きな理由は、まず商品自体の斬新さ、おいしさにある。そこにさらに、健康志向の高まりも後押しとなっていることは間違いないだろう。
最後に『美酢』ブランドにかける今後の展望について聞いた。
「『美酢』はブランド全体として、『美しい毎日に、果実のお酢』というスローガンを掲げ、『手軽に無理せず、自分らしく、日常のなかに美酢を取り入れていただきたい』という思いを持っています。『美酢』はこれからも、皆さんのライフスタイルに寄り添った商品開発を続けてまいります。果実の力でおいしく、お酢の力で体のなかを美しく、『美酢活』を今後も多くの方に実践していただければ幸いです」
撮影・文=松田義人(deco)