日本ケロッグ合同会社(以下、日本ケロッグ)から発売されているシリアル「コーンフロスティ」。いわゆる「コーンフレーク」として親しまれており、栄養バランスもよく、朝食の定番というイメージが強い。そんなケロッグのロングセラー商品「コーンフロスティ」に再び注目が集まってきているという。
大人からすれば、なんとなく「懐かしい」というイメージがあるコーンフロスティだが、なぜ今、再注目されているのだろうか。また、コーンフロスティといえばオレンジ色のトラのキャラクターが印象的だが、販売当時と比べるとキャラクターデザインが変化しているそうだ。
今回は、日本ケロッグ マーケティング部の山路真由さんに、昨今コーンフロスティが再注目されている理由とケロッグの取り組みについて聞いた。
トラのキャラクターの名前は「トラちゃん」だった!?
1906年に、アメリカ・ミシガン州のバトルクリークで誕生したケロッグ。「健康にいい食品をもっと世の中に広めたい」という思いのもと、W.K.ケロッグが立ち上げた、100年以上続く歴史ある会社だ。
そんなケロッグが生み出すシリアルのキャラクターといえば、サルの「ココくん」や赤色のスカーフがトレードマークの「トニー・ザ・タイガー」がおなじみ。だが、日本での発売がスタートした1963年当時のキャラクターは、今と少し様相が違ったようだ。
「今はマッチョなトラのイメージが強いと思うんですが、当時はとてもかわいらしかったんですよ。しかも、名前もトニーじゃなくて『トラちゃん』だったんです(笑)」
また、かつて日本でパッケージに採用されていたゾウの 「メルビン」、鳥の「サム」が、SNSで根強い人気を誇っているとのこと。期間限定で復刻版パッケージを発売したところ、「メルビン懐かしい!」「ヴィンテージのキャラクターがかわいい」と大好評だったそうだ。
「実は“メルビン愛”が強い人は社内にも多くて(笑)。メルビンやサムのファンのためにも、キャンペーンなどで定期的に登場させています」と山路さん。子供の頃にケロッグの商品を食べていた大人が、幼い頃を思い出して懐かしい気持ちになるのだろう。
ミルクボーイの漫才が再注目を浴びるきっかけに!
大人になるとどうしても「懐かしい」という感想が出てしまうケロッグのシリアルだが、2019年に開催された「M-1グランプリ」でお笑いコンビ・ミルクボーイが商品に関するネタを披露した影響から、子供だけでなく大人からも再注目を集めることに。ミルクボーイの優勝後、ケロッグの公式Twitterが反応したことも話題になった。
「ミルクボーイさんが優勝したあとの反響は本当にすごかったですね。ちなみに“コーンフレーク”っていうネタでしたけど、“トラ”というキーワードがあったので、視聴者さんたちもコーンフロスティを思い浮かべてくださったんですよね。あのあと、すぐにミルクボーイさんとコラボさせていただき、M-1優勝のプレゼントとして1年分のシリアルをプレゼントしました」
コロナ禍以降も、世間の健康志向が高まり、売上も大きく拡大したという。さらに、忙しい朝に手軽に食べられることが、増加する共働き世帯のニーズにもマッチ。コロナ禍をきっかけに、再び食べ始めた家庭も多いのだとか。
「コーンフロスティは子供向けの商品として販売しているのですが、大人の方にも結構食べられています。『コーンフロスティを食べたあとの甘くなった牛乳飲み干すのが最高』とか、『あの残りの牛乳だけ売ってくれないかな』といったお声をいただくこともありますね(笑)」
子供たちの欠食・孤食の解決に取り組むプロジェクトを始動
日本ケロッグは、2022年から「ケロッグ 毎日朝ごはんプロジェクト」を始動。“食を通じたコラボレーション”と題して、子ども食堂や小学校と協力し、地域全体で子供たちの朝食欠食・孤食の解決を目指す取り組みだ。
「子供たちから喜びの声を聞けたり、楽しそうに食べている様子が見られました。また、子供たちのお気に入りのシリアルや、『こんなシリアルがほしい』といった商品のリクエストが直接聞けて、とても参考になりましたね」
同じく朝食欠食の課題に取り組むべく、大学との連携活動を行ったことも。「大学生には朝食を食べない方が多く、無料朝食を提供する形でコラボレーションをさせていただきました」と山路さん。こうした取り組みを見て、「うちの学校でもやってくれないか」という依頼が多く寄せられているようだ。
加えて、2022年には高齢化が進む日本ならではの活動として、健康寿命を延ばすことを目的に「オートミール」をシニア団体に提供している。オートミールを使用した料理を食べたユーザーからは、「今までシリアルやオートミールになじみがなかったけど、今後の食事メニューに追加したい」などの声があったそう。
最後に山路さんは、「和食文化の日本ではありますが、おいしく、簡便に栄養がとれるシリアルは日々忙しく過ごされる方々にぴったりの商品なので、もっと広く浸透していってほしいですね。現在シリアルをお召し上がりいただいていない方に、コーンフロスティーをはじめバラエティに富んだケロッグのシリアルをお試しいただくべく、どうやって魅力を発信するかをこれからも模索していきます」と今後の展望を話す。
簡単に栄養を補えて、懐かしいおいしさを感じられるケロッグのシリアル。“子供の食べ物”というイメージが強かったが、実は忙しい現代人の味方だった。これからどんな社会の課題に取り組んでいくのか、今後の展開に期待したい。
取材=西脇章太(にげば企画)
文=永田奏歩(にげば企画)