大阪・なんばを拠点に活動する「NMB48」。かわいいだけでなくお笑いもこなす親しみやすいアイドルグループとして、2023年には結成13周年を迎え、メンバーたちはバラエティタレントにモデル、グラビアアイドルなど、あらゆるジャンルの前線で活躍している。
そんなNMB48の2代目キャプテンを務める“こじりん”こと小嶋花梨さんは、個性豊かなメンバーたちのまとめ役として日々奮闘中。
自身のYouTubeチャンネル
では、企業の社長やビジネスシーンで活躍中の人物に自らインタビューを行い、「リーダー論」を学んでいる。
そこで、ウォーカープラスでは、新連載「NMB48・小嶋花梨の“最強キャプテン”への道」をスタート。こじりんがリーダーとして成長していく姿をレポートしながら、ビジネスシーンにおいて役に立つエピソードをお届けする。語られる内容はもちろん、こじりんが自らリサーチして投げかける質問にも注目だ。
第1回は、株式会社幻冬舎の編集者として働く傍ら、オンラインサロン「箕輪編集室」を主宰するなど、実業家としても活躍する箕輪厚介さんの「リーダー論」に迫る。2023年9月に発売された箕輪さんの著書「怪獣人間の手懐け方」(クロスメディア・パブリッシング)を読んだこじりんが抱いた疑問とは?(2023年10月7日取材)
自分は“普通”でも大丈夫。大切なのは「怪獣人間と会って“当たり前”の基準を引き上げること」
【特別な才能はない。でも、人生を変えたい。もっと大きな仕事がしたい。そんな人に本書が提案するのは、「怪獣人間」に近づくことだ。】
(「怪獣人間の手懐け方」紹介文より)
インタビュイーの下調べを欠かさない真面目なこじりんは、「怪獣人間の手懐け方」を完読して取材に挑んだ。しかしこじりんは、読めば読むほど自身が“普通の人”であることを強く感じたのだとか。「そんな“普通”の自分が、今後キャプテンとしてグループをどう引っ張っていけばいいのか」と悩んでいることを告白する。
小嶋「『怪獣人間の手懐け方』を読ませていただいて、正直、『ここに書かれているような人(怪獣人間)なんているのかな』って思いました」
箕輪「そう?アイドルの世界って、怪獣人間多くない?秋元康さんをはじめ、才能あふれる人たちがたくさんいるイメージがあるよ。例えば、“MV撮影の10秒前に歌詞が変わる”とか、そういうのを聞くと『すごいなぁ』って思う。結果のために、ひとときの調和も求めない人たちや、結果だけを見てめちゃくちゃなことをしてしまう人たちが、僕の思う“怪獣人間”です。周りは大変だけど、僕は好きなんだよね」
小嶋「箕輪さんが、“怪獣人間”と呼ばれる人たちとお仕事するのはなぜですか?」
箕輪「結局、関わっていて大きく自分の人生や考え方が変わるとか、一緒に仕事をして成果が出るのって、そういう人なんだよ。逆に“いい人”なだけだと成果が出ないよね。やっぱり、嫌な人や面倒臭い人、一緒にいて大変だったりするような、結果に貪欲な人のほうが最終的におもしろいものが生まれるケースが多いから」
小嶋「そういう人に出会ったことがないんですよね…」
箕輪「秋元さんは怪獣人間だと思いますけど、会ったことないの?」
小嶋「NMB48で5年ほどキャプテンを務めさせていただいているんですけど、お会いする機会がないんです」
箕輪「ちなみに今、何が一番しんどい?」
小嶋「しんどいこと…ないんです!」
箕輪「しんどいことがないこと自体が、しんどくない?」
小嶋「そう!そうなんです!」
箕輪「やっぱり!昔占い師をやっていたことがあるからわかるよ(笑)。本当はもっと壁にぶつかったり、僕が『怪獣人間の手懐け方』に書いたようなつらさや人間の理不尽さに耐えられる強さがあるのに、それがなくて、延々に真っ白い部屋を歩いてるみたいな感じでしょ?」
小嶋「その通りなんです。え、泣きそうです」
箕輪「えぇ、騙されるよ…僕みたいな人に(笑)。でも、そんな気がした。向上心はあるけど、ぶつけるサンドバッグがない感じだよね」
小嶋「なんかずっともどかしくて、『自分はふわっとした目標しか言えていないな』って感じるんです。でも、グループをどうにかしたい、自分自身をもっとおもしろい人間にしたいと思っているのに、だからって何をしたらいいかわからないし…。といった状態が4、5年続いています」
箕輪「けど、ある意味、そこから生まれる作品とか表現ってあるから。すべての作品や表現は、結果的に誰かが共感することになるからね。今の花梨さんと似た境遇の社会人はいっぱいいると思うよ?どっちが正しいとかじゃなくて、その状況に共感する人が絶対にいて、そこで進むべき道がわかんないなかで、もがき苦しんでいることも1個の表現だからね。そこは逃げずに向き合えばいいと思う」
箕輪「例えば、常に時代のど真ん中にいるアイドルもひとつの表現だと思うし、花梨さんのように、これからグループをどうしていけばいいのかと悩み、葛藤する姿に共感する人もいる。貴重なポジションかもしれないよ」
小嶋「そうですね。8年間活動してきて、やっぱり『アイドルって閉じ込められた世界だな』って思うんです。自分から気になる人に話を聞きに行くこともできなかったり、おもしろそうだなと思った人と会える機会もなかったのですが、今は『リーダー論』をテーマにYouTubeをさせてもらっているので、これからは思う存分いろいろな人とお話したいなと。なので今、これまで関わることがなかった社長さんたちにお話を聞いて、見聞を広げているところです」
小嶋「ただ、社長さんたちとお話させていただいてるなかで、『自分って普通だな』ってすごく感じるんです。『怪獣人間の手懐け方』を読んでても思いましたけど、社長さんたちのような思考がないし、自分にはこれは無理だなって。なんか自分とは違う世界だなって思ってしまうんですよね」
箕輪「僕もそうだよ。怪獣人間じゃないから、そういう人たちをサポートしたり、本を作る凡人だよ。だからこそ、怪獣人間の近くに行くことで自らを変えたり、仕事の成果に結びつけたりしてる。怪獣人間の特徴って生まれつきなところもあるから、自分が変な人である必要はないと思うよ」
小嶋「箕輪さんが、怪獣人間と出会っていくなかで、心情の変化はありました?」
箕輪「まず、常識が変わるよね。多分、花梨さんも経験しているんじゃないかな。例えば、普通の会社だったら1週間前に言われるようなことを、当日に言われたりとか。さっきの歌詞が変わる話みたいに、それがどんどん当たり前になっていくの」
箕輪「本で言えば、『10万部売れるように』と必死に頑張っていたら、多分5万部ぐらいしか売れない。でも、『当たり前に100万部は売れるな』って思って仕事していたら、50万部売れたりするわけ。目標値が高かったり、スピード感が速かったりする人と一緒にいることによって、その“当たり前の基準”がどんどんすごくなっていくんだよ」
小嶋「グループ活動を行うなかで、“当たり前”の基準を上げたいとは思っているんですけど、私自身の“当たり前”の基準が低いから、どう上げればいいかわからないんですよね」
箕輪「とにかくすごい人たちに会うことだね。今、最も勢いのあるグループがどこかはわかんないけど、仮に韓国のアイドルグループであれば、その子たちと一緒に合宿でもすれば一瞬で変わると思うよ。その世界をまだ見ていないだけだからね。『それが当たり前だ』と思ったら世界が変わるから、ある意味めっちゃ安い投資だと思うな」
箕輪「それこそ、元HKT48の宮脇咲良さんが所属する『LE SSERAFIM』とか、ほかの海外で活躍しているグループでもいいから、何かしら一緒に活動していけば絶対変わると思うよ。サッカー選手は如実だなって思うのが、イギリスやイタリアのリーグに行くと、練習内容、筋トレ、ストレッチと、Jリーグ時代からすべてが変わるわけよ。ただ、そこで一気に自分の基準が引き上げられるから、NMB48のメンバーも一度留学みたいなことをしてみてもいいかもね」