罪悪感ゼロの猫用ピューレおやつ「にゃっち」誕生の背景とは?注目したのは「毎日与えるのは不安」という飼い主の声

2025年2月22日

「愛猫に毎日おやつをあげたいけれど健康面が不安」という人は多いという。毎日与えても罪悪感がないおやつを目指して開発されたのが、ピューレタイプのおやつ「ミャオグルメ にゃっち(以下、にゃっち)」だ。食品グレード(人間が食べられる品質)の天然由来原料を100%使用し、塩分は控えめ。さらに味にもこだわった。犬・猫用フレッシュフードの開発・販売を行う、株式会社バイオフィリア代表取締役CEOの岩橋洸太さんに、商品開発の背景や動物への想い、今後の展望について話を聞いた。

株式会社バイオフィリア代表取締役CEOの岩橋洸太さんとスタッフの飼い犬きびちゃん【撮影=三佐和隆士】

飼い猫のおやつに罪悪感


ペットは家族の一員。そう考えることが当たり前になり、食事への意識も変わりつつある。従来のドライフードとウェットフードに加えて、第3のジャンルとして注目を集めているのがフレッシュフードだ。

ドライフードやウェットフードは常温で保存できるが、高温・高圧で加工することで栄養が損なわれ、食材本来の風味も変化してしまう。一方でフレッシュフードは、低温調理しているので栄養のロスが少なく、見た目・香りも人間の食事により近い。同社では、獣医師監修の犬用フレッシュフード「ココグルメ」と猫用フレッシュフード「ミャオグルメ」を展開。「ミャオグルメ」シリーズからこのほど発売されたピューレタイプのおやつが「にゃっち」だ。

食品グレードの天然由来原料を100%使用したピューレタイプのおやつ「にゃっち」【画像提供=株式会社バイオフィリア】


「キャットフード市場でスナック類は成長傾向にあり、なかでもピューレタイプのおやつが圧倒的に人気です。ミャオグルメで培ったノウハウを活かして、よりよいおやつを届けたいという想いから開発に乗り出しました」

獣医師監修の新商品「にゃっち」。酸化防止剤や保存料、着色料などは不使用で、健康な腸内環境を維持するために乳酸菌などを配合した【撮影=三佐和隆士】


同社が2024年に行った調査によると、猫におやつをあげる目的は「コミュニケーションのため」と回答する人が実に50%以上であった。だが、毎日おやつを与えている人は35.2%。毎日でもコミュニケーションを取りたいはずの飼い主が、毎日おやつを与えてはいない。開発チームはこのギャップに着目した。さらに調査をすると、食いつきへの満足感はあるものの、「健康面が気になって毎日与えるのは不安」という声が多く上がった。

「食べたい」と「あげたい」がマッチ


「実際に商品開発を担当したメンバーも私も、自身の愛猫におやつをあげると喜んでくれるけど、健康のことを考えると毎日あげられないという葛藤があったようです。ただ、こうした現状から、健康的なおやつを開発する会社も多い。でも健康にこだわったおやつは、猫ちゃんが食べなかったりするんです。飼い主さんたちはあげたいけど、愛猫は食べたいとはならない。それはちょっと違うのではないかと思い、『愛猫の食べたいという想いと私のあげたいという想いがマッチするおやつ』を目指しました」

他社の猫用おやつを試食してみると「塩味がとても強かった」という。岩橋さん自身も愛猫たちにおやつを与えることに不安を感じていた【撮影=三佐和隆士】


南九州産の鶏むね肉とささみ、鹿児島県枕崎産まぐろなどを使用し、調味料に頼らない、自然なおいしさを追求した。ナトリウム量は1日摂取上限の125分の1に制限。乳酸菌と水溶性・不溶性の食物繊維を配合したことで、腸内環境のサポートや毛玉の吐き戻しの軽減も期待できるという。納得のいく品質や味を実現できる工場が見つかるまで20〜30社に当たった。

「一番うれしかったのは、モニター完食率が88%だったことです。グルメな猫ちゃんにしては非常に高い数値です。健康的で飼い主さんも安心できて、満足のいく商品となりました。私の実家の愛猫たちにあげると、すごく喜んでくれて、吐き戻しもなくなり、私自身とても幸せです。この幸せをすべての飼い主さんに体感していただきたいので、ぜひ手に取っていただきたいです」

愛犬を亡くした後悔から食に注目


同社は2017年に創業。当時は、ブリーダー直販の犬や猫を軸にしたマッチングサービスなどを手がけていた。

「子どもの頃から『動物の殺処分をなくしたい』という想いがあり、ビジネスの力で解決しようと起業しました。ペット業界を内側から変えることで殺処分を減らせるのではないかと考えたのですが、サービス自体がうまくいかない期間が2年ほど続きました」

そんななか、長年ともに過ごしたミニチュアダックスフンドのリヴとぴのの2頭を立て続けに病気で失い、ペットロスに。愛犬を失った悲しみ以上に苦しかったのは「もっと何かできたのではないか」という後悔だったという。

愛犬の死をきっかけに、ペットフードの品質や栄養について調べ始めた【撮影=三佐和隆士】


「こうした後悔をなくすために注目したのが食事です。市販のペットフードを食べた犬より、手づくりごはんを食べた犬のほうが、3年近く長生きしたという調査結果(Relation between the domestic dogs’ well-being and life expectancy statistics essay(2003))もあります。犬の3年は人間でいうと10歳くらい。かなり大きな差だと感じ、『誰もが理想だと思うごはん』を作りたいと思いました」

「ココグルメ」「ミャオグルメ」のコンセプトは「手づくりごはん」。飼い主が動物のために家庭で作るごはんの再現を目指した総合栄養食【画像提供=株式会社バイオフィリア】


こうして2019年に誕生したのが、犬用フレッシュフード「ココグルメ」。健康面だけでなく味にもこだわり、完食率は95%。「愛犬が喜んで食べている」「老犬で調子を崩しがちだった子も、食べられるようになった」といった声が寄せられている。

フレッシュドッグフード売上No.1、成長の理由は


販売数は発売から右肩上がりに増え続けて、累計販売食数は2億食を突破(2025年2月現在)。会員愛犬数は30万頭(2024年9月時点)に上る。2022年度、2023年度のフレッシュドッグフード売上No.1(TPCマーケティングリサーチ調べ)を獲得した。

「ココグルメ」成長の理由は、「“狂気じみた”と言えるほど、ワンちゃんのためにという想いが強い」からだと分析する岩橋さん。消化しやすい食材の大きさや、食べきりやすい量など細部までこだわり、なんと4年間で8度ものリニューアルを実施。顧客と直接つながるD2Cブランドだからこそ、飼い主からのフィードバックを得てすぐに、商品に反映させられるのだという。

ペット同伴で出社できる「わんダフル・ワーキング」制度を導入。調理したごはんをすぐに試食してもらえるほか、スタッフ同士のコミュニケーション促進にもつながっている【撮影=三佐和隆士】


「お客様との距離感を大切にしているのも、私たちが愛されている理由のひとつだと思っています。SNS投稿にはすべてコメントして、問い合わせには平均2分で返信しています。“ワンちゃん・猫ちゃん友達”のような関係性を築くことが、ブランドへの信頼につながっているのではないでしょうか」

国内のペット飼育頭数は横ばいながら関連市場は拡大が続き、矢野経済研究所の推計によると、いまや年間1.8兆円の規模になった。

「ペットフードは今後も高品質化に向かい、フレッシュフードが占める割合が高まると予測されています。現在はECのほかに、イオンやナチュラルローソン、コストコなどでも商品を販売していますが、より多くの方に手にとっていただけるよう、リテール事業もさらに強化していきたい。そして食を通じて、ワンちゃん、猫ちゃん、飼い主さんに幸せを届けていきたいと思っています」

「世界中のワンちゃん・猫ちゃんに、おいしいものを届けたい。日本のスタートアップも世界で戦えるという実績をつくりたい」と話す【撮影=三佐和隆士】


2024年には、香港と台湾に進出。「世界一愛されるブランド」という目標を掲げ、今後はグローバル展開も加速させていく。創業当時から変わらないのは、動物福祉への想い。利益の一部を、商品または資金として動物愛護関連団体へ寄付している。さらに将来的には、動物の細胞を培養して製造する「培養肉」事業も視野に入れているという。「犬や猫だけでなく、牛や豚、鶏も同じ命。すべての動物が幸せに生きられる世界を目指したい」と展望を語った。

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