新生活を迎える新社会人にとって、ビジネスマナーは最初に突き当たる壁とも言える。社会人にとって、座席の座り方は会議や商談などで相手を立てるために大切な要素で、どの席に誰が座るかといった「席次」を知っておく必要がある。しかし、誰が上位で、どこが上座なのかは、部屋の構造や出席者といったシチュエーションで変わることも少なくない。そこで今回は、ビジネスマナー・コミュニケーション講師の増田美子さんや、実業家の古川健介(けんすう)さんを著者に迎えたビジネスマナー書籍『令和版 新社会人が本当に知りたいビジネスマナー大全』より、席次の基礎知識や注意が必要なシチュエーションなどを紹介する。
席次の基礎知識「上座」「下座」とは?
応接室や会議室の座席には上下があり、その場で上位の人は「上座(かみざ)」に座り、下位にあたる人は「下座(しもざ)」に着く。上座・下座の基本マナーとしては、方角や左右は関係なく、入り口から遠い席、部屋の奥の席が上座となる。ビジネスマナー・コミュニケーション講師の増田美子さんいわく、上座の由来は寒さや風を避けられたり、外からの気配に左右されにくかったりといった「安全・安心」の考え方とのこと。上座・下座は上下関係というより、「相手を大切に思う配置の知恵」と捉えられると理解しやすいと、増田さんは提案している。
社内会議の場合は、席次は職制と職歴順で決まることが多い。同じ職制であれば、決まった部署順があるので、その通りに並ぶ。また、会議の性質上、部署ごとにまとまって座ることも多い。その際、上座か下座かの判断は、ブロックごとで行われ、ブロック内では部署内の席次順に並ぶことになる。
来客対応や客先での席次は来客側が上座が基本!
上座・下座を意識するのは社内の会議だけではなく、社外の人との打ち合わせや商談などの際にも重要なことだ。取引先など来客を交えて会議をする場合、来客側が上座に着く。商売上の立場には関係なく、来客が部屋の奥側になるので、案内するときは間違えないように注意しよう。遠慮して下座につく来客も多いが、奥側に座るように促すのが正しいマナーだ。
反対に自分が来客として取引先などを訪問する場合には、まずは相手に案内されるままに上座に座るのがマナー。慣れない客先ではどう座ればよいか迷うこともあるが、固辞して下座に座るとかえって恥をかかせてしまうことになるので、素直に従おう。客先で慣れない部屋で、入り口からの距離で上座を判断しにくい場合には、窓があって見晴らしのよいほうを上座とすると無難だ。
席次には例外も!臨機応変な対応を心がけよう
部屋の奥が上座というのは、あくまで日本文化をベースにしたルールのため、必ずしも配置どおりに決まるわけではない。また、座席や扉の配置によっては即座に判断できない場合もある。上座か下座かわかりにくいときは、「座りやすい席」や「快適な席」が上座だと考えて、自分の着くべき席を判断しましょう。案内するときも、「西日がまぶしいのでこちらにどうぞ」など一言添えられるとベターだ。
乗り物の席次のマナーも要チェック!
席次のマナーが適用されるのは、会議室や応接室だけではない。複数人で乗り物を使う場合にも席次には注意が必要だ。たとえばタクシーの場合は、運転席の後ろが上座、助手席の横が下座となる。
また、電車や新幹線では窓側が上座となり、3人席の場合には中央の席が最も下座となる。人数が多く複数の列に座る場合には、入り口から遠いほうが上座と覚えておこう。
また、タクシーや新幹線など長時間使う乗り物はもちろん、エレベーターにも上座の概念はある。エレベーターでは操作盤の前が下座、入り口から見て左奥が上座となる。目下の人が先に乗り、降りるときは開くボタンを押して、目上の人に先に降りてもらうようにしよう。また、来客者1人を案内するときは、先に来客者を案内するのがマナーだ。
慣れないビジネスマナーは、社会人が最初に突き当たる手ごわい相手。しかし、正しい知識や常識を身につけて仕事に臨めば、新社会人でも1人のビジネスマンとしてステップアップするチャンスに巡り合えることだろう。リモートワークが増えている現代でも、会議や取引先との商談、来客対応などで席次を気にする機会は多い。最初は基本的な知識を頭に入れて対応することが必要だが、相手を大切に思う配置の知恵としての席次を意識し、柔軟に運用できるようになれば一人前だ。
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