新しい生活様式への対応により、働き方も大きな変革の時期を迎えている。リモートワークが定着し、仕事と休暇を合わせた“ワーケーション”が推奨されるなど、働く時間や手段も多様化。そんな中、社内研修やオフィス環境にアウトドアのエッセンスを取り入れる“キャンピングオフィス”に注目が集まっている。
手掛けているのは、アウトドアブランド「スノーピーク」のキャンピングオフィス事業として立ち上がった、「スノーピークビジネスソリューションズ」(愛知県岡崎市)だ。
今回、代表取締役の村瀬 亮氏に、同社がスタートした経緯や、アウトドアを取り入れて仕事をするメリット、そして新しい時代の働き方について話を聞いた。
キャンパーではないけれど、“キャンプの力”は知っていた
ーー まず初めに、現在の主な事業内容を教えてください。
【村瀬 亮】スノーピークビジネスソリューションズでは、自然を感じながら心地よく仕事ができるような、新しい働き方を提案しています。具体的には、アウトドアでの研修やミーティング、そしてアウトドアギアを取り入れたオフィス空間のプロデュースなどです。
アウトドア研修は基本、テントやタープなどの設営体験、そして屋外でのミーティングやディスカッション、撤収という流れですね。お客様のご要望に応じて、オリジナルコンテンツを提供することもあります。
また、アウトドア用品で設えたコワーキング・シェアオフィス「Camping Office osoto」や、アウトドア研修施設「CAMPING OFFICE」を、全国のパートナー企業とともに展開しています。
ーー “キャンピングオフィス”というコンセプトが生まれたきっかけは?
【村瀬 亮】私は1999年から、在庫管理システムやクラウドサービスなどを提供するIT企業を経営しています。創業以来、社内コミュニケーションの活性化のために、社員旅行やイベントなど、さまざまな取り組みをしてきました。その中のアイデアの一つが、キャンプだったんです。
ーー もともとキャンプがお好きだったんですか?
【村瀬 亮】実は、私はキャンパーだったというわけではないんです。でも、キャンプ好きの友人に連れられてキャンプをしたことはありました。自然の中に入ると、五感が刺激されて、心が豊かになり、そこに一緒にいる家族や友人とより仲良くなれる。そんな“キャンプの力”を理解はしていました。だから、仕事仲間とキャンプをすることは、チームビルディングに役立つだろうと思ったんです。
同時に、時代の流れの中で、働き方が変化していることも感じていました。例えばIT企業はパソコン1台あればどこでも仕事ができるので、必ずしも固定のオフィスに出社する必要はない。そういった背景もあって、「キャンプは、チームビルディングと働き方改革、両方のトライアルができて、クリエイティブな発想が生まれそう」と、なんとなく効果が想像できました。