ふたご座流星群が12月14日にピーク!流れ星の観察に重要なポイントは「場所」よりも「時間」

2022年12月13日

8月のペルセウス座流星群、12月のふたご座流星群は、毎年時期になると多くの流れ星を見ることができることで知られている。2022年12月14日(水)22時には、そのうちの1つであるふたご座流星群が、活動のピークを迎えると予報されている。

そこで、流れ星の見つけ方のコツを、プラネタリウム解説者の毛利勝廣さんにうかがった。毛利さんは、ギネス公認の世界最大のプラネタリウムを備える「名古屋市科学館」(愛知県名古屋市)で天文主幹を務める、星空解説のプロだ。

明るい流れ星は、街明かりや月明りがあっても十分に見ることができる

そもそも「ふたご座流星群」とは?

流れ星は、直径数ミリ程度の小さな粒が地球の空気に飛び込んだときに燃えることで光る現象。地球の公転軌道上には、すい星の通り道がいくつもあり、すい星本体から出たたくさんの小さな粒が漂う川のような流れがある。地球の公転がそこに差し掛かると流れ星がたくさん流れ、これを流星群と呼ぶ。

ふたご座流星群は、地球の公転軌道を横切るため、夜間はずっと流れ星を見ることができる

「分類上はたくさんの流星群がありますが、真っ暗な山奥で見たとしても1時間に数個しか流れない規模の小さなものも含まれます。そのため、名古屋市科学館が毎年おすすめしているのは、8月のペルセウス座流星群と、12月のふたご座流星群の2つです。流星群に属す“群流星”と呼ばれる流れ星は、放射状に空を流れるのが特徴で、それぞれの流星群には流れ星のもとをたどった放射点の方向にある星座の名前が付けられています。したがって、ふたご座流星群とは、放射点がふたご座にある流星群なのです。今年は月明りの影響があるので環境として最善ではありませんが、ふたご座流星群はもともと数が多いことや、明るい流れ星は街明かりや月明りがあっても見えることから、天候さえよければ山奥に行かずとも見ごたえのある流れ星に出合えるでしょう」

2022年の流星群一覧。データは「天文年鑑2022」より抜粋

ふたご座流星群がピークとなる2022年12月14日(水)22時の空

流れ星をできるだけ多く見るコツ

天候がよければ、市街地でも1時間に10個程度の流れ星が期待できる今回の流星群。できるだけ多くの流れ星を見るためには、どの方角に注目すればいいのだろうか?

「ふたご座流星群といっても、ふたご座のある方角にしか流れ星が発生しないわけではありません。放射点であるふたご座の方向から流れる流れ星は短く、逆にふたご座と離れた空に出現する流れ星は長く尾を引いて見えるでしょう。このように四方八方に飛びますので、星座にとらわれず、できるだけ広く空を眺めることが重要です。高いビルがないかどうか、明るい照明が近くにないかどうか、などのロケーションを考慮して見る方角を決めましょう」

群流星(流星群に属する流れ星)は、宇宙空間的にはすべて同じ向きに流れる。図のように、観測者である自分からは、四方八方の空に見えることになる

また、流れ星を見る場所は、どのようなところがいいのだろうか?

「市街地では、よく晴れていたとしても流れ星の出現は1時間に10個程度と予想されます。山奥など明かりの少ない場所に行けば1時間に50個ほど期待できますが、市街地で見える10個は明るいものから数えて10個なので、冬の寒い山奥へ行かずとも街中でも十分に楽しめるでしょう。場所よりも、大切なのは見ている時間です。これだけの出現予報でも、最低30分は見上げていないと見つけられないかもしれません。やはり眺める時間が長ければ長いほど、流れ星に出合う確率は高くなります。ずっと見上げていると首が疲れてしまうので、断熱シートを敷いたピクニックマットやリクライニングできるアウトドアチェアなど、寝そべる準備をしておくといいですね。そして、寒さ対策は万全に。長時間、屋外でじっとしていると、思った以上に体が冷えますのでご注意ください」


12月14日(水)は22時ごろから月が昇ってくるが、空が晴れていたらそのまま観察を続けるのもいいだろう。市街地で見る流れ星は、月明りにも負けない明るいものが十分に期待できる。なお、流星群は活動のピークに向けて徐々に流れ星の数が増えていくので、時間的に余裕があるならば空が十分暗くなった20時ごろから流れ星を探してみるのもおすすめ。また当日都合が悪い人は、前日の12月13日(火)に探してみるのもアリ。ピーク前ではあるものの、天気がよければ普段よりは多くの流れ星が見られるはずだ。


取材・文=大川真由美/取材協力=名古屋市科学館