格闘ゲーム『鉄拳8』のツアー形式世界大会「TEKKEN World Tour 2024」(以下、「TWT2024」)。世界各地で開催される大会でポイントを獲得した強豪が日本に集い、2024年12月8日、『鉄拳8』で初の世界王者を決める、そして日本ではTEKKEN World Tour史上初の開催となる決勝トーナメント“Global Finals”が2024年12月8日、東京・渋谷で開催された。韓国出身でVARRELに所属するRangchu選手がGrand Finalを制し、『鉄拳8』初の世界王者の座に輝いた。
【超・鉄拳祭 12/8(日)】ウォッチパーティ - TWT2024 Global Finals 決勝トーナメント
WinnersサイドからGrand Finalに駒を進めたのは、VARREL所属の韓国・Rangchu選手。Losersからは、Losers Finalでサウジアラビア・Raef選手を下したパキスタンのATIF選手がGrand Final進出を決めた。
観客席は満席、立ち見の観客もごった返す会場ではじまったGrand Finalは、ATIF選手操るドラグノフの精密なコンボがさく裂し、Rangchu選手のクマに何もさせないのも同然といった形で1セットを先制。
一方、1セット目、コントローラーの接続切れというまさかのアクシデントに見舞われながらも冷静さを失わなかったRangchu選手。壁際まで追い詰められながらも鮮やかな逆転やパーフェクト勝ちを魅せ、会場のボルテージを引き上げる。
一進一退の攻防が繰り広げられる中、最後はRangchu選手が押し切り、1-3でゲームセット。Rangchu選手にとって2018年以来6年ぶりになる優勝が決まった瞬間、観客は総立ちとなりスタンディングオベーションとともに「Rangchuコール」が巻き起こった。
表彰式では原田勝弘プロデューサーからTOP8へのメダルが授与され、Rangchu選手にはメダルとともに特製の鉄拳トロフィーが贈呈された。Rangchu選手がトロフィーを高々と掲げると会場からは再びのRangchuコール。また、壇上の他のTOP8選手の発案でRangchu選手の胴上げが行われるなど、祝福に満ちたセレモニーとなった。
Rangchu選手・優勝インタビュー
――優勝時の「Rangchuコール」の際、噛みしめるような表情をされていました。どんな心境でしたか。
【Rangchu】最近調子がよくて、みんなに結果を期待されていてプレッシャーで本当に緊張していたんですけど、勝った瞬間はみんなのその期待に応えることができて、すごくうれしくて。僕は日本在住なので、友達もたくさん来てくれて、応援してくれる人も見えたので、本当にうれしかったです。
――ご自身の使用キャラクターであるクマに、何か言葉をかけるとしたら?
【Rangchu】ありがとう。
――この1年通して鉄拳8に取り組まれてきたなかでご自身としては?
【Rangchu】クマは評価が最初あまり高くなくて、みんなに「キャラを変えた方がいいんじゃない?って何回もアドバイスされていて。立ち回り方もいろいろ試したし、他のキャラも結構試していたんですけどあんまりうまくいってなくて。夏頃は結構迷走していたんですけど、そこを乗り越えることができて今日に繋げることができたと思います。アドバイスしてくれたり、一緒に練習してくれる周囲の仲間には本当にありがとうという気持ちを伝えたいです。
――今日の試合は先行される展開が多かったですが、どういって気持ちを切り替えましたか?
【Rangchu】負けた時も内容が悪くて負けたわけじゃなくて、このままこの流れで集中が切れないように頑張って集中力を保とうと思うしかなかったので、それだけですね。それと、普段と違って自分を応援してくれる声がちょっとずつヘッドホンの中に入ってきたので、最後まで諦めずに頑張れていたと思います。
――プロライセンスがギリギリのところで取れない状況が続いて、ようやく取れた上でのこの大会でした。
【Rangchu】上位を目指して入賞するのは結構得意でも、「必ず優勝しないといけない」という大会ではちょっと勝てていなかったのが、ライセンスを取れなかった一番大きな理由で。でも今回も「優勝しよう」って目標よりは「だんだんだんだん勝ち進もう」という感じで戦ってきたので、それがうまくいったなと思います。
――Rangchu選手の使用キャラは鉄拳7だとジュリアとパンダだったと思いますが、鉄拳8で今後複数キャラにする予定は?
【Rangchu】強いキャラも自分に向いているキャラも色々試すのは普段から常にやっていて、ただ練習の時にちょっとうまくいかなかったことが多かったので、もうちょっとやり込んでから考えます。
――Grand Finalでコントローラーアクシデントがありました。あそこから流れを取り戻す時に意識されたことはありますか?
【Rangchu】普段だったらちょっとメンタルにきた可能性もあるんですけど、今回はWinners側で「もしこの試合取られてもまだ序盤だし、大丈夫」と思い出してメンタルを保つことができました。
――トーナメントではATIF選手やArslan Ash選手、強豪・パキスタンの選手との対戦もありました。勝った時の気持ちをお聞かせください。
【Rangchu】「鉄拳7」の中盤からその二人が大会をほぼ制覇してきて、世界の評価は日本や韓国よりパケスタンの方が上という考えになっていて。そのイメージを今日変えたかった気持ちがすごく強かったので、それができて本当にうれしかったです。
――2018年以来6年ぶりの優勝となりました。この6年を振り返ると?
【Rangchu】当時は今よりまだちょっと優勝しやすかったというか、強い方々がまだプロシーンに出てくる前でした。そこから6年間どんどんきつくなってきて、チャンスはあんまり来ないのかなと思ったんですけど、そのチャンスを掴めてすごくうれしいですね。
――「鉄拳8」になってからのこの一年は?
【Rangchu】上位に入ることはすごく多かったんですが、「Rangchuは上位には入るけど、優勝はどうせできないだろう」という世間の声が結構あって、それはすごく嫌で。今年の後半から、どの大会でもいいから、優勝できるように集中して頑張ろうという気持ちを変えて挑んだので、それができてすごくうれしいです。
鉄拳世界一を決める!TEKKEN World Tour 2024 Global Finals
『鉄拳8』頂点を決めるグローバルファイナルには計35名が進出し、2024年12月5日~8日に東京・渋谷で開催。12月5日・6日のグループリーグ、7日の最終予選を終え勝ち残ったTOP16が世界一の座をかけトーナメント形式で熱戦を繰り広げた。なお、グローバルファイナルの賞金総額は300000ドルで、30周年を迎えた「鉄拳」シリーズ史上、最大規模の大会となった。
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