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2024年8月に開幕した「ストリートファイター」の公式チームリーグ戦「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2024」(略称:SFL)。本節が終了し、グランドファイナル出場を懸けたプレイオフ進出を決めたのがSaishunkan Sol 熊本(以下:SS熊本)だ。
2024年12月21日(土)・22日(日)に行われるプレイオフでは、FUKUSHIMA IBUSHIGINとの対決を控えるSS熊本。FandomPlusではプレイオフ直前の選手4名それぞれに独占インタビューを実施。今回はふ~ど選手に、使用キャラ変更の舞台裏や、練習への考え方などを語ってもらった。
「リーダー経験者が3人」ふ~ど選手が考えるSS熊本の強みは?
――プレイオフに向けての意気込みを教えてください。
【ふ~ど】第1節から第10節までを振り返って、もう少し自分が勝っていれば1位で抜けられたという気持ちがあります。プレイオフではそれを挽回しないといけないなと思っています。
――その点で言うと、前半戦はひぐち選手がチームを牽引してバランスがいい形だったかなと思います。
【ふ~ど】いやー、やっぱり勝ってくれるな、って。豪鬼に勝つ、ケンに勝つみたいな感じで道着(キャラ)に勝ってくれて、そういう勝ち換算ができるのはすごく大きいプレイヤーだなと思います。
――シーズンを戦ってきた中で、SS熊本のバランスや強みについて教えてください。
【ふ~ど】ひぐち以外の3人がみんなリーダー経験したことがあるようなベテラン選手っていうのは強みなのかなと思いますよね。みんなで集まって練習する時もちゃんと言い合える、そういうのも強みなのかなと。
――ふ~どさんの動画を拝見すると、ひぐちさんも臆せず発言する印象です。
【ふ~ど】僕たちの世代は割と尖ってるというか、人を不愉快にさせてもいいやぐらいの気持ちがあったと思うんですけど、今の子はそういうのだいぶ少ないですよね。だけど、ひぐちはそれを全然気にせずガツンと言えるんですよね。一緒にやる上ではめちゃくちゃいいと思います。
――プレイオフではFUKUSHIMA IBUSHIGINと激突します。ふ~どさんが注目選手を挙げるなら?
【ふ~ど】やっぱり翔ですね。IBUSHIGINは大将の翔を筆頭にみんなで頑張ろうというチームの印象があるので、逆に言えば翔を倒せれば勝てるんじゃないかとも見ています。(プレイオフでは)うちはアウェーサイドなので、道着にひぐちが行けると言っても一度しか入れないし、みんなで翔をどう攻略するかは大事になるかなと思いますね。
使用キャラはディージェイからエドへ「強いキャラを選ぶ抵抗はなかった」
――今シーズンはエドを使用されてきましたが、ご自身が考えるターニングポイントは?
【ふ~ど】去年で言えばディージェイは日本でも屈指の成績が出ていたところをすぐにエドに替えて、その選択も、替えた先も間違っていなかったっていう部分を評価したいですね。
――キャラ変更に迷いはありましたか?
【ふ~ど】ストリートファイターVの時に自分は(レインボー・)ミカを使っていたんですが、ミカが調整された後も結構長く使い続けたんですよね。それでも確かにそこそこは勝つんですけど、長く対戦しているうちに「これだと最強プレイヤーなれないな」って気付いたんですね。自分の方がゲームの腕が良いのに負けるのは悔しい。ちゃんと実力で負けた方がいいっていう考えがVの時に芽生えたんです。
だから、たとえばディージェイを使い続けて負けて「キャラのせいで負けた」とは言いたくなかったし、ちゃんと強いキャラを選ぶ抵抗はなかったです。
――ストVでの経験が活きた部分ということですね。
【ふ~ど】活きましたね。ディージェイでは最強プレイヤーには絶対なれないっていう、その見極めに対して、正しい行動をとったと自負しています。それこそ今年の結果で言えばディージェイの方が勝ったかもしれないですし、大会で勝ったりもできたかもしれないですけど、最強にはなれないとは思ったので。
――キャラクターの強さでいうと、つい先日新たに調整が入りましたが、その影響は?
【ふ~ど】めちゃくちゃあります。すごく下げられちゃったんですけど(笑)。まあ、それは自分だけでもないし、強キャラを使うとそこ(調整)ってしょうがない部分なんですよ。だ、チームメイトに迷惑をかけちゃうのかもしれないな、というのは気になるんですけど、そこは受け入れるしかないので。
「反復しない分、停滞もしにくい」ふ~ど選手の自己分析
――現在はプレイオフに向けて準備が進んでいるところだと思います。練習の部分で言うと、ふ~どさんは「楽しくプレイすることで長時間の練習が可能」という考え方なんでしょうか。
【ふ~ど】正直言って、自分はまだ、仕事と遊びのはざまみたいな感じでやっていますね。仕事は誰だってみんな頑張るし、当たり前に8時間は働くと思うんですけど、その踏ん切りが自分の中ではまだ低い気がします。途中で全然違うゲームやっちゃいますもん(笑)。ただ、大会ってやっぱりすごく面白いんですよ。「すべてを出してぶつける」みたいなところがあるので。だから今はすごくモチベーションが高くて、楽しくできてるなって感じはあります。
――ひぐちさんは「自分は5時間で十分」みたいな話をされていて、同じプロでも考え方が全然違うのは面白いです。
【ふ~ど】去年のワールドウォリアーで集まった時に、かずのこも「俺、1日4時間しかやらないです。4時間めっちゃ集中してやるんですよ」みたいなことを言ってましたよ。絶対少ないだろって話なんですけど(笑)。ただそれは「集中してやる」って部分があるんですよね。僕は「集中しなくても楽しかったらどうせやるよね」って感じなんで。そんな風にできると仕事は理想なんだろうなと思います。
――考え方の部分では、ふ~ど選手は以前、「練習していない時も含めてずっとゲームのことを考えている」とおっしゃられています。そこも変わらず?
【ふ~ど】そうだと思います。ただ、これがよくないなっていう部分も最近結構出ていて。たとえばエドだとドリームコンボってあるじゃないですか。あれって練習時間がそのまま精度に反映されるんですよ。僕はああいうのをあんまり練習しないで、歩きながら攻略を考える方が好きなので、他の人よりめちゃくちゃ精度が低いんですよね。コンボがすごく大事なゲームとかキャラクターになると反復練習が苦手なのはやっぱりよくないので、変えないといけないなとは思っている部分でもあるんですよ、実は。
――ある意味では伸びしろはまだまだ大きいと。
【ふ~ど】伸びしろ自体はあるんですけど、難しいですよね。チームメイトからしたら「やれよ!」「大会で超大事なコンボをミスってんじゃねーよ!」ってなると思うんですけど、人間なかなか大変ですよね。
――(笑)。一方で、攻略面での知見は他の選手と比べて大きいと思います。
【ふ~ど】あると思いますね。なんというか、反復練習していない分、攻略面を突き詰めているから停滞もしにくいとは思います。
ふ~ど選手の未来は“格ゲー界の吉田松陰”!?
――FandomPlusはライト層の読者も多いのですが、そういった層に注目ポイントを挙げるなら?
【ふ~ど】自分は「(相手の動きを)見てから何かやる」というのをちょっと排除しちゃってるプレイなんですよ。多分他の人より技をばらまいて、技の単価で勝負する感じが多いと思うので。キャラで言うとエドは待ちキャラですけど、自分のエドは相当寄っていって攻めたり技を振ります。
――試合前のルーティンやジンクスはありますか?
【ふ~ど】ルーティンで言うと、試合の直前には食べないようにしていて。たとえばSFLは夕方から対戦だったりするんですけど、昼にご飯を食べたらもう食べないって感じです。何食べるかは適当ですけど、頭を働かせるのも大事かなと思って、ちょっと歩きたいなって気持ちがあるので、街を歩きながらなるべく外で食べて。あとは、普段飲まないコーヒーやカフェインをその日は摂ったり。ジンクスについては、今はあんまり持ってないかもしれないですね。
――プレイオフ直前ではありますが、SFL以外でも個人的な目標や挑戦したいことはありますか?
【ふ~ど】僕は、吉田松陰が好きで、山口県の松下村塾に行ったりもしたんですよ。(格ゲーは)最近若い人もすごく増えてきているので、そういう人たちに教えたり、一緒に対戦していくほうが健全だなと思うんですよね。だから、そろそろ10代が強くなれるようなサポートをできたらいいな、みたいなことを思っています。ひぐちとのやり取りなんかも、なるべくひぐちから話を聞きたいなっていうところからきているんですよ。
――最後に、ファンに向けてのメッセージをお願いします。
【ふ~ど】SFLはやっぱりすごくきつい大会ですが、SS熊本は全然優勝もできるチームなので、グランドファイナルも優勝して、最後にはワールドチャンピオンシップも優勝して、来年のカプコンカップも確定したいなと思います。