レジャーや旅行のベストシーズンとも言われるこの季節。しかし、女性は月経前の“こころとからだ”の変化により、おでかけを楽しめないケースもある。そうしたことを気にせず、“こころとからだ”と上手に付き合い、おでかけを充実させる方法はあるのだろうか?機能性表示食品「わたしプロローグ」を販売するアサヒグループ食品の担当者に話を聞いた。
アサヒグループ食品は、2024年1月に、通信販売ブランド「カルピス健康通販」において“月経に関する機能性表示食品”として日本で初めて(同社調べ)、「わたしプロローグ」(2210円/30日分・1袋60粒入)を発売。
「正常な月経周期を有する健康な女性の月経前の一時的な晴れない気分・精神的疲労感・眠気を緩和する機能がある」と研究報告されている「CP2305ガセリ菌」を、一日摂取目安量である2粒当たり、100億個配合したサプリとなっている。
■機能性表示食品「わたしプロローグ」開発の背景
――まずは、「わたしプロローグ」開発の経緯を教えてください。
【竹田さん】最初から「月経に関する機能性を訴求する商品を作ろう」となったわけではなく、弊社が扱っている「CP2305ガセリ菌」の研究を進めるうちに、「これを使って何か開発できるのではないか」となったのが始まりです。
乳酸菌飲料のカルピス(R)に由来する長年の乳酸菌研究により選び抜かれた、アサヒグループ独自の乳酸菌である「CP2305ガセリ菌」は、女性ホルモンの調節に関わると考えられ、月経前の一時的なモヤモヤを軽減してくれるという研究結果が出ています。そこに着目し、「わたしプロローグ」が誕生しました。
――「わたしプロローグ」は、脳腸相関(のうちょうそうかん)の考え方を取り入れているのでしょうか?
【竹田さん】はい。ストレスが溜まるとお腹に違和感が出るという方もいらっしゃると思うのですが、このように脳と腸はつながっているのではないか、という脳腸相関のメカニズムに着目して開発しております。「CP2305ガセリ菌」は腸内で作用し、脳に影響を与えるのではないかという考え方です。
――フェムテック、フェムケア(※「feminine」と「care」をかけて作られた造語)の市場はどのような状況ですか?
【高橋さん】経済産業省では、2025年時点のフェムテックによる日本国内の経済効果は、年間約2兆円になると推計していますね。日本はまだまだ伸びは緩やかですが、海外に目を向けると大きく伸張しており、ポテンシャルが高い市場と考えています。
――そうした市場の流れに目を向けて開発を進めたというのもあるのでしょうか?
【高橋さん】いえ、「『CP2305ガセリ菌』を摂ることと、女性ホルモンの調節には関わりがあると考えられる」ということがわかった今回の研究は、2017年にスタートしているのですが、その当時はフェムテックやフェムケアという言葉自体出ていませんでした。
国の定めるルールに基づいて、食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を販売前に消費者庁に届け出れば、機能性を表示することができるという制度「機能性表示食品制度」も、2015年頃に創設された新しいものなので、研究をスタートした頃は“月経に関する機能性表示食品”という届け出もしていない状況です。ただ、「この領域は必ず来るぞ」とは考えていたので、機能性表示食品としてなんとかファーストエントリーしたいと思っていました。
とはいえ、初めての領域だったので、機能性表示食品として受理されるまで長く時間を要し、1度はあきらめなければいけないかも…というところまで行きました。
――製品開発時、社内ではどういう声がありましたか?
【竹田さん】こうした女性領域の商品はそれまでなかったので、「本当に売れるのか?」といった声はありました。でも、「やっぱりニーズはあるよね」「待っている人がいるのではないか」という声もありまして。女性は月経前のモヤモヤについてわざわざ言葉にしたりすることが少ないと思うのですが、「言われてみればしんどかった」「実は不快に過ごしていた時間があった」「ケアできるのだったらうれしい」という声はあり、やはり商品化するべきだという方向になりました。
――女性特有の月経前の不調に関して、男性からの声も拾われましたか?
【竹田さん】私の周りの男性で言うと、「そんな時期があることを聞いたことがない」とか「生理前だからなんとなくイライラしていそう」とか…。女性の月経前の“こころとからだ”の変化については、そのくらいの印象しかなかったようでした。
■“こころとからだ”のケアをしている人は少ない
――認知度が上がってきたとはいえ、女性特有の悩みに対する世間一般の男性の理解もまだその程度かもしれないですね。ちなみに、日本では男女問わず、つらいことに対して“我慢する人が多い”という説もありますが、実際に“こころとからだ”のケアをしている人は少ないのですか?
【竹田さん】はい。さまざまなデータを見た結果、「対処している」という人は少なく、「特になにもしていない」という人が多いようでした。月経は一生で400〜500回もある…ということを考えると、「本当に我慢しなくてはいけないものなのか?」という問題提起はしていきたいところです。
「わたしプロローグ」を取り入れているユーザーの中からは、「あれ?今月はいつの間にか、なにもなく過ぎ去りました」といった声をいただきます。このように「なにもなく穏やかに過ごせる」というのが当たり前になるといいなと思います。
■具体的なケア方法は?
――では、「わたしプロローグ」の摂取の仕方を教えてください。
【竹田さん】一日摂取目安量の2粒を、そのまま噛んでお召し上がりいただくか、水などと一緒にお飲みください。ほんのり甘いフレーバーで「飲みやすかった」というお声もいただいています。「わたしプロローグ」は、摂取すればすぐに変化を感じられるというものではないのですが、継続していただきやすいよう、また旅行や出張へ行ったときに持ち運びしやすいように…といったことを考えて、手軽さのあるタブレットにしています。いつ飲んでいただいても大丈夫です。
【高橋さん】「わたしプロローグ」を用いた臨床試験では、連続した6回の月経周期(約6カ月間)で、正常な月経周期を有する健康な女性の月経前の一時的な晴れない気分、精神的疲労感、眠気を軽減する機能が確認されました。そういった研究結果からも、継続してご使用いただくことをおすすめしております。
■知ることから始めよう!女性のココロとカラダのケア
今回は、婦人科診療とエイジングケアの最先端治療を行っている「成城松村クリニック」の院長・松村圭子先生にも話を聞いた。
――月経前に、「晴れない気分」「精神的疲労感」「眠気」といった症状がなぜ起こるのか?そのとき、女性の体に何が起こっているのか教えてください。
【松村先生】完全に解明されていない部分も結構あるのですが、1つ考えられるのは、月経前というのは女性ホルモンが急変動を起こすので、それによる影響です。そこで自律神経がつられて影響を受けてしまい、働きが崩れる。そういうことで、自律神経の不具合によって、メンタル的にも身体的にも不調が起こっている…ということが考えられます。また、眠気は女性ホルモンの一種であるプロゲステロンが増加することによって引き起こされると考えられています。
――そういった症状に悩んでいる日本人女性は少なくないようですが、実際にこの悩みで診療に来る方は多いのでしょうか?
【松村先生】そうですね。やっぱり人知れず、まだ悩んでる人も多いと思うんですね。
ただ、10年くらい前から比べると、今はこういった症状が起こりやすいことが認知され始めており、「治療の対象になるんだ」「我慢しなくていいんだ」というような意識が高まってきたことで、受診される人は増えてきています。ご主人など、周りから「受診してみたら?」と言われて受診しに来る方もいらっしゃったりします。
――そのようなときに、男性から女性にしてあげてほしい行動や気遣いがあれば教えてください。
【松村先生】男性は周期的なホルモンの変動がないのですが、女性はホルモンの変動があり、それによりさまざまな不調が起こります。月経の周期で豹変してもおかしくないような体のメカニズムなんです。そこをまず理解すること。気まぐれとかそういうことではないのです。そして、家事を手伝うとか、女性側の負担を減らす行動をするとか、してほしいことをしてあげるとか、そうした“思いやり”の気持ちを持った行動が大事なのではないかと思います。
――それらの症状に対してどんな対処法が考えられるでしょうか?
【松村先生】“からだ”の症状への対処法としては、便秘なら腸内環境を整えるために食物繊維を摂る…とか、むくみなら塩分を控える…など。
でも、多くの皆さんが悩んでいるのはやっぱり“こころ”。 すごく気持ちが落ち込んでしまったりするんですね。ただ、ストレスは症状を悪化させるので、それをいかにうまく解消して、いかにうまく付き合っていくか…というところが大事。
「自分はどう過ごせば1番ご機嫌に過ごせるのか」という、“自分の機嫌の取り方”は見つけていかなくてはいけない。ワーッ!と発散すればいいのか、もしくは、人付き合いが苦手だからお家に引きこもってDVDを観て過ごすのがいいのか。推し活でもいいですしね。これをすればいい、という答えはなくて、ハマるものを見つけるというのが非常に大事かなと思います。
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■「カルピス」はアサヒ飲料(株)の登録商標です。
提供=アサヒグループ食品
取材・文=平井あゆみ
撮影=島本絵梨佳