お怪談巡りの達人・島田秀平さんの実体験!本当にあった怖~い話「旧陸軍の秘密基地」

2023年4月26日

異界マニアとしても知られる島田秀平さん。元来、霊感はないという島田さんだが、心霊スポットでのロケなどを行ううち、いくつか不思議な体験をするようになったとのこと。その中の一つ、太平洋戦争中に日本軍の基地だった場所での不思議な出来事を話してくれた。

島田秀平さん。“手相芸人”としてテレビやラジオ、雑誌など多方面で活躍するほか、パワースポット・都市伝説・怪談にも精通している


「旧陸軍の秘密基地」

これは8年くらい前の夏のことです。

毎回いろんな心霊スポットに行って、そこでちょっとした恐怖の実験をする、みたいなレギュラー番組があったんです。例えば、「いわくつきの廃墟に行って“こっくりさん”をする」とか、「廃病院に行って、その中で“一人かくれんぼ”をする」とか、突拍子のない番組だったんですね。

その日訪れたのは某県の自然公園で、木々が生い茂った林みたいになっているんですが、週末はご家族連れがキャンプをするような、そんな場所がロケ地でした。


今もそこは自然公園なんですが、実は戦時中、陸軍の秘密の基地があった場所なんですよ。

なので、その遺構が結構残っていて、「なんかあそこ、地面が盛り上がっていますね」って話していたら、実はその場所は中に空洞があって、防空壕になっていたりとか…。


コンクリートのすごく厚い壁でできた建物があって、中に入ると部屋があって「あそこは弾薬庫だったんですよ」とか…。

その公園でも、なにか恐怖の儀式をやろうということに。カメラマンやディレクターが「撮れたらいいね」みたいに言っているので、まあ怖いながらも、ちょっと勇気を出して、みんなで撮影していたんですね。

そうしたら、古くて長~~いトンネルを見つけて…、


「島田、カメラを渡すから 1人で撮影しながら、行って帰ってきて 」と言われたんです。

よくね、そういった心霊ロケで、みんな「うわぁ~」とかリアクションしますけど、本当はあんまり怖くないんですよ。

なぜかっていうと、「怖いですねぇ。なんかやっぱり嫌ですね…」とか言いつつ、カメラマンが目の前にいるし、その横にはディレクターさんがいる。照明さんも音声さんもいれば、マネージャー陣もいるし。


実はカメラの向こう側にはたくさん人がいるから怖くないんですけど、その時は、「1人でカメラを持って、撮りながら行って帰ってきてください」って、言われたんですね。

で、「マジかー」と思ったんですけど、でも、行かないって言っても終われないので、「じゃあ、行ってきます」って、1人でカメラを持って、本当に真っ暗なトンネルを奥へと歩き始めたんですね。


奥まで行って帰ってくるだけなんですけれど、めちゃめちゃ怖いわけですよ。とっても真っ暗なトンネルで、中は湿気もすごい。「本当に何か映ったらイヤだなぁ」と思いながら、なんとか奥までたどり着いて…。

「あとは、もう、戻ったら終わりだ!」と気持ちを奮い立たせて、時々「なんだかやっぱり気持ち悪いですね」とか「あのしみが顔に見えますね」とかレポートしながら、でも怖いから、早足で必死に帰ってきたんですよ。

あと100メートルって所まで来たら、トンネルの入口にスタッフさん達の人だかりが見えて…


「やっと終わった、帰ってきたー!」って、ほっとした瞬間、明らかに僕の左側を スーッと、黒い影が通ったんです。

明らかに通ったってわかったんで、思わず「うわああああああ!!!」って、悲鳴上げちゃったんですよ。


「やばい、やばい、見ちゃった」と思ったんで、すごい勢いでだぁーーーーーっと、出口まで走って行って、「ちょっと今、やばかったです。えらいこと起きました!!!」って言ったら、外にいたスタッフさんたち、普通なら「どうしたの?」「何があったの?」って聞くじゃないですか!?

じゃなくて、みんな「だよねぇ」って言ったんです。

「えっ?いやいや、今すごいことが起こったんですよ」
「だよなぁ」
「いや、だよなぁってどういうことですか?今、歩いていたら僕の横を人影がスーッと通ったんですよ。 あれ絶対、幽霊ですよ。 見ちゃいました」


「えっ、人影?えっ、何!?人影なの???」と、スタッフのみんなが言うんで、「どういうことなんですか?」って聞いたら、

「いや今ね、トンネルの中で島田が『うわぁっ!』って悲鳴を上げたタイミングで、外にいる全員、明らかに後ろの方から男性の声で 『おぉいっっ!』 って、聞こえたんだよ」

で、外のみんなも男の声が聞こえたから「うわぁ」って悲鳴を上げていたら、それと同じタイミングで、トンネルの中の僕も悲鳴を上げて走ってきたんですって。

だから、あぁ、これ島田も聞こえたんだと思っていたんだけど…、「お前、声じゃないの?」

「いや、声じゃないです。僕、 人影 でした」

これ、全然違う場所で、同じタイミングで、声が聞こえて、人影が見えたってことは、やっぱりあのタイミングで、 何かいたんだ みたいなことになって、すごく怖くなっちゃったんですね。

そこで、「これ、しゃれになんないから、今日は早めにエンディングにして、もうロケ切り上げようよ」ってことになって、(最初に来た)木々が生い茂っている林の方に戻って、その木の下で締めの収録をしたんです。

「いやぁ、今日はちょっといろいろ起きちゃいましたね。これ、もしかしたらね、映像も映っているかも知れませんし、音も入ったかもしれません。後で検証しますんで、皆さま、ぜひご覧いただきたいと思います。いやぁ、怖かったですね。今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました」

と、ロケが終わって、一歩二歩と歩いた瞬間、「バキバキバキッ」って音がして、僕が立っていた所の上にあった 木の枝が折れて、ドスンと落ちてきたんです…!


結構な大きな枝で、みんな、「これは、とちったり、撮り直しになっていたら 完全に直撃 していましたよね」。「だよなぁ、やばいやばい。ちょっともう、早く帰ろうよ」と言い合い、ロケは終わったんですが…。

僕は最初に自分の家まで帰って、スタッフさんたちは撤収が終わったあと、みんなでワゴンに乗り込んで帰ったんですけれど…、その帰り道、スタッフの乗った車が 事故を起こしちゃった んです。


高速道路で分岐するはずではない所なのに、運転手さんがちょっと疲れていたのか、なぜか左側に曲がろうとしちゃって、「あっ、違う違う」って急ハンドル…!

怪我人とか、人が亡くなったとかはなかったんですけど、本当に一歩間違ったら、 全員亡くなっていてもおかしくなかった ぐらいの事故を起こしちゃったんですよ。

このことを霊媒師の方に話したら、「本当に危なかったですね。もう絶対に、その場所には行っちゃダメですよ」って、言われたんですね。

なぜかっていうと、そこは太平洋戦争中の日本軍の秘密基地なんですけど、いまだにその兵隊さんたちの霊が残っていて、そこを守っているんだと。そんな中、僕らが撮影に来たもんだから、そこの情報を持って外に出られたらダメじゃないですか。


だからそこで、もう外に出られないように、 命を取りに来てたんだろう って。

僕らはたまたまギリギリ守られていたんで、事なきを得ただけなんだと。


取材・文=寳田真由美(オフィス・エム) 
撮影=米山典子