2023年6月16日に公開となった、“ジャパニーズホラー”の巨匠・清水崇監督の映画『忌怪島/きかいじま』に出演する平岡祐太さんと水石亜飛夢さん。いまだシャーマンのいる島でVR研究を行うチーム“シンセカイ”のメンバーとして、呪いの島で恐怖に襲われるプログラマーとエンジニアを演じている。ともに清水監督作品への参加は初めてというお二人に、映画の見どころはもちろん、撮影が行われた奄美大島での思い出についても語ってもらった。
――『忌怪島/きかいじま』はホラーの定番要素である“怨念”と、“VR”という最新の科学的要素を融合させた作品ですが、お二人が新味に感じたところを教えてください。
【平岡】“VR×ホラー”というのは、この作品で初めて聞きました。今の時代、自分がいなくなっても、インターネットやSNSには自分のデータが残るんだろうなと思うと、ひと周りすると、いなくなった実感がわかないのかもしれないなと。そういう意味では、この映画のようにデータが勝手に動き出しても不思議じゃないかもなと思いました。
【水石】本当に今まで観たことがない新しい映画になっています。ホラーに加えて、最新テクノロジーにヒューマンドラマと、盛りだくさんの内容ではあるのですが、それが見事なマリアージュを醸し出していると思います。現場でもみんなで「これはなんていうジャンルになるんだろう。いや、もちろんホラーなんだけど…」なんて会話をしていました。
――それぞれ演じた役の印象は?
【平岡】台本を読んだときの山本の第一印象は、ものすごく筋トレをしていそうなキャラクターだなと思いました。知的なイメージというよりは、周りとのコミュニケーションを気にしていたり、ムードメーカーとしてチームを引っ張っていこうと思っているけれど、実は周りからはそんなに慕われていないという(笑)、そんな役回りでしたね。
【水石】僕が演じた北島は、不器用な子です。手先は器用なんですけど、自己顕示欲が強く、小さなコミュニティの中でも「カースト上位でありたい!」と思っていて、それがうまくいかないと、つっけんどんになってしまうこともしばしば。しかし、素直になれないだけで、根はよい子なのです!そのバランスを監督が演出してくださいました。
――清水崇監督といえば、「呪怨」シリーズや「村」シリーズなど数々の大ヒットホラー映画を手掛けられている“ジャパニーズホラー”の巨匠です。お二人はもともとホラーは好きでしたか?
【平岡】僕は撮影の合間に清水監督の「牛首村」を島(撮影地の奄美大島)の映画館に観に行きました。これまであまりホラーを観たことがなかったので、「ホラーにも物語があるんだ!」と驚きました。ホラーといえば、どうしても脅かしてくるイメージがあったので、失礼ながら、それはとても意外でした。
【水石】清水監督は、その日の夜にお手洗いやお風呂に行けなくなる人を量産していますよね(笑)。気を抜いていると、いきなり来るし、構えたら構えたで来ない。今回は出演する側だったので安全でしたが、観る側はたまりません。ですが、“非日常”を与えてくれるのは、ホラーの醍醐味だと思います。
――清水監督の現場で印象に残っていることはありますか?
【平岡】清水監督は僕が演じる役のセリフを、僕の隣に来てポツポツしゃべられるんですね。具体的なイメージを持たれているようだったので、僕もその言い方をしたほうがいいのかなと思いながらやっていました。シーンによってはワンカットを長めに回して、いいショットが撮れるまで粘るという一面がありました。撮影現場での監督はいつも楽しそうでしたね。
【水石】清水監督はホラーの演出だけでなく、人間模様も丁寧に作ってくださいます。そこにイレギュラーなものが混じることで、当事者たちの本性や反応が鮮明になっていくんですよね。だからこそ、清水監督の映画はただ怖いだけではない深みがあるんだと思います。
――『忌怪島/きかいじま』では島に伝わる“イマジョの呪い”が描かれますが、そもそもお二人は心霊現象を信じますか?
【平岡】とくに信じてはいないのですが、“見える”方に見てもらったら、「かなりくっついてきてる」と言われました。その方が言うには、受け入れてくれそうだからついてくるそうで。どうやら、みんな島の人たちらしく、撮影時はホテルに戻ると気が重くなって、いつも体に塩を振っていました。でも、最後に言っておきますが、信じてないですから!
【水石】僕自身に霊感はないですけど、信じています。でも、できることなら怖い体験はしたくないですね。お化け屋敷も苦手ですし、今回も心霊スポットでの撮影がなくてホッとしました。ですが、最近、Instagramに以前より応援くださっている方から、「昨晩、◯◯公園で、爆走してませんでしたか?人違いだったらすみません」というDMが届いて。「もしかしたらドッペルゲンガー?」などとも思いましたが、もしそうだとしたら、同じ顔で夜の公共の場で爆走しないでほしい。ちゃんと別人です(笑)。ここでご返答とさせてください。
――撮影が行われた奄美大島で楽しんだグルメや、空き時間に出かけたスポットがあれば教えてください。
【平岡】僕は島での滞在時間が長くて、いろいろと満喫させていただきました。海に潜ってウミガメを探したり、泥染を体験したりしました。あと、泊まっていたホテルの近くにいい感じのカフェを見つけて。そこの小倉トーストがおいしくて、そこで本を読んでいたり、店員の方に話を聞いたりしていました。
【水石】やはりここは「ビッグツー」を挙げさせていただきたいです。今回の映画の協賛もしてくださっている奄美大島の大きなホームセンターなんですが、「お客様と夢の共有を楽しめる実用品を中心に取り扱っています」とのことで、ここに来れば大体なんでもそろいます。我ら“シンセカイ”チームは、このビッグツーロゴTシャツをおそろいで着て、現場やご飯を楽しんでおりました。ほかにも親切にしていただいた多くのお店のみなさま、本当にありがとうございました!
<作品紹介>
映画『忌怪島/きかいじま』
ある島でVR研究を行う天才脳科学者の片岡友彦(西畑大吾)と、チーム“シンセカイ”のメンバーたち(平岡祐太、水石亜飛夢)。ある日突然、開発中のVRにシステムエラーが発生し、そこに赤いバグが現れる。やがてそれは島の“イマジョ伝説”と関わりがあることがわかり、奇怪な死を遂げる人々が続出していく。
<プロフィール>
平岡祐太(ひらおか・ゆうた)■1984年生まれ、山口県出身。20005年の 映画「スウィングガールズ」で第28回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2017年以降、ドラマ「内田康夫サスペンス 新・浅見光彦シリーズ」(TBS系)の4代目・浅見光彦を演じている。6月16日公開の映画「魔女の香水」に出演。
水石亜飛夢(みずいし・あとむ)■1996年生まれ、神奈川県出身。2012年のミュージカル「テニスの王子様 2ndシーズン」でデビューし、2020年のスーパー戦隊シリーズ「魔進戦隊キラメイジャー」に押切時雨 / キラメイブルー役で出演。7月29日(土)に開幕する音楽劇「精霊の守り人」に出演予定。