冥府の王に裁かれる…会いに行ける!全国の「閻魔さま」をチェック

2023年7月5日

地獄の主のイメージが強い閻魔大王。実際は地獄と極楽の間にいて、死後の行き先を決める裁判官の一人。地蔵菩薩と同一の存在とも言われ、話に聞くような恐ろしいだけの存在ではない(諸説あり)閻魔大王に会いに行こう。
※本記事は、2023年5月1日発売のムック 「異界Walker」 の転載記事です。

人生をよき方向に導く日本最大級の閻魔大王さま「賢臺山 法乗院(深川ゑんま堂)」(東京都江東区)

賽銭を投入すると説法を語ってくれる閻魔大王さま

1629年(寛永6年)に開創された賢臺山は、江戸時代から地域の人々に「深川ゑんま堂」として親しまれてきた。安置されているのは日本最大級の巨大さを誇る閻魔大王座像。祈願の際にお賽銭を入れると、さまざまな説法が流れるハイテク仕様。本堂1階には「地獄極楽絵」の展示もある。

<閻魔さまDATA 高さ:3.5メートル/幅:4.5メートル/造り:寄木造り>

【写真】仏様のありがたい説法が聞ける賢臺山 法乗院(深川ゑんま堂)

大王像の前に並ぶ「家内安全」「合格祈願」など19の祈願が書かれた賽銭投入口

ゑんま堂のご開帳日には極楽浄土の世界も体感できる

「地獄極楽絵」本堂1階には1784年(天明4年)に江戸の宋庵という絵師によって描かれた16枚の地獄・極楽図が展示されている

ご朱印(300円)は本堂がある建物の1階・寺務所で受け付けている。閻魔大王(写真)とご本尊の大日如来の2種類あり


目を大きく見開いた威厳にあふれる法王像「千本ゑんま堂 引接寺」(京都府京都市)

閻魔法王像は、司録尊と司命尊に挟まれた真ん中に鎮座している

閻魔法王にも仕えていたと言われる小野篁が開祖の寺院。両隣に「司録尊」と「司命尊」を従えた閻魔法王像が祀られている。普段は扉越しでしか拝めないが、1日数回の昇殿時間には、説明を受けながら間近で拝むこともできる。

<閻魔さまDATA 高さ:2.4メートル/幅:2.4メートル/造り:木彫り>

閻魔法王の右に座する「司録尊」像は裁判の結果を記録するのが役目

左には人間の生涯における善行と悪行を漏れなく記録した閻魔帳を持った「司命尊」像がある

千本ゑんま堂 引接寺では、現世と来世のことわりを学べる

かわいらしくデフォルメされた真っ赤な顔の「閻魔みくじ」(600円)。陶器なのでおみやげにもぴったり!

閻魔様にお供えした餅から作ったのが始まりと言われるかき餅、「ゑんま様のお目こぼし」(400円)。形もバリエーション豊か


肩を怒らせたりりしい姿が印象的「六道珍皇寺」(京都府京都市)

一般公開されている「閻魔堂」には小野篁作と言われる閻魔大王坐像のほか、冥官の小野篁立像、弘法大師坐像などが合祀されている

「六道」とは地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅(阿修羅)、人道、天道の6種の冥界を指し、人は死後、この六道を輪廻転生。この地が平安時代の鳥辺野葬場への入口に当たることから冥界との接点と信じられてきた。

<閻魔さまDATA 高さ:4尺9寸/幅:5尺8寸/造り:檜造り>

六道珍皇寺には現世と冥界の出入口とされる井戸も残る

「冥土通いの井戸」。冥土への入口とされる井戸で、普段は見ることができず、特別拝観日のみ公開(公式サイトで確認)

「閻魔みくじ」(500円)。樹脂製で思わず飾りたくなる、愛らしい姿の大王様が人気のおみくじ


閻魔大王が従える地獄の面々が総出演「海元寺」(福岡県福岡市)

閻魔大王の前には三途の川のほとりで亡者の服をはぎ取る「奪衣婆」、その横には亡者を責めさいなむ「牛頭馬頭」の像が祀られている

1396年(応永3年)に開山された浄土宗の寺。境内には閻魔大王を祀る「閻魔堂」と、西国三十三所観世音菩薩を祀る「観音堂」の2つのお堂が隣り合っていて地獄と極楽の世界を同時に参拝することができる。

<閻魔さまDATA 高さ:1.2メートル/幅:1.2メートル/造り:木彫り>

海元寺は閻魔大王と観世音菩薩のお堂が並び立つ珍しい寺

目にも鮮やかな赤い紙に書かれた珍しいご朱印(300円)。サイズは少し大きめ

「病厄難消除お守り」(500円)。閻魔さま、奪衣婆は古くより病いや厄難を祓ってくれると言われる


江戸庶民に親しまれてきた閻魔像「太宗寺」(東京都新宿区)

閻魔大王像には照明ボタンがあり、押すとライトアップされ、さらに威厳のある雰囲気に

正式には「霞関山本覚院太宗寺」という浄土宗の寺院。境内では閻魔像や奪衣婆像が祀られる「焔魔堂」のほか、江戸六地蔵のひとつである「銅造地蔵菩薩坐像」(都指定有形文化財)などが見学できる。

<閻魔さまDATA 高さ:約5.5メートル/幅:約4メートル/造り:漆喰造り>

太宗寺の閻魔像は江戸庶民に親しまれてきた


川中島合戦の戦死者たちを弔う「典厩寺」(長野県長野市)

巨大な閻魔大王像のある閻魔堂の天井には33体の観音菩薩、背面には四天王が描写

1561年(永禄4年)、川中島合戦で戦死した武田信玄の弟・典厩信繁と両軍の戦死者を弔った寺院。境内には典厩の墓や川中島合戦記念館など、戦死した武者たちの功績をしのぶ史跡が数多く残る。

<閻魔さまDATA 高さ:約5メートル/幅:約5メートル/造り:顔・木彫り、体・漆喰造り>

戦国時代の英雄たちが弔われている典厩寺閻魔堂(国登録有形文化財)


極楽往生へと導く宝珠を持つ閻魔大王「紀三井寺」(和歌山県和歌山市)

閻魔大王像は国の重要文化財の楼門横に鎮座。左隣には地蔵菩薩像も建立されている

救世観音宗の総本山で、西国三十三所の第2番札所。2020年2月に観音巡礼道を開く33個の宝珠を持った閻魔大王像が建立された。境内への入口となる楼門横に鎮座し、巡礼者を出迎えている。

<閻魔さまDATA 高さ:3.9メートル/幅:2.8メートル/造り:赤御影石>

紀三井寺は西国三十三所の第2番札所として有名だ


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