投資初心者は必見!ニュースによく登場する基本的な経済用語を解説

2021年9月16日

初心者が投資に関して勉強するなら、金融や経済に関するニュースをチェックするのがおすすめです。しかし投資を始めたばかりだと、ニュース内の基本的な経済用語を理解できない場合があります。

そこで今回は「日本銀行」や「日経平均」など、基本的な経済用語について解説します。ぜひ最後までご覧ください。

投資初心者が知っておきたい基礎的な用語をわかりやすく解説


日本銀行/日本唯一の中央銀行で銀行券を発行している

日本銀行とは、日本に一つしかない中央銀行です。中央銀行とは、国や地域の金融機関の中心に位置する銀行で、メガバンクや地方銀行のように個人のお金を預かることはしていません。

日本銀行では主に次の業務を行っています。

●銀行券(日本円)の発行・流通・管理
●決済に関するサービスの提供
●金融政策の運営
●金融システムの安定に向けた取り組み
●国の事務の取扱い、対政府取引に関する業務
●国際金融業務

これらの業務を行うのは、日本銀行には次の3つの役割があるからです。

●発券銀行としての役割
●政府の銀行
●銀行の銀行

日本銀行は日本で唯一、銀行券(日本円)を発行できる「発券銀行」です。そのため、1万円や5千円札といった紙幣を発行しており、500円玉や100円玉といった硬貨は国が発行します。

また「政府の銀行」である日本銀行は、政府が集めた税金や発行した国債の代金を預かり、公共事業の予算や公務員への給与として出金します。

そして日本銀行はメガバンクや地方銀行といった市中銀行の預金の一部を無利子で預かり、一定の金利で貸し付けをする「銀行の銀行」としての役割があります。市中銀行は貸し付けされたお金をそのまま放置しておくと利息分で損してしまうので、更に金利を上乗せして企業や個人に貸し付けを行います。日本銀行が市中銀行にお金を貸すことは、日本経済の活性化に繋がるのです。

また日本銀行は1994年の金利自由化以降、公開市場操作(オペレーション)で景気を調節しようとしています。

●景気が悪いとき…日本国債を日本銀行が購入(買いオペレーション)
●景気が良いとき…日本国債を売却(売りオペレーション)

日本銀行が民間金融機関を相手に国債や手形の売買を繰り返せば、市場に供給されるお金の量が調節され、景気の調節が可能になります。そのため、日本銀行は経済状況に応じた金融政策を定期的に発表しています。内容によっては日本経済に大きな影響を与えるので、個人投資家にとって注目度の高いニュースになります。

日経平均/日本を代表する上場企業の平均株価

日経平均とは東証1部に上場している企業のなかで、日本経済新聞社が選んだ日本を代表する225社の平均株価のことです。日本経済新聞社のことを日経と略すため日経平均、もしくは日経平均株価、日経225とも呼称します。


東証1部には約2000銘柄も上場されていますが、売買の活発さや安定度、業種のバランスなどを考慮して選ばれた225社は日本を代表する企業と呼べます。そのため、「日経平均が上がれば日本の経済は上昇している」、「日経平均が下がれば多くの企業が値下がりしている」と、推移を見るだけで日本経済のトレンドがある程度分かります。

ただし、日本を代表する企業の株式は時代によって変わります。会社の倒産や買収により上場廃止になったり、新分野の台頭により新しい企業が上場したりすると、日経平均は銘柄を入れ替えます。入れ替えは毎年10月に行い、最新の市場を反映できる指標に組み直します。日経平均に採用される、あるいは除外されるのは企業の株価に大きな影響を与えるため、市場参加者が注目するイベントとなっています。

GDP/国が一定期間に獲得した金額を表す経済指標

GDPとは、国が一定期間内に新たに生産したモノやサービスの付加価値の合計です。Gross Domestic Productの略称で、日本語に訳すと「国内総生産」になります。国の経済力を表す経済指標としても用いられ、前年同期や前年と比較することで国の景気を分析できます。なお、GDPには次の2種類があります。

●名目GDP…モノやサービスの付加価値の総額
●実質GDP…名目GDPから物価変動の影響を取り除いた総額

モノやサービスの付加価値は、需給バランスの変動に影響を受けます。名目GDPが2倍になったからといって、実際の経済が2倍になったとは限りません。そのため、名目GDPは発表された時点の経済規模を知るのに向いており、経済の成長度合いを比較するなら実質GDPの方が役立ちます。

GDPは国の景気がどうなっているのか分析できる指標のため、発表内容によっては市場に影響を与えます。日本だと一次速報は毎年2月・5月・8月・11月中旬頃に発表を予定しているので、時期が近づいたら市場の変動に警戒しておきましょう。

なおGDPは国内の生産力を表しているので、日本企業が国外で生産したモノやサービスの付加価値は含みません。

インフレ/モノやサービスの値段が上がり続ける状態を指す経済用語

インフレとは、モノやサービスの値段が上がり相対的にお金の価値が下がってしまう状態を指す、「インフレーション」の略称です。例えば、1個100円で購入できたパンが、1年後110円に値上げしたら年率10%のインフレが起きたと言えます。


物価が上がるのは一見すると悪いことのように思えますが、モノやサービスの値段が上がれば企業の利益が増え、国民の給与や収入が増える可能性があります。給与や収入が増えると需要が供給を上回り、モノやサービスの値段はさらに上昇。つまり、需要が増えてモノやサービスの値段が上がれば、結果として給与や収入がさらに上がるという連鎖が起きやすくなります。

このようにインフレは購買意欲を刺激して景気を拡大し、経済を良くする効果が期待できるのです。

景気拡大により発生するインフレはディマンド・プル・インフレと呼び、物価が年間で2%~3%上昇する経済は正常と判断されます。一方、賃金や原材料の高騰でモノやサービスの値段が上がってしまうインフレを、コスト・プッシュ・インフレと呼びます。これは需要が増えないため売上が減ってしまい、結果として経済を苦しめるインフレになります。

デフレ/モノやサービスの値段が下がり続ける状態を指す経済用語

デフレとは、モノやサービスの値段が下がり相対的にお金の価値が上がる状態を指す、「デフレーション」の略称です。例えば、1個100円で購入できるパンが1年後90円に値下げしていたら、年率10%のデフレが起きたと言えます。

物価が下がると生活は楽になるように思えますが、モノやサービスの値段が下がると企業の利益が減り、給与や収入が減ってしまう可能性があります。給与や収入が減ると需要が減るため、モノやサービスが売れなくなった結果さらに値段を下げ、給与や収入がもっと減ってしまうという連鎖が起きやすくなります。

このようにデフレによって物価が下がると将来的には企業の収益が下がり、従業員の給与がカットされる、あるいはリストラされて失業者が増えるなど、経済に悪い影響を与える可能性があります。モノやサービスが売れなくなり給与や収入が下がり続ける現象を、デフレスパイラルと呼びます。

インフレとデフレは国民の購買意欲を分析する指標になるため、日本の物価が上がっているのか下がっているのか定期的に確認してみましょう。

外国為替/異なる国の通貨を交換する行為

外国為替とは、異なる国の通貨を一定のレートで交換する行為を指す経済用語です。例えば、日本円をドル、あるいはユーロに交換したり、ドルとユーロを交換したりすることを外国為替と呼びます。


外国為替市場は24時間いつでも取引されており、通貨の価値と需給バランスにより為替のレートは変動します。為替レートが変動する主な要因は、以下になります。

●金利差
●貿易収支
●物価変動
●中央銀行の為替介入
●経済指標の発表
●政治的要因

外国為替は二カ国間の事情が絡んでくるため複雑に思えますが、基本的には人気の高い通貨ほど価格は高くなり、人気の低い通貨ほど価格は下がります。

円高円安/他の外国通貨と比較した時の日本円の相対的価値

円高や円安は、日本円を外国通貨と交換した際に、以前と比べて高くなったのか安くなったのかを表す経済用語です。

例えば、ある時点でのドル/円が1ドル=100円だったとします。1ドル=100円とは、1ドルを買う(交換)ために100円を支払う必要があるという意味になります。

1年後のドル/円が1ドル=80円になったとします。1ドルを80円で買えるようになったので、1年前に比べて同じ金額で多くのドルを購入できるようになりました。つまり、ドルの価値が安くなり、円の価値が高くなる「ドル安・円高」と言えます。

一方、1年後のドル/円が1ドル=120円になったとします。1ドルを120円で買うことになるので、1年前に比べて同じ金額でも購入できるドルは少なくなります。つまり、ドルの価値が高くなり、円の価値が安くなる「ドル高・円安」と言えます。

円高円安は投資や経済だけでなく、日常生活や海外旅行にも関係します。アメリカ旅行の旅費として20万円を用意していた場合、1ドル=80円のドル安・円高だったら、旅行中に使えるドルは約2500ドルになります。しかし、1ドル=120円のドル高・円安だと、旅行中に使えるドルは約1666ドルまで減ってしまいます。

用意した旅費は同じなのに、円高だと旅行で使えるドルが増え、円安だと旅行で使えるドルが減ってしまうのです。よって、海外旅行に行くなら円高の時がお得だと言えます。

反対にアメリカ人が日本へ旅行に来た場合、円高だと旅行で使える円が減り、円安だと旅行で使えるドルが増えます。海外旅行客を相手に商売をしている場合は、円高よりも円安の方が有利になります。

このように、海外との取引において大きな影響を与える円高円安。ニュースでこの用語を目にした際は、日本円の価値が上がっているのか下がっているのか間違えないようにしましょう。

正しく用語を理解して、ニュースをチェック

今回はニュースでよく聞く経済用語について、紹介しました。意味を正しく理解したうえでこまめにニュースをチェックし、今後の投資に役立ててください。

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