投資に興味があっても関連用語が理解しづらく、始められない人も多いのでは?そこで今回は、「株主優待」や「東京証券取引所」など、株式投資に関する基本的な投資用語について解説します。ぜひ最後までご覧ください。
株式
株式とは、株式会社が事業を行うのに必要な資金を投資家から出資してもらう代わりに渡す証券のことです。株式を保有している人物を株主と呼びます。
例えば企業が工場を立てて、製品を作り販売したいとします。この時、資金が足りないと企業は金融機関から「借入をする」「社債を発行する」「株式を発行する」のいずれかを選択します。株式を発行した場合、企業は出資金を返金する義務はありませんが、株主が行使する権利を認める義務が発生します。株主には主に次の権利が生じます。
●株主総会に参加して議決に加わる権利
●配当金などを受け取る権利
●企業の解散時に資産を分配して受け取る権利
株主は保有している株式の数に応じて、上記の議決権や配当金、株主優待などを受け取れます。
株式投資
株式投資とは、他の投資家と株式の売買取引を行う資産運用のことです。企業が発行した株式は別の人に売却することができ、反対に別の株主が保有している株式を購入することもできます。
株式を売買する際に重要なのが株価(株式の値段)です。一般的に、モノやサービスの値段は売り手が決めて、買い手が納得したら売買が成立します。株価も同じで、需要(買い手)と供給(売り手)のバランスによって決まります。
例えば、業績が良い株式は配当金が増える可能性があるため、誰もが欲しがります。これを「需要が増える」と呼びます。需要が増えた(人気が上がった)株式は価値が高まるため、売り手が株価を高くしても取引されるようになります。
反対に、業績が悪い株式は配当金が減ってしまう可能性があるため、欲しがる人が少なくなります。これを「需要が下がる」と呼び、需要が減った(人気が下がった)株式は価値が下がるので、売り手が株価を安くしても取引されない場合があります。
つまり、企業が成長し株式の価値が上がったタイミングで売却すれば、売却益を得ることができますが、企業の業績が悪化すれば損失が発生する可能性もあります。このように株式投資は需給バランスによって損益が発生する資産運用方法になります。
株主優待
株主優待とは、企業が株主に対して自社サービスの割引券や商品をプレゼントする制度です。保有株数によってもらえる優待内容が異なり、上場している全ての企業で行われているとは限りません。
株主優待の内容はさまざまで、お米や洗剤といった自社商品が直接送られることもあれば、金券やカタログギフトなどがもらえる場合もあります。また、株式を長期保有した株主に対して、通常の株主優待にプラスしたサービスがある長期保有制度を取り入れている企業もあります。
株主優待の権利を獲得するには、次の条件を満たす必要があります。
●保有株数が最低単位を超える
●権利確定日の2日前、権利付最終日までに株式を購入する
例えば、7月31日に株主優待の権利が確定する株式は、次のようなスケジュールになります。
権利付最終日/7月29日
この日までに株式を購入すると株主優待の権利がもらえる
権利落ち日/7月30日
この日以降に株式を売却しても権利は失われない
権利確定日/7月31日
この日に株主優待の権利が発生する
株主優待の権利が確定するのは本来なら確定日なのですが、証券会社の手続きの都合上、権利確定日の2日前までに株式を保有していれば、株主優待の権利がもらえます。
つまり、権利確定日が7月31日の株式だと、7月29日まで株式を購入して取引所が終了する時間まで保有していれば、株主に株主優待の権利が株主に付きます。そのため、翌日(7月30日)の権利落ち日に株式を売却しても、株主優待の権利は失効されません。
株主優待が魅力的な株式は、権利付最終日前近くなると株価が上がることがあります。反対に権利落ち日になると、権利を手に入れた株主が売却をするので、株価が下がりやすくなります。株主優待が気になる方は権利付最終日などの情報をしっかりと確認しましょう。
証券会社
証券会社とは、主に個人投資家の代わりに株式の売買を取引所で行ってくれる企業のことです。投資家同士が直接売買するのではなく、証券会社が間に入って売買します。
なお店舗型とインターネット型の2種類があり、それぞれメリット、デメリットが異なります。
【店舗型のメリット・デメリット】
証券会社の店舗型のメリットは、投資家に担当者が付くことです。対面や電話などで対応してくれて、口座開設の手続きやおすすめの金融商品の紹介、リスクヘッジの相談などにも乗ってくれます。
証券会社の店舗型のデメリットは手数料が高いことです。担当者や店舗を構える費用がコストとなって投資家の負担になります。コストが重いと、最終的に得られる利益が少なくなってしまいます。
【インターネット型のメリット・デメリット】
証券会社のインターネット型のメリットは、手数料が店舗型に比べて安いことです。また、インターネット型は申し込みや取引がスマートフォンやパソコンで完結できるので、店舗に行けない方でも株式投資を始められます。
証券会社のインターネット型のデメリットは、投資家に担当者が付かないことです。そのため、投資に必要な手続きや知識は、投資家が自分で行ったり学んだりしなくてはいけません。投資判断も投資家に委ねられるため、投資や経済の知識が少ない方だと失敗するリスクが高くなります。
東京証券取引所
証券取引所とは、株式を始めとした有価証券が売買される市場です。日本全国に4カ所あり、東京証券取引所は日本最大級の証券取引所。株式に関する情報を監視し、安全な売買を行えるようにしています。
株式は投資家同士で売買できますが、売買するための市場(場所)がないと、健全かつ公正な取引は行えません。そこで、企業は株式を売買しやすくなるように証券取引所に上場することを目指します。
現在の上場市場区分は市場第一部、市場第二部、JASDAQスタンダード、マザーズ、JASDAQグロースに分かれており、市場第一部に上場している企業のことを、東証一部上場企業と呼び、日本国内では一流企業の証と言えます。なお、2022年4月1日に東証再編が予定されています。
マザーズ
マザーズとは、東京証券取引所が運営している株式市場の1つで、上場している企業は成長企業が多いです。2021年8月時点で370社以上が上場しており、ITやテクノロジーを中心としたベンチャー企業で構成されています。
マザーズに上場しているなかで、東証一部への上場を目指している企業も少なくありません。また、東証一部に比べて審査基準が緩いため、株価が変動しやすいという特徴もあります。
JASDAQ(ジャスダック)
JASDAQは、東証一部や二部に比べて株主数や時価総額が少ない、中小型株を中心とした株式市場です。マザーズに比べて歴史が長く、老舗企業も少なくありません。
JASDAQはスタンダードとグロースの2つに分かれています。JASDAQスタンダードは純資産が2億円以上で最近1年間の利益の額が1億円以上、あるいは時価総額が50億円以上の企業が上場しており、JASDAQグロースはJASDAQスタンダードの条件に当てはまらない企業が上場しています。
新興企業はJASDAQスタンダードの審査基準をクリアするのが難しいため、JASDAQスタンダードは老舗企業、JASDAQグロースは新興企業と見なされやすくなっています。
用語を理解して投資を始めよう
今回は投資初心者にまずはおさえてほしい基本的な用語を紹介しました。きちんと意味が理解できれば、投資への熱意や興味も増していくでしょう。