「お金のことをもっと勉強しなきゃ」「お金の使い方を見直したい」と思いながら、何から手をつければよいかわからない――。そんな“お金超初心者”に、ファイナンシャルプランナーの坂本綾子さんが “お金の基本のキ”を教える連載がスタート。アベナオミさんのマンガとともに、これからの時代に知っておきたい「お金の知識」をわかりやすく楽しくガイドします!今回は第10回です。
残高確認から税金の支払いまで24時間スマホでらくらく!
インターネットが普及する前と後では、世の中は大きく変わりました。それは銀行取引についても同じです。以前なら窓口やATMまで出向くことが必要だった取引の多くがネット上でできるようになりました。
インターネットバンキングでできることは、主に次の通りです。
●残高や明細の照会…通帳記帳しなくても残高や取引明細をネット上で確認できる
●定期預金の作成と解約…普通預金口座から定期預金を作成したり、保有する定期預金を解約したりできる
●振込や振替…他の銀行の口座に振込をしたり、自分名義の別口座へ振替したりできる。
●税金などの支払い…ペイジーなどのサービスを使い、税金などの支払いができる。
●運用商品の購入と解約…投資信託などの運用商品の購入や解約ができる
●住所変更…住所が変わったときに変更できる。
※銀行により利用できるサービスは異なります。
インターネットバンキングのサービスが始まった当初は、パソコンでの取引でしたが、スマートフォンの普及にともない、スマホでの取引もできるようになり、銀行アプリを使えばより便利に取引ができます。銀行によっては銀行の口座開設そのものがスマホのアプリで可能、本人確認書類もスマホのカメラ機能で撮影して送れます。また、窓口やATM は、開いている時間や稼働時間が決まっていますが、ネットバンキングは原則365日24時間、自分の都合のいい時間にできます(取引の内容によっては、申し込みは可能だが、取引の成立は翌営業日になることも)。
時間・手数料・金利、すべてがお得なインターネットバンキング
パソコンやスマートフォンを使ってインターネットバンキングを行うことで、銀行取引が気軽に便利にできる上に、わざわざ出かける時間も節約できます。
さらに嬉しいのは、お得なことです。例えば振込手数料は、窓口よりもATM、ATMよりもインターネットバンキングを使う方が安くなる銀行が多くなっています。また、インターネット専業銀行などでは、定期預金の金利を一般的な銀行よりも高く設定しています。店舗の維持費や人件費が少なくて済む分を金利で預金者に還元しています。
便利でお得なインターネットバンキングなのですが…。SNSやネットショッピング、情報収集では日常的にインターネットを使っている人でさえネットでの金融取引に抵抗があるケースは意外と多いようです。ネットショッピングに比べて、ネットでの金融取引の普及率はまだ低いというデータもあります。理由は、安全への不安です。
セキュリティ対策のために気を付けることは?
時おり、ニュースで報道される事件としてインターネットバンキングによる不正送金があります。パスワードを盗まれて、自分が知らない間に口座のお金が別の人の口座に振り込まれて盗られてしまう被害です。
インターネットバンキングでは、本人以外の人が勝手に取引できないようパスワードを設定します。振込などでお金を動かすような特に大事な取引の場合は、二つ目のパスワードを使って二段階で認証する仕組みが取り入れられています。二つ目のパスワードは使い捨てのワンタイムパスワードを採用している銀行が多く、従来の決まったパスワードよりも安全性は高くなります。しかし、巧妙な手口でこれを盗み取る例もあります。安全性を保つには、偽物のサイトに誘導されないよう、ログインは必ずブックマークした銀行の公式サイトから行うこと、おかしなメールのリンクをクリックしないこと。メールはパソコンのみならずスマホのショートメールにも要注意。パソコンやスマートフォンのOSやアプリは常に最新の状態に更新しておくことです。万一のとき、本人に非がなければ、銀行側にも非がなくとも、全額補償を行うとの申し合わせを銀行協会が発表しています。
もちろん被害に遭わないことが一番ですから、しっかり気を付けて取引を行いましょう。
一度使ったらやめられない!?便利なインターネットバンキングを始めよう
セキュリテイ対策は必要ですが、一度インターネットバンキングの便利さを体験したらもう元へは戻れないでしょう。複数の口座の情報を一元管理して家計状況を「見える化」できる家計簿アプリも、インターネットバンキングの契約をしている口座でなければ連携できません。
もしまだ使っていないなら、まずは口座を持っている銀行でインターネットバンキングを申し込んではいかがでしょうか。都市銀行や地方銀行では、インターネットバンキングの申し込みが必要です。新しく口座を作る場合は、口座開設と合わせてインターネットバンキングを申し込むことができます。インターネット専業銀行では、そもそも取引は原則インターネットですから、口座開設すればインターネットバンキングを使えます。
【著者 プロフィール】
坂本綾子/ファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所代表。 20年を超える取材記者経験を生かして、生活者向けの金融・経済記事の執筆、家計相談、セミナーを行っている。 著書に「年収200万円の私でも心おだやかに毎日暮らせるお金の貯め方を教えてください!」(SBクリエイティブ)など。
【イラストレーター プロフィール】
アベナオミ/宮城県生まれ、宮城県在住。地元情報誌のデザイナーをしながらイラストレーターとしても活動。2016年にフリーランスに。著書に「マンガでわかる!妊娠・出産はじめてBOOK」(KADOKAWA)など。