「お金のことをもっと勉強しなきゃ」「お金の使い方を見直したい」と思いながら、何から手をつければよいかわからない――。そんな“お金超初心者”に、ファイナンシャルプランナーの坂本綾子さんが “お金の基本のキ”を教える連載がスタート。アベナオミさんのマンガとともに、これからの時代に知っておきたい「お金の知識」をわかりやすく楽しくガイドします!今回は第12回です。
資格取得や副業は収入増につながる?
コロナ禍で、自分の仕事や働き方について改めて考えた人は多いのではないでしょうか。リモートワークがしやすい仕事、街の人出が減ると利益が減る仕事、海外との取引が欠かせない仕事…。対面でなければ難しいと考えられてきた医療をオンラインで提供することも推進されています。同じ仕事や勤務先でも、これまでとは異なる働き方が取り入れられていきそうです。本業においても様々な変化があり、今後もその変化は加速しそうですが、資格を取って転職しようかとか、副業で稼いで収入を増やしたいなどと思った人もいることでしょう。
医師や弁護士など資格がなければできない仕事がある一方、会社員の多くは資格がなくても働ける職種で日々稼いでいます。資格がなければ働けない仕事であっても、資格はあくまでその職種の入り口を通過できる通行証のようなもので、その後、どんな立場でどれくらい稼げるかはその人次第のところが大きいのではないでしょうか。
とはいえ、資格は、そのテーマに関連する知識や技能が一定レベル以上あるという証明のようなものですから、企業によっては一定の資格取得を推進して資格手当を出すところもあるようですし、転職などの際に有利に働く可能性もあります。資格を取りさえすれば人生バラ色というほど甘くはありませんが、世の中のニーズを満たす仕事をするための資格取得であれば収入につながります。
資格取得の費用20~50%がもらえる教育訓練給付金
実際、コロナ禍では看護師が不足し、看護師資格を持ちながら働いてない人の復職を後押しする動きがありました。介護職も需要に対して働く人が不足しています。
もし、本気で資格を取得して、その仕事に就くつもりなら、会社員は雇用保険の教育訓練給付金を利用する方法があります。資格の種類により、受講費用の20%から50%の給付金をもらうことができます。対象となる資格や講座はネットで公表されているので、興味がある人は検索してみてください。申し込みの窓口はハローワークです。
失業してしまったなど切羽詰まっている場合は、公共職業訓練を利用して資格を取る方法もあります。科目は機械や電気関係などで一見地味ですが、仕事につながりやすいと言われています。
副業での収入にかかる税金に注意
副業についても、資格と同様に、そう簡単に大金を稼げるものではありません。しかし、中には副業から起業に発展させたりする人もいます。本業の勤務先で副業が認められているならチャレンジするのもいいですね。
副業の働き方も本業と同様に、会社などに雇われるケースと、個人事業として行うケースなどがあります。そして気を付けたいのが税金です。収入は課税の対象で、副業であっても一定の金額を超えると税金がかかってきます。目安は年間で20万円を超えるかどうか。経費が掛かった場合は経費を差し引くことができます。(表を参照)
人生100年時代に納得がいく働き方を
確定申告は、その1年間の収入を申告するものなので、本業の収入と副業収入を合わせた総収入を申告し、医療費控除や住宅ローン控除なども合わせて行います。副業も稼ぎが増えれば、それなりの税金を払うことになります。勤務先にちゃんと報告をしておかないと住民税額が増えることでバレてしまいます。
本業であれ副業であれ、仕事は世の中と自分の接点と言えます。やりがいがあってお金も稼げるなら言うことはありません。しかし、世の中や人の気持ちはそう単純ではないようです。需要があっても、その仕事はしたくない、別の仕事がいいと考える人もいるし、需要があって人が足りていないにもかかわらず給与が安い仕事もあります。
人生が長くなって、70歳まで働く時代?になりそうです。そのための環境づくりが政策として進められています。コロナが収束しても、時には、これからの仕事や働き方を考え、より自分にとって納得がいく選択ができるようにしたいですね。
【著者 プロフィール】
坂本綾子/ファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所代表。 20年を超える取材記者経験を生かして、生活者向けの金融・経済記事の執筆、家計相談、セミナーを行っている。 著書に「年収200万円の私でも心おだやかに毎日暮らせるお金の貯め方を教えてください!」(SBクリエイティブ)など。
【イラストレーター プロフィール】
アベナオミ/宮城県生まれ、宮城県在住。地元情報誌のデザイナーをしながらイラストレーターとしても活動。2016年にフリーランスに。著書に「マンガでわかる!妊娠・出産はじめてBOOK」(KADOKAWA)など。