「お金のことをもっと勉強しなきゃ」「お金の使い方を見直したい」と思いながら、何から手をつければよいかわからない――。そんな“お金超初心者”に、ファイナンシャルプランナーの坂本綾子さんが “お金の基本のキ”を教える連載がスタート。アベナオミさんのマンガとともに、これからの時代に知っておきたい「お金の知識」をわかりやすく楽しくガイドします!今回は第13回です。
クレジットカードや電子マネーは便利だけど使い過ぎに注意
あなたは現金派?それとも脱現金派?以前から現金派の方がお金は貯まりやすいと言われてきました。現金はお金を使う前に、財布にいくら入っているかな?足りるかな?と気にしますし、財布に入っている金額が使える上限です。それに対して、現金以外の方法だと手持ちの金額を気にせずにすむからです。特に使いすぎに注意したいのが後払いのクレジットカード。現金以外の支払い方法について整理してみると…。
・クレジットカード…財布に現金がなくても、さらに銀行口座に今の時点で残高がなくても、買い物ができてしまいます。後日まとめて銀行口座から引き落とし。
・電子マネー…事前にチャージする方法なら前払い。使えるのは残高の範囲なので現金に近い感覚。ただし、クレジットカードと連携させて自動的に入金される場合はクレジットカード払いに。
・デビットカード…銀行口座から買い物とほぼ同時に引き落とされるので、現金を引き出さずに現金と同様に支払うことができます。
・スマホ決済…支払い方法として何を連携させるかにより異なり、クレジットカードを登録しているならクリックするだけで買い物ができて、クレジットカード払い、つまり後払いです。
現金以外の支払い方法において、クレジットカードは大きな役割を果たしています。また、スマホ決済に銀行口座を連携できるなど選択肢が広がっています。
給与や年金など、定期的なお金の受取りがほとんど銀行口座への振込になっている現在、手元に現金を用意するって意外と面倒ですよね。以前なら、現金が足りずにATMを探し回ったりする場面でも、現金以外の支払い方法が増えていることで、お金を使うのが簡単になりました。簡単にお金を使えるということは、使いすぎになりやすいということでもあります。一方で、現金よりも便利ですし、メリットもあります。表は、現金と現金以外の支払い方法のメリットとデメリットです。
便利な支払い方法で節約するためのポイントは?
そして、手元に現金がなくても支払える、この傾向は今後もっと進んでいきそうです。今は現金派の人も、便利にお金を使おうとすれば、脱現金へと方向転換することになりそうですね。
では、脱現金で、なおかつ上手にお金を使って、引き締めるべきところは引締めて節約し、しっかりお金を貯めるには、どうすればいいでしょうか?
有効な方法は、支払い手段ごとに予算を決めることです。
これまでの家計管理では費目別に予算を決めるのが普通でした。例えば食費は月に○万円、お小遣いは〇万円など。費目ではなく支払い方法別に、例えばクレジットカードはいくら、電子マネーはいくらなどと予算を決めてしまいます。その上で、大まかでいいので、支払い方法と費目を関連付けておきます。
クレジットカードや電子マネーは、1枚だけではなく、それぞれ2~3枚使っているのではないでしょうか? そして、買い物をするお店とカードの相性など使いやすいパターンがあるなら、それをなるべく生かした方がストレスなく管理ができます。ただし、あまりたくさん使うと管理が煩雑になるので、カードは2枚程度、電子マネーも2種類程度になるべく絞り込みます。
支払い方法別の予算立てでシンプルに家計を管理
使い分けの例としては、Aクレジットカードは水道光熱費と通信費とカード払いの食費と雑貨、つまり日常的な支出。Bクレジットカードは旅行代金や家電の買い替えなど、非日常的な年に数回の支出。C電子マネーは定期代や交通費、通勤途中でちょっと飲み物やお菓子が欲しくなったときなど。自分が使いやすくお金の流れが見えやすければ、それで構いません。現金以外の支払い方法は記録が残るので、家計簿を付けなくても金額や支払い履歴を確認できます。1週間あるいは1か月に一度など定期的に自分のお金の使い方を振り返ってみましょう。財布の中の現金を眺める代わりに、しっかりと数字を確認します。注意点は、電子マネーはオートチャージにせず、予算として決めた金額をその都度チャージすることです。
日常的な支出の支払いに使うクレジットカードの予算は、当然ですか毎月の手取り収入の範囲です。非日常的な支払いは、預金残高やボーナスの金額などを元に予算を決めます。リボ払いや分割払いは手数料が高いので使わないように。
ほとんどの買い物が現金以外の方法でできるようになっていますが、お財布には現金もある程度は入れておきましょう。現金が強い場面もあるからです。小規模な商店では現金の方が歓迎されますし、クレジットカードなどのキャッシュレス決済は万一システムがダウンしたら使えなくなります。災害などが起きた場合は、電子マネーやクレジットカードが使えない、ATMから現金も出せないという状況が起きないとは限りまません。財布に入っていた現金だけが頼り、そんなことが起きないことを祈りますが、現状では、財布にある程度の現金を入れた上で現金および現金以外の支払い方法を併用するのが、リスクへの備えにもなります。
自分にとってわかりやすく、なるべくシンプルに使い分けられるよう、ぜひ支払い方法の再構築にチャレンジしてください。
【著者 プロフィール】
坂本綾子/ファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所代表。 20年を超える取材記者経験を生かして、生活者向けの金融・経済記事の執筆、家計相談、セミナーを行っている。 著書に「年収200万円の私でも心おだやかに毎日暮らせるお金の貯め方を教えてください!」(SBクリエイティブ)など。
【イラストレーター プロフィール】
アベナオミ/宮城県生まれ、宮城県在住。地元情報誌のデザイナーをしながらイラストレーターとしても活動。2016年にフリーランスに。著書に「マンガでわかる!妊娠・出産はじめてBOOK」(KADOKAWA)など。