「お金のことをもっと勉強しなきゃ」「お金の使い方を見直したい」と思いながら、何から手をつければよいかわからない――。そんな“お金超初心者”に、ファイナンシャルプランナーの坂本綾子さんが “お金の基本のキ”を教える連載がスタート。アベナオミさんのマンガとともに、これからの時代に知っておきたい「お金の知識」をわかりやすく楽しくガイドします!今回は第16回です。
国主導のスマホ料金値下げ競争が勃発!
スマートフォンの普及により家計に占める通信費は大きく増えました。もうちょっと安くならないかなと思っている人は多いですよね。そんな気持ちを刺激するかのように、このところ携帯電話に高い料金を払っているのは時代遅れ!と言わんばかりの広告合戦が繰り広げられています。以前からある大手ブランドが割安な新料金プランを出したり、格安スマホと呼ばれる新しいブランドが登場したり…。
この値下げ競争、実は国が主導しています。国際的にみて日本の携帯電話料金が高いので、これを改善しようという政策です。消費者にとってはありがたい話ですから、ぜひスマホ料金の見直しにチャレンジしましょう。そもそも現在利用できる携帯電話会社にはどんなところがあるのでしょうか。
大手ブランドと新ブランドの大きな違いは2つ
以前からあるのが大手ブランド3社。まだ多くの人は大手ブランドを使っているのではないでしょうか。大手の一角に楽天モバイルが参入しました。この4社は自社で通信のネットワーク網を整備しています。
大手からネットワークを借りることで自前の設備を持つ負担を減らして安い料金を提供するのが格安スマホと呼ばれる新ブランドで、複数あります。
大手ブランドと新ブランド(格安スマホ)との大きな違いは、店舗を利用できるかどうかと、データ通信料の設定です。
店舗網を維持するには、顧客に対応するスタッフの人件費を含め、店舗の家賃などの経費が必要になりますから、資金力が必要です。またスマートフォンの料金が高くなってしまう原因は、大手ではスマホでネットをするためのデータ通信料が高いことです。一度自分のスマホ料金の内容を確認してください。ネット上のマイページや各社が提供するスマホの専用アプリから見ることができます。大まかに次のような項目があります。
・基本料(契約しているプランの料金)
・データ通信料
・通話料
・オプション料(テザリングや保険料など)
端末を分割払いにしているなら
・機種代金(分割払い)
が加わります。
データ通信料のところで、契約しているギガ数(GB)と、実際に使っているギガ数(GB)を比較してみてください。20GB 以上か以下かがひとつの目安になります。実際には20GBも使っていないのに、20GB以上のプランで契約しているなら、使用量に合ったプランに見直すことでかなり安くなるはずです。データによれば実際の使用量は約半数の人が2GB以下です。また新料金や新ブランド(格安スマホ)では通常大手よりも20GB以下の使用料が安くなります。以下は、利用内容によりどれくらいの通信量になるかの目安です。
携帯会社の使い方や料金シミュレーションで判断
見直しの際には、自分が携帯電話会社をどう利用したいかも合わせて考えます。
◎料金プランの変更や、買い替えなど店舗で相談できる方がいい
まずは、現在使っていて店舗網がある大手ブランドのプランを見直すことで安くならないかを確認します。大手ブランドの新料金プランは、店舗で契約や相談ができるところもあるので、これも候補となります。
◎店舗がなくてもネットで申し込み、自分でSIMカード(通信サービスを利用するためのICカード)を差し替えるなどの作業ができる
端末の取扱いに慣れていて、とにかく安さを優先するなら、新ブランド(格安スマホ)も候補です。
ほとんどの携帯電話会社で料金のシミュレーションができるので、自分の使い方ならいくらになるかを確認してみましょう。ただし、以下の点には注意をしてください。
見直しの際に注意したい3つのポイントをチェック!
1新ブランド(格安スマホ)はテザリングできないものも
新ブランド(格安スマホ)ではスマホのデータ通信を利用してパソコンをネットにつなぐテザリングができないところがあります。できる場合もデータ通信料が可能性が高いです。外出先でテザリングを使っている人は注意。無料でWi-Fiを使えるお店を探すなどが必要になります。
2電話番号や端末を変えない場合は手続き・SIMカード入れ替えが必要
電話番号を変えずに携帯電話会社を乗り換えることができますが、これには手続きが必要です。また端末はそのままで通信サービスのみを乗り換えることもできます。この場合はSIMカードの入れ替えが必要です。
3違約金が発生する場合もあり
見直し時期や内容によっては違約金を払うことになるので、無料で解約できる時期を確認すること。固定電話とのセット割などはなくなります。
いろいろな手続きが必要になるので携帯電話会社そのものを変えるのはハードルが高いと感じる人もいるかもしれません。そういう人は、少なくとも現在使っている携帯電話会社で自分に合ったプランに変更することを実行しましょう。
見直しがうまくいけば月数千円単位で安くなる可能性があります。仮に月5000円安くなると年間では6万円。夫婦や家族で見直しを行えば家計への恩恵は大きいです。
【著者 プロフィール】
坂本綾子/ファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所代表。 20年を超える取材記者経験を生かして、生活者向けの金融・経済記事の執筆、家計相談、セミナーを行っている。 著書に「年収200万円の私でも心おだやかに毎日暮らせるお金の貯め方を教えてください!」(SBクリエイティブ)など。
【イラストレーター プロフィール】
アベナオミ/宮城県生まれ、宮城県在住。地元情報誌のデザイナーをしながらイラストレーターとしても活動。2016年にフリーランスに。著書に「マンガでわかる!妊娠・出産はじめてBOOK」(KADOKAWA)など。