「お金のことをもっと勉強しなきゃ」「お金の使い方を見直したい」と思いながら、何から手をつければよいかわからない――。そんな“お金超初心者”に、ファイナンシャルプランナーの坂本綾子さんが “お金の基本のキ”を教える連載がスタート。アベナオミさんのマンガとともに、これからの時代に知っておきたい「お金の知識」をわかりやすく楽しくガイドします!今回は第19回です。
車を買わずに使う派が主流になりつつある?
車の使い方に選択肢が増えています。ネットなどで予約して自分が乗りたいときだけ車を使えるカーシェアは、10年ほど前にサービスを開始し、順調に車両数を増やしています。また最近は、一定額の料金を毎月払うことで車を使えるサブスクリプションのコマーシャルもよく見かけます。車は自分で買って持たなくても使える時代になってきました。
自分で車を購入する、カーシェアやサブスクリプションを利用する、それぞれ、どんな特徴があり、どんな使い方に向いているのでしょうか。
これまで主流だった自分で車を購入する方法は、自分の資産としていつでも自由に使えるのがメリット。ただし、かなりの費用がかかります。まず車本体の費用。新車なら軽自動車でも100万円程度。大きさや性能により150万円~300万円。高級車はもっと高くなります。本体価格には消費税もかかります。現金一括で買うのは大変なのでローンを組むケースが多く、そうするとローンの利息が加わります。さらに毎年、税金や自動車保険の保険料、走行距離に応じたガソリン代、タイヤなどの消耗品代などまで。また、車の保有には駐車場が必須。自宅に駐車場がないなら駐車場を確保して駐車場代を払う必要もあります。
駐車場やガソリン代も不要!ステーションが近ければ便利なカーシェア
車両数が増えているカーシェアは、ステーションと呼ばれる駐車場に置かれた車を共同利用する仕組みです。会員になり、車を使いたいときは、乗る場所(ステーション)と時間をネットなどで予約します。カーシェア用の車が止めてあるステーションまで出向く必要があり、使い終わったら乗った場所(ステーション)に返却します。専用カードやスマホアプリなどで開錠します。
通常は月会費がかかり、これに使った分の利用料を合わせて支払う仕組みです。月会費は1000円程度、利用料も1時間1000円程度。日常的に利用したいなら、自宅近くにステーションがあるかどうかがポイントです。自分で車を持たないので駐車場が不要で、自動車保険やガソリン代なども利用料金に含まれているので、短時間であれば安く、気軽に車を使うことができます。ただし、乗りたい車種が近くのステーションに置いてない、先に予約した人がいると使えないなどのデメリットもあります。
オリックスカーシェア(オリックス自動車)、タイムズカー(タイムズモビリティ)、カレコ(三井不動産リアリティ)、dカーシェア(NTTドコモ)、カリテコ(名鉄協商)、トヨタシェア(トヨタ自動車)などがサービスを提供しています。
初期費用無し・毎月定額で利用できるサブスクリプション
車のサブスクリプションは、自動車メーカーが提供するサービスです。KINTO(トヨタ)、クリックモビ(日産)、マンスリーオーナー(ホンダ)など。
3年、5年、7年など期間を決めて申し込み、毎月料金を払います。購入の場合と違って初期費用がかからないため、まとまったお金を用意しなくてすむ点がメリットです。毎月の料金には車本体の利用料のみならず通常は自動車保険や税金なども含まれています。ただし、どこまで含むかはメーカーにより異なります。頭金を入れたりボーナス月に加算したりすることで月々の支払額を抑えられるサービスも。1か月あたりの走行距離に制限があるのが一般的です。自分で買って保有する場合と同様に駐車場が必要で、ガソリン代も自分で払います。それぞれのメリットとデメリットをまとめました。
駐車場の有無や利用時間、毎月の維持費が選択のポイントに
どれを選ぶかは、自宅に駐車場があるか、ない場合に駐車場を借りて駐車場代を払う余裕があるかどうかも大きく関連します。車本体の費用のみならず、駐車場代が高いから車は持たないという人は、特に都市部では多いと思われます。自宅に駐車場がない、あるいは駐車場代を払いたくない場合で、車を使うのが短時間なら、費用の面ではカーシェアが安くすみます。
購入とサブスクリプションは、いずれも駐車場を用意することが選択の条件になります。同じ車種であれば、費用の面ではサブスクリプションが安くなるケースが多そうです。保険加入や車検の手続きを自分でするのが面倒なら、維持管理が料金に含まれたサブスクリプションを利用するとラクです。ただしサブスクリプションは、走行距離の制限を超えた場合など追加の料金が発生することがあります。一方、購入は、ていねいに乗って中古車として売ることもできるので、車の使い方の個人差や次の車への買い替えなどまで考慮した場合は、状況によりどちらが得かは違ってきそうです。
日常的に車を使い、自分で所有することにこだわるけれど、費用を少しでも安く抑えたいなら、ていねいに長く乗れば1年当たりの費用を抑えることができます。また維持費が安い車種を選ぶ、中古車を買う方法も。
初期費用にどれくらいかけられるか、毎月の維持費としてどれくらいなら家計収支を圧迫しないかを考慮して選択を。
【著者 プロフィール】
坂本綾子/ファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所代表。 20年を超える取材記者経験を生かして、生活者向けの金融・経済記事の執筆、家計相談、セミナーを行っている。 著書に「年収200万円の私でも心おだやかに毎日暮らせるお金の貯め方を教えてください!」(SBクリエイティブ)など。
【イラストレーター プロフィール】
アベナオミ/宮城県生まれ、宮城県在住。地元情報誌のデザイナーをしながらイラストレーターとしても活動。2016年にフリーランスに。著書に「マンガでわかる!妊娠・出産はじめてBOOK」(KADOKAWA)など。