【マンガでわかる!お金超入門】投資初心者が知っておくべき低リスクな投資、要注意な投資とは?

2022年2月1日

「お金のことをもっと勉強しなきゃ」「お金の使い方を見直したい」と思いながら、何から手をつければよいかわからない――。そんな“お金超初心者”に、ファイナンシャルプランナーの坂本綾子さんが “お金の基本のキ”を教える連載がスタート。アベナオミさんのマンガとともに、これからの時代に知っておきたい「お金の知識」をわかりやすく楽しくガイドします!今回は第24回です。


リスクを抑えて生活に支障のない範囲で取り組もう

投資に対するイメージは人それぞれのようです。投資をすればお金を何倍にも増やせるという過剰な期待を持っている人もいれば、投資は怖いものとして敬遠する人もいます。実際、タイミングなどに恵まれてお金が10倍になることも起きるのが投資。逆に10分の1に減るかもしれない、それどころか減るのを通り越してマイナス、つまり負債を抱えてしまうケースもあるのが投資です。

ただし、投資とひと口に言ってもいろいろな種類があり、それぞれに特徴や違いがあります。また同じ種類の投資でも買い方(=お金の出し方)で結果が違ってきます。人間は知恵があるので、投資先の分析や、投資手法についてもこれまで様々な研究が行われてきました。

2020年に始まったコロナ禍では、1年ほどでワクチンが開発され、世界中のたくさんの人がワクチンを打って感染予防に役立っています。金融の世界でも、データ分析、金融商品や金融サービスの開発、投資手法の研究が進んでいます。

せっかくそんな時代に生きているのですから、投資のリスクをなるべく小さくしながら利益を得るために、現時点でわかっている方法を取り入れ、日々の生活に支障のない範囲で取組んでみではいかがでしょうか?今回はそもそも投資とは何かという原点と、投資の種類ごとの仕組みを紹介します。

投資の原点は資金を提供して配当金を受け取る「株式」

投資と言えば、思い浮かべるのはどんなものですか?FX?暗号資産?株式?不動産?

ズバリ、投資の原点は株式です。

働いている人の多くは会社員で、勤務先は株式会社ですよね。会社員は会社の利益を上げるために仕事に取り組んでいます。もちろん国や地域のために働く公務員もいるし、利益を上げることではなく人を育てる教職についている人もいますが、株式会社が社会で果たす役割はとても大きいのです。株式会社が提供する商品やサービスがあってこそ日々の生活が成り立ちます。株式を買うことは、その会社に資金を提供し、株主として会社の利益から配当金を受け取る権利を得ることです。

さらに、持っている株式が値上がりしたところで売れば、差額が利益になります。例えば、飲食業外で会社員として働く人が、車の会社の株式を買ったとしましょう。自分の勤務先からは利益から給与を受取り、投資先の車の会社からは株主として利益から配当金をもらえます(会社の経営状況によっては配当金が出ない場合もある)。労働者と株主の両方の立場になれるのが今の資本主義社会です。勤務先は簡単には変えることができませんが、投資先の会社は、将来性があり、利益が期待できそうなところを選ぶことができます。

そして株式を買う適切な方法は、株式市場に上場された会社の株を証券会社を通して買うことです。株式市場に上場するにはいろいろな基準をクリアする必要があるので、一定の基準を満たした会社といえます。未上場の株式も買えないことはありませんが、公開された市場で値段がついていない点でリスクがさらに高く、また悪質業者による詐欺被害も報告されているので避けた方がいいでしょう。

株式・債権・投資信託の3種を理解して手堅く投資を

昔からある投資の種類として、株式の次は債券です。株主として資金を提供する株式投資に対し、債券投資はお金を貸すことです。一定期間お金を貸して利息をもらい、最後に貸したお金を返してもらいます。

株式と債券の2つは、投資の基本。そして、複数の株式や債券を組み入れてパッケージにしたのが投資信託です。この3種類の投資について理解できれば、比較的手堅く投資をすることができます。

えっ、3つでいいの?投資って他にもいろいろあるでしょ!と思いましたよね。現在、消費者がお金を出せばできる投資は他にもあります。それぞれの特徴をまとめました。


低リスクなら「個人向け国債」、資金に余裕ありなら投資信託にトライ

表で紹介した投資の中で、最もリスクが小さいのは債券です。一般消費者を対象にさらにリスクを小さくした「個人向け国債」は、定期預金に近い性質で、定期預金よりも金利が高めです。預金と投資の中間くらいの位置づけでしょうか。次にリスクが低めなのは、投資信託の中で債券の比率が高いものです。初心者が投資する際の最初の一歩に使えます。

余裕資金があるなら、株式の比率が高い投資信託や株式投資にチャレンジする方法もあります。

金に興味がある人も多いようです。金には利子は付かず、利益や損失に影響するのは金の価格変動と為替変動で、手数料も高めなので、ある程度の預金があって、株式や投資信託での投資を経験した後で検討すればいいのではないでしょうか。

将来性はあるが高リスクで要注意なFXと暗号資産

注意が必要なのはFXと暗号資産です。いずれも、実際に存在する会社やモノ、サービスはなく、価格変動に賭けることになります。しかもレバレッジをかけた取引ができるので、リスクはかなり高くなります。暗号資産の仕組みは将来的に様々な可能性がありますが、投資先としては株式や投資信託を優先する、どうしてもやってみたい場合は少額にとどめ、レバレッジ(※)も低めにするほうが賢明でしょう。
※自己資金の何倍かの取引をすること。投資効率が高まり、利益が大きくなるが損失も大きくなる

不動産投資は、親族から不動産を引き継いだケースを除き、やはりリスクが高くなります。現物の不動産は価格が高いので、もともと不動産を持っていない人が不動産投資を始める場合、現金一括で購入できる人は少数派ですから、ローンを組むことになり、レバレッジを効かせた投資と同じだからです。購入後のキャッシュフローをシミュレーションしたり、空室が出ないよう工夫したりするなど、事業として取り組むぐらいの時間ややる気が必要です。不動産投資を金融商品化したREIT(リート)という投資信託を使えば、10万円程度から投資ができて、不動産投資特有の物件の管理もしなくてすみます。

いかがでしょうか?どんな投資に興味がありますか?日常生活の中に、資金面でも精神的にも無理なく取り入れられる投資に取り組んで、気が付いたらお金が増えていた、それが理想ですね。そのためには多少の知識は必要です。

次回は株式投資について詳しく説明します。


【著者 プロフィール】
坂本綾子/ファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所代表。 20年を超える取材記者経験を生かして、生活者向けの金融・経済記事の執筆、家計相談、セミナーを行っている。 著書に「年収200万円の私でも心おだやかに毎日暮らせるお金の貯め方を教えてください!」(SBクリエイティブ)など。

【イラストレーター プロフィール】
アベナオミ/宮城県生まれ、宮城県在住。地元情報誌のデザイナーをしながらイラストレーターとしても活動。2016年にフリーランスに。著書に「マンガでわかる!妊娠・出産はじめてBOOK」(KADOKAWA)など。