こんにちは。40代前半、3児の父にして2021年にFIREを達成した、みもじ(
@mimojinojinsei
)と申します。私は、貯金ゼロの浪費家から節約家へと転身し資産形成に専念しました。過去に働き過ぎて体と心を壊した経験から、自分の人生を見つめ直しFIREを決断。現在は資産形成のコツや自己の人生観について、Twitterを中心に情報を発信中です。
FIREとはFinancial Independence Retire Earlyの頭文字を取ったアメリカ発祥の文化で、経済的に独立して早期退職を目指すライフスタイルのこと。30~40代などで早くリタイアし、給与収入がなくても投資の運用益などで生活できるスタイルです。その分、自分や家族との時間を大切にして望み通りの人生を過ごすという考えは、私の人生観ともマッチしています。
ここでは「お金を使わずに幸せな暮らしをする」をテーマに、日常的に大切な節約について、あるいは資産運用と節約の大切さ、FIRE後の生活の楽しさなどをお話ししていきます。お金の不安を取り除き、少しでも多くの方に自分らしい人生を送ってもらうことが目標です。
第1回の今回は「資産形成する上で節約が大事な理由」と、投資とのバランスについてお伝えします。
資産形成において、なぜ投資よりもまず節約が大事なのか
FIREの達成のためにも、またその後の生活にも欠かせないのは、資産運用になります。ですが、まずしなくてはならないのは、投資ではなく節約です。
節約を徹底していくとお金の減り具合が変わってきます。お金をどれくらい使っているのかが感覚的に感じられるようになりますし、貯蓄額などの数字としても認識できるようになります。投資の運用益は始めのころはなかなか感じることができませんが、節約なら1カ月目から感じることができます。そのため、私の場合は資産形成のモチベーションアップにもつながっていました。
節約が大事な理由について、2つの大きなポイントを紹介します。
(1)投資初心者でも、節約することで資産運用と同様の効果が得られる
例えば、年利5%で300万円運用と仮定すると、(税金を考慮しない場合)年間15万円の利益になります。別な角度から見れば、もし年間15万円(月に1万2500円)分節約できたら、300万円を運用していることと同じ効果があるということになります。
まだ投資を始めていない人が、いきなり300万円を運用するのには抵抗があると思います。でも、節約ならそこまで大きな抵抗感もなくすぐに誰でも取り組めます。節約にはこのような効果があります。
(2)損失が出ることを想定した、余剰資金の必要性
投資は余剰資金(生活防衛資金以外)ですることが前提です。なぜなら、近い将来使う可能性のあるお金で投資をしていると、損失や含み損が発生した時に精神的なダメージが大きすぎるからです。投資は継続することが大切なのに、途中で退場することにつながってしまいます。
投資を途中であきらめてしまうと、投資は詐欺とかギャンブルというイメージを持ってしまい、お金に対して悪い印象が残る恐れがあります。ですから、まずは余剰資金を作ることが先決です。そのためにも、節約はとても有効な手段です。
私も実際に含み損があった時期もありましたが、余剰資金で投資をしていたおかげで「いつかは上がってくるさ」という感じで気楽に乗り越えられました。
といっても、何を節約したらよいかわからない、という人も多いでしょう。
私が最初に始めた節約は、通勤を車から自転車に変えたことです。28歳ごろに運動不足の解消を目的として、車通勤を自転車通勤に変えました。すると月々4000円ほどガソリン代を浮かすことができるようになりました。年間にすると5万円弱です。
運動不足が解消された感覚も生まれ、その後、買い物などの外出もできるだけ自転車を利用するようになりました。
また、日常生活の中で実行しやすい節約ポイントは以下のとおりです。
・自動車保険、通信教育費など年払いできるものはすべて年払いをして支払額を節約。それだけで5%程度は節約できます。
・ご飯の準備が大変なとき、おかずは冷凍食品で済ませたりお店で買ったとしても、お米だけは自炊するようにしています。お米付きのお弁当を買うことと比べると、1食あたり120円程度変わります。家族が5人いるので1食に付き600円くらいは節約できます。週1ペースの計算だと月に2400円。年間2万8800円節約できます。食べ盛りのお子さんがいらっしゃると、差額はもっと大きくなりますね。
・外出する時はマイボトルを持参します。自販機などでコーヒーを買うと150円ほどしますが、そこをマイボトルにすると30円程度に抑えられます。毎日1本分節約したとすると、1カ月換算で3600円浮きます。夫婦二人なら7200円。年間8万6400円も節約できます。
・我が家は全員、週に最低1冊は本を読んでいますが、本は図書館を利用しています。1冊1000円だとすると家族5人で週に5000円、年間50週とすると25万円も節約できることになります。もちろん欲しいと思った本があれば、返却したあとに書店で購入しています。
・旅行に行くときは繁忙期をずらします。繁忙期は閑散期と比べて、宿泊費や航空機などの値段が上がります。モノにもよりますが宿泊費は2~3割、航空機は2倍近く変わってくると思います。家族の人数が多ければ多いほど、この違いは大きいです。
続いて、節約することで得られる効果についてお話しします。
節約は経済的自由を手に入れる最良の方法~節約は一石二鳥~
節約は一石二鳥と書きましたが、それは「投資資金を増やす」ことができ、「経済的自由を早く手に入れられる」という2つにあります。
まず、ここで言う「経済的自由」とはライスワーク(生活のために働く)とライクワーク(好きだから働く)を自分の意志で選べる状態です。また、ボランティアのように金銭の見返りを求めないで自分の価値観に合った活動ができる状態だと思っています。
初めはライクワークだと思ってやっていた仕事も時が経つにつれて状況が変化し、いつの間にかライスワークになってしまうということもあるかと思います。経済的自由を成し遂げていれば、このようなときに柔軟に自分の環境を変えることができます。仕事をしていてもいいし、嫌なら辞めてもいいという選択肢を持っている状態だといえます。
経済的自由がないデメリットとしては、ライクワークをしている人は問題ないですが、ライスワークをしている人はどんなに嫌なことがあっても働くことを回避することができません。過去の私のように、仕事の精神的ストレス、人間関係、時間の消耗、健康悪化、付き合いの飲み会などを避けられないことが考えられます。また、少し前に騒がれた老後2000万円問題のように、将来へのお金の不安というものがつきまといます。
話を戻します。節約することで得られる効果のまず1つ目は、「節約で浮いたお金で、貯金や投資に充てる資金を増やせる」ことです。
投資を行う上で重要な要素となってくるのが入金力です。「毎月1万円を投資に充てる人」と、「節約をして浮いたお金を併せて毎月5万円を投資に充てることができる人」とでは、資産の増え方が全然違います。
2つ目は「経済的自由に早く近づける」ことです。節約を実践していくとだんだん生活費が少なくて済むようになります。例えば毎月の生活費が30万円必要な人は、経済的自由を得るために年間360万円分の不労所得が必要です。対して毎月の生活費が20万円の人は年間240万円の不労所得で充分です。
節約により必要な生活費を下げることができると、自動的に経済的自由獲得に必要な不労所得額も下げることができます。投資で不労所得を得ている人であれば、それだけ運用額が少なくて済むということになり、その分経済的自立が近づきます。
私が経済的自由になれたのも、この2つの効果を利用できたからです。節約という意識がなければ経済的自由はまだ不可能だったと思います。雑誌やネットなどを見ていると、一生懸命働き年収が高い人でも、節約に対する意識が低いがために資産形成が上手くいっていない人がたくさんいるように思えます。
それでも節約することが難しい、という人は多いでしょう。そんな人に意識してほしいのはお金の区分です。
お金を3つに区分して考えると、節約のストレスが減る
生活する上で、つねに意識しなくてはいけないお金の区分が3つあります。それは「消費」「浪費」「投資」です。節約に力を入れすぎると、ストレスを抱えてしまうことがあるかもしれません。しかし、この3つの区分を意識するだけで、苦しくならない節約法を身に付けることができます。
それでは、3つの区分をここで説明します。
(1)「消費」
生きていく上で必要となる、支出を防ぐことができないお金のこと。例えば光熱費、交通費、日用品の購入など
(2)「浪費」
生きていく上で必要としない、無駄遣いのお金のこと。例えばたいして利用しないもの(セールにつられて勢いで買ったものなど)、利用していないサブスク、ATMの手数料、工夫次第で節約可能なもの
(3)「投資」
将来、自分に返ってくるお金、リターンを見込めるもの。例えば資産運用に充てるお金、自己投資に必要なお金(書籍・旅行など人の価値観によって変わってくる)
私は、節約をしていくうちに「節約が過剰になっているのではないか?」と思うことがありました。きっとストレスを感じていたのだと思います。節約はお金を減らさないための手段のはずが、節約そのものが目的になっていました。自己投資にあたる部分まで節約していたような気がします。
そこで「このままでは長続きしない」と思い、お金の使い道を区分することで、節約する範囲を線引きすることにしました。
3つの区分は、お金を使う時の判断材料になります。「浪費と思えば買わない・払わない」「投資と判断すれば高くても支払う」という具合です。
「どこにお金を使うべきなのか」が明確になり、自分の価値観が分かるようになることもメリットです。不必要だと判断した浪費の部分を削っていくので、節約が苦ではなくなり、長続きさせることができます。そして、投資にかけるお金をより増やそうと思うようになりました。
結果的にメリハリができて、ストレスなくお金を使うことができるようになったと思います。また、「セール」「期間限定」「新商品」などといったワードを魅力的に感じたときも、3つの区分を意識することによって、不必要なことにお金を使わなくて済むようになりました。
家計簿をつけている人は、例えば「食費」「光熱費」など使った区分ごとにまとめることが多いと思いますが、「消費」「浪費」「投資」という区分でまとめてみると、違う視点で家計を振り返ることができるので、おすすめですよ。
「節約」と「投資」のダブル運用が最強
節約して余剰資金ができたところでいよいよ投資へと進みますが、ここで重要なのは、節約も同時進行させることです。いわば投資は攻め、節約は守りといったイメージです。
「節約して貯金する」という行動では、利率が低いため資産はほとんど変わりません。一方で、「節約して投資する」という行動は、年によって上がり下がりはあるものの、長期でみると安定した利率を見込めます。
しかも、長期になればなるほど複利の効果を得られることができます(投資信託の場合)。資産形成において、節約と投資のダブル運用はマストといえるでしょう。
さて、投資にもいろいろ種類がありますが、まずは低コストのインデックス投信を長期運用するとよいでしょう。
インデックス投信は市場平均と同じようなリターンを見込むことができます。また、長期で運用することにより複利の効果を享受することができます。歴史的に見ても、世界の株価は長期的には上昇し続けています。
これからも世界の人口は増加傾向であり、人間に「豊かな生活を送りたい」とか「便利なモノやサービスを利用したい」という向上心がある以上は、今後も株価は上昇を続けていくと予想します。
また、金融会社にもよりますが、インデックス投信は100円からでも投資が可能です。投資を始められる方は最初のうちは不安だと思います。そんな方は少額から始められることも魅力です。「つみたてNISA制度」を使えるものも多数ありますし、投資の入口としては最適かと思います。
私自身も最初は不安がありました。そこで、投資は少額から始め、慣れてから徐々に投資額を増やしていった形になります。
それでは、具体的にはどのくらいの金額を投資に回しているのか、と疑問に思われる方もいるでしょう。
例として、私の家庭の支出と投資のバランスについてお話ししますと、まず節約は徹底的に行い浪費をゼロにします。そして、生活防衛資金以外に貯金はせず、すべて投資に回すようなイメージです。
収入が上がったら、その分を投資に回します。もちろんボーナスが入ったからといって何かを買ったりすることはせず、3つのお金の区分に従ってできるだけ投資に充てます。手取り収入が上がっても、支出は増やさないことが鉄則です。
そのような方法で、私の場合は最終的に、年間手取り収入の半分は投資に充てるようになっていました。消費以外は全て投資に回すイメージになります。
極端な例を挙げると、手取り収入20万円で生活費10万円の場合であれば、残り10万円をすべて投資に回すイメージです。
インデックス投信を軸に運用しているので、運用成果は市場の動きに身を任せるしかありません。ただし、株価が上がっても下がっても投資に入金することは継続します。これには心を無にする必要があります(笑)。
具体的に、節約したお金を投資した場合、どれくらい利益がでるのか、計算してみましょう。
仮に月2万円の節約ができたとします。格安スマホに変更したり、電気の契約会社を変更したり、付き合いで行っていた飲み会の回数を減らしたりなど、手段はいろいろあると思います。
月2万円だと、浮いたお金は年間24万円にもなりますね。これを運用に充てるのです。例えば、年利5%で運用できたとして、1年目は1万2000円の含み益が出ます。ここで大事な事は、この1年で利益確定しないことです。つまり、この利益を次の年の運用額に含めます。
すると2年目の運用額は、1年目の節約&運用利益(24万+1万2000)で25万2000円と、2年目の節約24万円を合算した額、49万2000円となります。
これをまた5%で運用すると、2万4600円の含み益となり、2年目が終了した時点で51万6600円となります。ただ節約しただけでは、2年で48万円でしたが、2年間5%で運用したことで3万6600円増の51万6600円にすることができます。
この事実を知ってしまったら、節約と投資をやらずにはいられないでしょう。今までは「節約は辛い」だったものが、「節約は楽しい」になるはずです。
取材・文=澤田佳代