お金が貯まる人は家計管理が違う!「現金を下ろすのは月イチ、ローンはNG」/FIRE達成3児の父が語る節約と投資

2022年7月8日

こんにちは。40代前半、3児の父にして2021年にFIREを達成した、みもじ( @mimojinojinsei )と申します。私は、貯金ゼロの浪費家から節約家へと転身し資産形成に専念しました。過去に働き過ぎて体と心を壊した経験から、自分の人生を見つめ直しFIREを決断。現在は資産形成のコツや自己の人生観について、Twitterを中心に情報を発信中です。

FIREを達成した3児の父が語る節約と投資


ここでは「お金を使わずに幸せな暮らしをする」をテーマに、日常的に大切な節約について、あるいは資産運用と節約の大切さ、FIRE後の生活の楽しさなどをお話ししていきます。お金の不安を取り除き、少しでも多くの方に自分らしい人生を送ってもらうことが目標です。第2回となる今回は節約には欠かせない「家計の管理をうまくやるコツ」についてお伝えします。

夫婦のどちらかが、家計を一元管理したほうがいい

ここで言う「家計管理」とは、一家の日常に使うお金から資産管理まで行うことです。大切なのは「現在の状況を把握する」「将来の見通しを立てる」の2つです。

まず、「現在の状況を把握する」ために必要なことは「家計簿をつける」ことです。収入は給与明細で把握が簡単ですが、支出をすべて把握することは難しいと思います。そのため、レシートを絶対にもらったり、キャッシュレス決済を1つにまとめたり、把握しやすくするといいでしょう。

次に、「将来の見通しを立てる」ために必要なことは「ライフプランシートを作る」ことです。さまざまライフイベント(出産、進学、家・車の購入、定年退職など)を反映させて、いつ、いくらお金がかかるのかを把握します。

家計管理をするのは、夫、妻のどちらでもいいと思います。お金に対する知識が豊富で、自分に厳しい方が家計管理をすべきです。他人に厳しく自分に甘いと資産管理はできません。今はまだお金の知識が少なくても、「知りたい!」という意識を強く持っている方でもよいでしょう。

我が家では、家計簿は妻がつけていますが、最終的な家計管理は私がしています。特に話し合って決めたわけではないのですが、私が趣味のように家計管理をしているうちに自然と役割が決まっていました。また、家計管理をすることで、お金に関するさまざまな知識を身につけられるようになったことを実感しています。

家計管理で大切なポイントは下記のとおりです。

・過度に大きい支出があった場合は原因を突き止める
私は収入・支出を項目ごとにすべて把握し、過度に支出が多くなっていないかを確認しています。もし、変動が大きい場合には、ほったらかしにせず、その原因を突きとめています。

・通帳やカードを1つにして、管理しやすく
家計管理をわかりやすくするために、収入・支出は1つの通帳に集約していますし、使うカードも1つに絞っています。通帳や使用しているカードが複数あると、管理が複雑になります。複雑になればなるほど、見落としが増えたり面倒になったりして、長続きしなくなってしまいます。私は家計管理に多くの時間を費やすことを避けたかったので、集約することに決めましたが、結果、長続きしているのでいい判断だったと思います。

・トータルを見る家計管理者を作る
家計簿をつける人、収入を把握する人、支出を把握する人、投資の運用成績を把握する人、それぞれ役割分担を決めてもいいですが、最終的な収入・支出のトータル的な家計管理をする人を決める必要があります。

・家庭内の収入・支出はさらけ出す
よくお互いの収入や支出を知らない状態の夫婦を見かけますが、家計にブラックボックスがあると資産形成は難しいので、すべてをさらけ出すことが必要です。たまにお金が貯まらないという方を見かけますが、こういった夫婦が多いように思います。

どちらかが一元的に管理することで、使途不明金をゼロに近づけることができ、将来的な見通しが立てやすくなります。これが家計管理を行うメリットといえます。

次に、我が家が実行している、簡単にできる家計管理の一つをご紹介します。

我が家のルールは「月に一度しか現金を下ろさない」

家計管理のコツとして、「決まった金額の範囲内でやりくりする」という意識を持つため、我が家では現金を下ろすのを月に一度だけにしています。

それまではやりくりが下手で、惰性でお金を下ろしてしまうことも度々ありましたが、「月に一度しか現金を下ろさない」ということを決めて以降はなくなりました。惰性でお金を下ろすことを許してしまうと、歯止めがきかなくなってしまう恐れがあります。

そもそもATMに行く時間は無駄な時間です。前の人の操作が遅かったり、行列ができて順番待ちをしたりとさらにストレスも溜まります。ATMを利用する頻度を少なくするのは、そういったストレスを回避するためでもあります。

さらに、私は月に一回のATMの利用についても、手数料のかからない時間に利用しています。そうすることで「手数料を払わない」という意志を継続させることもできますし、また月に一回なら時間の設定が簡単だと思います。

私の知り合いで、ATM手数料を取られることに抵抗をまったく感じていない人がいるのですが、年間でトータルすると結構な額になっています。ちなみに私は、20年以上時間外利用の手数料を払っていません。

月に一度と決める前は必要になった都度下ろしていたので、ひと月に合計いくら使っているのか把握しにくい状況でした。月に一度と決めることで、支出額の把握がとても簡単になりましたし、毎月いくら必要かもわかりやすくなりました。毎月の支出額が分かると、年間いくら必要かもわかるようになり、家計管理もしやすくなります。

次に、月に一度下ろした現金は、どのように仕分けたらよいかをお伝えします(金額の数字は例です)。

1…まず、今月いくら必要かを計算して、現金を下ろす。例:『10万円』
2…支払日がわかっているもの(生活費以外の出費など)は別に管理。例:『2万円』
3…週ごとに使用するお金を振り分ける。例:『1週間2万円×4週分=8万円』
決まった範囲内でやりくりするようにし、次週の分を前借りして使うことは絶対にしないようにします。最初は難しいと思うかもしれませんが、慣れてしまえば簡単です。

現金を下ろすのは月に一度に抑える(イメージ)


また、最近はキャッシュレス化が進み、現金を使う頻度が減っていますが、家計を管理する時には、現金の方が管理しやすいです。ただ、今はキャッシュレスだとポイントがついたり、レジで会計の時間を短縮できたりと便利なので、私もキャッシュレスを多く利用しています。

私はキャッシュレス決済普及前の現金時代にお金の管理ができるようになっていたので、今は現金ではなくても無駄遣いをすることがありません。しかし、管理がまだ苦手な方はキャッシュレス決済で家計を管理していくのは難しいでしょう。現金は「財布にお金が入っているかどうか」を支払う前に目で見て確認できますが、キャッシュレスは支払った後に数字でしか確認することができません。

キャッシュレス決済を利用するなら、事前にお金をチャージする必要があるプリペイド式を使用すると、残高を意識する癖がつくのでよいと思います。

続いて、資産管理におけるローンの考え方をお伝えします。

ローンは組まないのが原則!資産管理はシンプルイズベスト

”シンプルな資産管理”とは、収入・支出・貯蓄などの資産の把握が容易な状態であることです。資産管理は継続してやらなければ意味がありません。私は面倒くさがり屋なので、長続きする方法を模索した結果が”シンプル”です。

シンプルにしておくことで、大まかではありますが頭の中だけで資産管理できるようになります。

ローンがあると資産管理が難しくなるため、おすすめできません。ローンが1つだけだと管理はまだ難しくないと思います。それが3つ4つと増えていくと、支払い残高や金利のことなど徐々に難しくなっていきます。

例えば、金利1.5%で300万円、金利3.5%で50万円、金利1%で30万円分のローンを5年払いで組んでいるとします。それぞれ毎月いくら返済し、その中の金利の内訳はいくらになるでしょうか?私は想像しただけで面倒だと感じますし、計算もしたくありません。

私と同じような考えの方は、資産管理を複雑にすることには向いていないと思います。

とはいっても、家や車などの支払いはローンを組む方が多いでしょう。また、現在は低金利なので、家・車・教育費などは組みやすいと思います。ただし、ローンを組むのには条件があります。

それは金利以上のリターンが見込める場合です。この場合のリターンとはお金のことばかりではなく、得られる経験やスキルなども含みます。

車を例にします。200万円の新車をローンで購入した場合と、ローンは組まずにお金を貯めて2年後に購入した場合を比較します。ローンを組んで購入した人は、この2年間で車を使っていろいろなところに行くことができます。家族との楽しい思い出もたくさんできることでしょう。

対して、2年後に車を購入した人は、同じような体験を2年間待たなくてはいけません。「ローンの金利」と「2年」という期間を天秤にかける必要があります。

もし、金利が高いと感じるならば、「中古車にして車両価格を下げて、支払う金利を下げられないか」や「必要な時だけ車をレンタルする」など、いろいろと作戦を練ってほしいです。

ローンを組むと家計管理が複雑になってしまう(イメージ)


次に注意したい点として、借りられる額を基準に買い物をしてしまうことです。これは家のローンを組む時に多いのですが、年齢と年収でおおよその借入可能金額が決まると思います。

例えば、家族で暮らすのには3000万円の家で充分なのに、4000万円借りられるからさまざまな物のグレードを上げて4000万円の家を購入するという考え方です。確かにより質の高い物を買えるかもしれませんが、金利も上乗せして多く支払うことを忘れてはいけません。

家計も企業と同じようにコスト削減を

私は、家計も企業と同じようにコスト削減をする必要があると思っています。例えば、無駄遣いしている企業が、資金難を理由に設備投資に充てるべきお金を減額したり、社員への給料を増やさずにいるとします。皆さんならどのように思うでしょうか?きっと、企業には適切にお金を使ってほしいと思うはずです。

これは企業だけではなく家計にも当てはまります。だから、節約は恥ずかしいとかケチという考えは捨ててもらいたいと思います。コスト削減は将来の家計のためです。

そこで、どのようにしてコスト削減する項目を決めるのかをお教えします。

(1)削減すべき経費の洗い出しを行う
私は基準として、月に900円、年間1万円削減できるものをピックアップしました。そのためには家計簿をつけ、何にお金をいくら使っているかを洗い出す必要があります。月900円は日割りにすると1日30円です。私はけっこう削減できるものがありました。削減項目が30個あると年間30万円は節約できることになります。

(2)削減する項目について、優先順位を決める
今すぐに削減可能で費用対効果の大きいものから削減。同時にできるものは同時進行します。気軽にできて、結果が早く感じられることを選び、モチベーションを上げましょう。

(3)削減した項目が継続可能か判断する
1カ月ほど実施してみて問題なければ続行。継続が難しいようであれば、要領を変更するかその項目自体の削減をあきらめます。PDCAサイクル(計画から改善までを1つのサイクルとして、管理業務や品質管理の効率化を目指す手法)の活用が効果的です。経費削減は続かないと効果がありません。

ちなみに、我が家でコスト削減したものというと、まず夫婦の小遣い制をやめました。

小遣いの中で昼食代や飲料水代、飲み会代などを捻出していましたが、使途不明金が発生しやすい状況だったので廃止しました。それぞれ食費、交際費などに区分して管理することで、使途不明金が20%ほどカットできたと思います。

ちなみに私の知り合いで、小遣いをひっそりと貯めて数十万円のへそくりを持っている人がいます。こういうことをやっていると資産形成は時間がかかりますね。

簡単に取り組める家計の削減法として、おすすめなのは「買い物リスト」を作ることです。

買い物に行く前にリストを作り、それ以外は絶対に買わないというルールを作ります。買い物に行ってから、必要そうなものを見つけて欲しくなることがありますよね。あったらいいかもしれないけど、ほかの物で代用できるなど、なくても困らないものだったりします。不必要なものは買わないことが鉄則です。

さらに、すぐに実行できる「家庭ですぐに実行できる10のコスト削減アイデア」をお伝えします。

1…お弁当、マイボトル持参で食費を節約
2…保険の見直し。余計な補償はないか確認
3…株主優待でお得に買い物
4…ふるさと納税で食費を節約
5…習慣となっている「惰性外食」を辞めよう
6…キャッシュレス決済などでゲットしたポイントは、お金と思って無駄遣いしないように大事に使う
7…無駄な飲み会、2次会3次会(終電を逃すとさらに出費につながる)には参加しない
8…重曹、クエン酸、過炭酸ナトリウムを活用して掃除すれば、購入する洗剤は少なくて済む
9…習慣で買っている物やサービス、サブスクの見直し
10…年に1度は断捨離。いかに無駄なものを買っているかがよくわかる

また、家計のコスト削減となると、家族の同意も得なくてはなりません。同意を得るためには、コスト削減のメリットを伝えることが大切です。

我が家では、基本的には無駄なモノからしか削減していないので、同意は簡単に得られましたが、伝え方として「削減できた分をほかのことに使う」「将来必要になることのために使う」と言います。

さらに、お金を運用することで将来は今よりも大きい額を使用できるようになることを、家族が理解し、納得しています。

取材・文=澤田佳代

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