「ファッションの街」「サブカルチャーの街」として若者を中心に設題な人気を誇る東京・下北沢。しかし、その人気に対して、街の構造は複雑かつ雑多で動線が悪い面もあったが、この複雑かつ雑多な感じを「下北沢らしい」と好意的にとらえる声も。そんな下北沢の中心部を走る京王井の頭線の高架下および付近に、巨大な新施設が誕生した。その名も「ミカン下北」。
この名の由来は「多様が文化が交差し、絶えず自由に編集され、変わり続ける、つまり“常に未完である”ことに下北沢の普遍的な魅力を見出し、未完ゆえに生まれる新たな実験や挑戦を促す想いから『ミカン下北』とした」とのことだが、果たしてその中身はどんなものなのか。さっそく、ウォーカープラス編集部が行ってみることに!
3月の開業前後、京王井の頭線の車内および下北沢駅は「ミカン下北」一色だった!
「ミカン下北」に行くため、京王井の頭線に乗って下北沢へ。電車の中はすでに「ミカン下北」の開業を祝う広告が施されており、「ミカン下北」を運営する京王電鉄の力の入れようが伝わってくる。
また、京王井の頭線・下北沢駅を降りても「ミカン下北」の広告が壁・地面にズラリと飾られていた。この徹底したラッピングによって「ミカン下北」への道がさらにワクワクする筆者。肝心の場所は、京王井の頭線・下北沢駅の改札を出て、やや右周りにいったすぐ目の前。下北沢駅から徒歩0分のエリアになる。
5街区から構成され、それぞれ表情が異なる「ミカン下北」
徒歩0分で到着した「ミカン下北」。京王井の頭線の高架下を池ノ上駅方面に伸びた施設で、A〜Eの5街区から構成されている。個性的な飲食店などがテナントとして入ったA街区の商業エリアがまず目に入ってきたが、他方で文化的な街・下北沢にふさわしい書店「TSUTAYA BOOKSTORE」も。一般書店とはまた違う「TSUTAYA BOOKSTORE」ならではの選書を楽しむことができた。
下北沢にはあまりなかった(?)コワーキングスペースやシェアオフィスも!
さらにA街区の4〜5階には京王電鉄が運営するコワーキングスペース・シェアオフィス「SYCL」もあった。フリーアドレス席/固定デスク席のあるコワーキングスペースから、プライベート性を確保した1〜4名用の個室、10〜30坪のオフィス区画まで、多彩なバリエーションを有している。
もちろんコミュニティマネージャーが常駐しており、設備面で困ったことがあれば対応してくれるとのこと。他のエリアではコワーキングスペースやシェアオフィスは点在しているものの、従来の下北沢ではあまり見かけなかったスペース。この点は新しい試みのように思えた。
巨大駐輪場から図書館窓口サービスまで!
また、B街区は開業時はテナントが入っておらず、C街区は巨大な自転車駐輪場となっている。自転車で出向く際、駐輪場探しが大変だった下北沢にとってはかなりうれしい施設だ。
また、高架下から分離するD街区にはラーメン店、グルメバーガー店、ワインショップ、ダイニングカフェなどが入り、E街区にはメガネ店「Zoff」や、世田谷区の図書館窓口サービス「図書館カウンター下北沢」も。まさに至れり尽くせりと言える。
「街の良いところ」を活かし新提案を行う「街のリニューアル」のあるべき姿
個性的なテナントが多く入っているのに対し、仕事もできる、文化探究もできるとあり、今後さらに支持を得ていくであろう施設のように思えた。
また個人的には、街に根付く息遣いを残さずまったく新しい街並みに変身させる都市開発と違い、「ミカン下北」の試みは「街の良いところ」を残し活かしながら、さらなる利便性や新しい提案をしているようにも感じた。なにしろ、下北沢駅から東にある茶沢通りまでのエリアにもう1本「ミカン下北」の歩道ができたことがありがたい。さらに歩道沿いにはここまでに紹介したような楽しいテナントがあるわけで、まさに“三方ヨシ(自分よし、他人よし、世間よし)”の取り組みで、これこそが「街のリニューアル」のあるべき姿なのではないかと感じた。
まだオープンしたばかりの「ミカン下北」。この試みが地元や下北沢を愛する人たちに受け入れられることで、さらなる有意義な展開も起こりそうな気もした。下北沢に行った際は是非一度「ミカン下北」を覗いてみてほしい。あなたに合う何かがきっと見つかるはず!
撮影・文:松田義人(deco)
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