従来の喫煙マナーに加え、「分煙」「禁煙」といった受動喫煙対策がすすむ昨今。家族や仲間への配慮から、「この場所は禁煙、分煙なのか?喫煙所はあるのか?」を調べることは、喫煙者にとっておでかけ前の“ルーティーン”になっているという。そこで今回、喫煙所や喫煙可能なカフェ・居酒屋などを、現在地や行先のマップから検索できるCLUB JTのサービス
『喫煙所MAP』
についてJTの担当者を取材。サービス開始に至った経緯や、今後の展望について話を聞いた。
喫煙者のマナー向上のために、利用可能な喫煙スポットを可視化
――「喫煙所MAP」とはどのようなサービスなのでしょうか。立ち上げの経緯と併せて教えてください。
ひと言でいいますと、喫煙可能なスポットを無料で探せるサービスになります。立ち上げの背景ですが、2020年4月に改正健康増進法が施行されまして、飲食店を中心に、たばこを吸える場所が激減しました。そこで、喫煙者の皆様にマナーを守って喫煙をしていただくためにも、利用可能な喫煙スポットを可視化してお知らせできるサービスがあれば活用していただけるのでは……と考え、サービスを開発することとなりました。
ちなみに、「喫煙所MAP」に掲載しているスポットにはいくつかジャンルがあります。「喫煙所」、「たばこが吸える飲食店」、「カラオケやパチンコといった喫煙も可能な施設」。このようにジャンル分けをしつつ、現在は約11万スポットの情報を掲載しています。
――こうしたサービスを展開する際は、最新情報を保つ“情報のクリーニング”が大変かと思います。
情報収集の方法は2つあります。まず1つ目は、全国にある弊社の営業部署のスタッフが実際に現地を歩いて、情報を収集・整理しています。2つ目は、ユーザーの皆さんからの投稿です。現状、サービスが維持できているのは、ユーザーの善意といいますか、投稿によるところがかなり大きいです。
――ユーザーが情報を書き込んだり、通知できる機能はありますか?
スポットごとに「吸える」「吸えない」の2択が表示されるので、それを押していただく形になっています。投稿をいただいたら、実際にスタッフがそのスポットを調べて“裏どり”(情報の真偽を確認)をするようにしています。そうして情報の精度を上げつつ、マップを充実させています。
――現在に至るまで一番大変だったことをお聞きしたいです。
ローンチの時点で「情報のボリュームを確保すること」は重要だと捉えていました。とはいえ、まだリリースしていないサービスに対して、ユーザーに投稿を呼びかけるのは不可能なので、「最初から一定のスポット数を担保するにはどうすればいいか?」というのが、いちばん初めにぶつかった壁でした。
それと「たばこが吸える飲食店」に関しては、グルメ情報サービス「Retty(レッティ)」と連携する形でカバーできましたが、「街中の喫煙所」はどこにも情報が載っていません。前述のとおり泥臭く、全国のスタッフが歩いて回って、一から情報を集めてまとめた…という感じです。
喫煙者にとって有益な情報を収集し、必要な情報を“細分化”して届ける
――「喫煙所MAP」の“ここが強み”といえるポイントは?
Google マップをはじめ、地図サービス系のサービスはたくさんあって、そのなかには喫煙所の情報が載っているものもありますが、「喫煙所MAP」ではより喫煙者にとって有益な情報を載せたいと思いました。
たとえば「喫煙可能な飲食店」といっても3つのパターンがあります。それは「1.席で飲食をしながら喫煙できるパターン」、「2.店舗内に喫煙ブースがあるパターン」、「3.店の外に灰皿が用意されているだけのパターン」の3種類ですが、喫煙者同士で出かける場合は、1.のパターンでゆっくりとたばこを吸いたい。吸わない人がいる場合は、2.のパターンで店を選んだほうが分煙の観点から見てもいい。そういったことがひと目でわかるように情報を細分化している点は、「喫煙所MAP」ならではの強みだと思います。
それと最近では、加熱式たばこを吸われる方が多く、「加熱式のみ喫煙可能」といった店舗もちらほらと増えてきています。加熱式たばこのみか?紙たばこも喫煙可能か?そうした情報を正確に提示することも心がけています。
――注目してほしい機能や、あまり知られていないオススメ機能はありますか?
いくつかありまして、まず注目していただきたいのが、マップ上に表示されている施設のアイコンです。カフェ、居酒屋、灰皿のみの喫煙所など、その場所がどんな施設かひと目でわかるように、アイコンを分けているのが工夫しているポイントです。また画面の下に、ワンタッチで情報を絞り込める機能も搭載しているのですが、その辺りも使いやすいポイントじゃないかなと自負しています。
それともうひとつ、最近導入した機能ですが、本サービスでは行きたいスポットまでの経路検索もできるようになっています。今まではそのスポットに行きたい場合、外部サービスに飛んで、そちらで経路検索をする仕様だったんですけど、「喫煙所MAP」のなかだけで検索できるようになったという点も、シンプルながら使いやすくなった要素のひとつだと思います。
――意識せず、快適に使えている点にこそ、こだわりが詰まっているというわけですね。
他にも、グルメサイトではよくある機能ですが、本サービスにも飲食店で使えるクーポンを発行できる機能を持たせてあります。2023年1月からスタートしたばかりで、まだ利用可能な店舗は40店くらいですが、ここからどんどん規模を拡大していきたいと考えています。
それと、これは今後さらに力を入れていきたい要素なのですが、ユーザーの皆さんが投稿したくなるといいますか、投稿してよかったなと思っていただけるような機能も、随時実装していく予定です。たとえば、こちらは準備中の施策ですが、自分が投稿した履歴を確認できるマイページを作ったり。「自分の投稿がどれだけ見られたか?」、「どれだけ役に立っているか?」を可視化できる機能を持たせることで、喫煙者同士が情報交換できる“やさしい世界”を構築することも、本サービスが目指す目標のひとつになります。
現状では、たばこを吸える場所を探して「喫煙所MAP」を利用される方がほとんどだと思いますが、せっかく喫煙可能な飲食店を見つけたら、続けてその店舗の情報を詳しく知りたい…となると思います。グルメサイトのように、より詳しい店舗情報も掲載できればさらに便利で使いやすいサービスになると思うので、そうした機能も充実させていくことを直近の課題としています。今後の展開にもどうぞご期待ください。
取材・文=ソムタム田井