初心者必見!日本酒の楽しみ方~神戸(灘)酒蔵めぐり編~

2022年10月3日

「日本二大酒どころ」ってどこかご存知ですか?兵庫県の「灘」、京都府の「伏見」で、ともに関西にあります。そんな灘と伏見には、日本酒ツウじゃなくても、誰もが知っている酒蔵が多数存在。
それが灘の「大関」「日本盛」「白鹿」「白鶴」「菊正宗」、伏見の「月桂冠」「黄桜」「松竹梅(宝酒造)」。北海道から九州まで、日本各地で日本酒造りは行われていますが、なぜ灘と伏見に、酒蔵が集まっているのでしょうか?今回紹介する8社のことを知れば、その理由が明らかに!そして、日本酒好きはもちろん、ビギナーも酒蔵各社の日本酒に対する思いや裏側を知れば、「ちょっと日本酒飲んでみようかな!」と興味がわいてくるかも…!!

白鶴酒造

名実ともに日本一のお酒を造る、すごい技!

神戸市東灘区に本社を構える白鶴酒造

白鶴酒造といえば、赤いパッケージでおなじみの「白鶴 まる」が有名。酒造りの歴史は古く1743(寛保3)年に酒造業を始めたというから、まもなく280年!すごい歴史です。大衆的な日本酒「白鶴 まる」以外にも「白鶴 大吟醸」「特撰 白鶴 特別純米酒 山田錦」「白鶴 糖質ゼロ」など、さまざまな日本酒を造っています。

生産本部副本部長の伴 光博さん

お話をうかがったのは生産本部副本部長で、丹波杜氏でもある伴 光博さん。伴さんは「当社の酒造りのこだわりを話し始めたら、30時間以上はかかりますよ(笑)」と切り出し、酒造りについてわかりやすく教えてくれました。

2022年の全国新酒鑑評会で金賞を受賞した3つの日本酒

まず驚かされたのは、白鶴酒造には3つの蔵があり、日本酒のコンテストとして歴史と権威のある全国新酒鑑評会で、令和3年、4年と2年連続で3蔵すべてが金賞を受賞したというお話。「2年連続、すべての蔵が出品した日本酒が受賞できたのは大変光栄なことです。ただ、この全国新酒鑑評会は1位、2位、3位のようにランキングで評価されるわけじゃないんですね。ですので多くの金賞酒の中の3つという捉え方もできる。一方で、全国には順位が明確に発表される品評会もあって、そのひとつが全国選抜清酒品評会。この品評会では過去8年間の内、1位を3回と優秀な成績を残すことができています」と伴さんは話します。

2021年の全国選抜清酒品評会で見事優勝を果たした大吟醸酒。「白鶴 No.61-1」の名で50本限定で販売され、わずか3週間程度で完売!

つまりそれって…、トップクラスの大吟醸を造る腕を持っている蔵人さんが普段は「まる」を造っているってことですね!やっぱり全国で知られる日本酒を作ってきたというだけあり、さすがの実績です。その年々のコンテストで高い評価を得ているということは、時流に合った味作りもできているということでもあるんでしょうね。

1743(寛保3)年から真摯に酒造りを行ってきた

「その点に関しては野球に例えてご説明します。どこに狙いをつけて投げるかという『時流の読み』と、そこに正確に投げられるかという『酒造技術』の2つが大切。この両方ができないと品評会や鑑評会では評価されません。狙いの見極めに必要なのは、どんな味わいが今求められているかを理解できているかということで、これはもちろん商品開発にも深く関わってきます。当社では年間1500もの仕込みの酒を製造していることが、深く、広い知識に繋がります。言わば、日本酒造りのビッグデータというわけです。これがあるから、品評会や鑑評会で優秀な成績を残すことができていると自負しています」。なるほど!多くの受賞歴はさまざまな酒造りを行ってきたからこその高い技術を有している裏付けなんですね。

酒米から開発してしまう熱意に脱帽

実際に酒造りに使われていた巨大な木樽などを保存した白鶴酒造資料館

次に案内してもらったのは、本社敷地内にある「白鶴酒造資料館」。大正初期に建造され、1969(昭和44)年3月まで本店壱号蔵として稼働していた建物を利用した資料館で、昔ながらの酒造工程をそのまま保存しています。当時の酒造りの様子をイメージしやすいように等身大の人形も配置され、臨場感満点!

そんな館内の一角に酒米が紹介されたコーナーを発見しました。伴さんは「当社が自社開発した酒米があるんです。それが、この『白鶴錦』。最も有名な酒米『山田錦』の兄弟のような品種で、8年の月日をかけて開発しました。この『白鶴錦』で酒造りを行うと、味わいの輪郭がはっきりとし、当社でも多くの日本酒に使っています。主に白鶴ファームという自社農園で栽培を行っており、2012年からは他社への供給も開始するなど、『白鶴錦』を通じた業界全体を盛り上げる取り組みにも力を入れています」と教えてくれました。

日本酒の原料である酒米から自社で開発してしまう技術力と熱意。おいしい日本酒造りに終わりはないということですね。

●白鶴酒造資料館
住所:兵庫県神戸市東灘区住吉南町4-5-5
電話:078-822-8907
開館時間:9:30〜16:30(最終入館16:00)
休館日:盆、年末年始
入館料:無料
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