ガッツリ系にも合うんです!王道の“わんぱくフード”を日本酒が引き立てマス!!

2022年11月4日

日本酒に合わせる料理といえば「和食」というイメージを持っている人も多いでしょう。一方で、日本酒は世界で愛されるグローバルな存在になり、かつ酒蔵各社は、ペアリングする料理に合わせた日本酒提案を積極的に行っています。
そこで今回は日常的によく食べている「ガッツリ系の料理と日本酒のペアリング」を提案。ペアリングフードを考えてくれたのは、小料理店「食の會 日本橋」を営む食文化研究家で、唎酒師の資格を持つ長内あや愛さん。フードとの相性の理由を聞くと「なるほど!」な新発見の連続かも!?

【月桂冠】果物不使用ながらしっかりメロン!そんな日本酒には意外なあの料理がマッチ カツサンド×果月 メロン

フルーティーな日本酒だけに、ジューシーなカツサンドと意外な好相性を発揮!

「果月」の名の通り、果実を思わせる豊かな香りが特徴の日本酒。ブドウ、桃、メロンの3種があり、どれも期待を裏切らないフルーティーな香りに驚かされます。今回セレクトしたのはメロン。一口飲むと、「もしかしてメロン果汁が入ってる!?」と錯覚するほど、メロンの香りを感じますが、こちらは正真正銘の日本酒。フレーバーなどは一切不使用というからビックリ!大吟醸酒や吟醸酒は、バナナやリンゴのような香り(吟醸香)と表現されることは昔からあり、そこに着目して、狙ってその果物の吟醸香を引き出しているというわけです。合わせるフードは意外性のあるカツサンド!

「フレッシュな印象のボトルデザインの期待を裏切らない味わい」と長内さん

「普段、日本酒と一緒に楽しむ機会が少ないわんぱくフードという意味で、まずご飯ものである丼を思い浮かべました。丼はご飯が入る→ご飯は米→米から作る日本酒という結びつけをし、丼のご飯の代わりに日本酒を取り入れるというイメージでペアリング。今回は丼にのっている具材はお米に合うのだから、日本酒にも合うはず!そんな視点からカツ丼→カツサンドという発想です。カツを選んだ大きな理由は豚肉の脂の甘さ、米由来の日本酒の甘さの相性が良く、油っこいカツの衣を爽やかな日本酒がリセットしてくれると考えたから。塩、七味、辛子など味変しながら楽しめるのも日本酒にピッタリだと思いますよ」(長内さん)

【黄桜】フルーツを思わせる甘酸っぱい日本酒に合うのは、おなじみのカレー!? キーマカレー×黄桜 ペルル

数種のスパイスが織りなす複雑な味わいをペルルが引き立てる

日本酒では珍しいワイン酵母を使用した新商品「ペルル」。クエン酸由来の爽快感のある酸味と米の優しい甘みが広がる新感覚の日本酒で、アルコール度数は8%と通常の日本酒よりも低め。それもあり、日本酒ビギナーにも飲みやすいと好評です。また、500ミリリットルと手軽なサイズ感、日本酒らしからぬ美しい青色のボトルもおしゃれで、手に取りやすい印象。ちなみに「ペルル」とはフランス語で真珠のことで、これは上質なお酒が持つ真珠のようなスムーズな口当たりから名付けられたそうです。長内さんが「スパイスが、この日本酒の中に隠れているおいしさや香りを膨らませてくれます」と選んだ料理はキーマカレー!

長内さんは「爽やかな甘酸っぱい味わいなので、初めて日本酒にチャレンジする方にもおすすめ」と話す

「スパイスと日本酒はとても相性が良く、刺激的な香りが食欲をそそり、お酒もぐいぐい進みます。また、カレーにリンゴやパイナップルといったフルーツを加えることで甘味や酸味由来のコクを引き出すように、“フルーティー”、“甘め”、“甘酸っぱい”といったテイストの日本酒はカレーによく合うんです。今回キーマカレーを選んだのは、野菜や肉の旨味、さらにスパイス感がより凝縮したタイプのカレーだから。欧風カレーよりもスパイス系のカレーの方が甘酸っぱいタイプの日本酒との相性はより良いはずですよ」(長内さん)

【辰馬本家酒造(白鹿)】ドライで爽やかな飲み口だから、ジューシーなからあげが合う! 鶏のからあげ×上撰 黒松白鹿 超辛 本醸造

比較的味付けが濃いめで、ジューシーなからあげには、キリッとした辛口の日本酒がピッタリ♪

ドライで爽やかな飲み口、辛さをあらわに出さない淡麗タイプながら、後味はキリッとしまったコシの強い味わいが特徴の「上撰 黒松白鹿 超辛 本醸造」。全国燗酒コンテスト2022のお値打ち熱燗部門で、金賞を受賞していることからも熱燗で楽しむのもおすすめですが、今回は冷酒で。キンキンに冷やすことで、ドライな味わいが際立ち、よりスッキリと楽しむことができます。また、さらに爽快感を引き出したいなら炭酸割りもぜひ!そんな日本酒に合わせるのは王道のおつまみであり、おかずとしても多くの人に愛される、鶏のからあげ。居酒屋やコンビニでもおなじみの日本の国民食(!?)をアテに日本酒で乾杯♪

「日本酒ビギナーの方は、よく冷やして炭酸で割っても飲みやすいと思います」(長内さん)

「鶏のからあげは、ほかの肉料理に比べて水分量が多く、ジューシーなのが魅力の料理。一方でその肉汁感と油っこさ、そして濃いめの味付けが口の中に残りがちです。そこで、それらをすっきりと洗い流してくれる、コシの強さとキレの良さを兼ね備えた日本酒をセレクトするのがおすすめ。日本酒はドライな飲み口の辛口タイプでも、しっかり旨味があるので、鶏のからあげの味わいの余韻をほどよく残してくれるのがポイント。このペアリングなら、食事もお酒も進むこと間違いなしです」(長内さん)

日本酒といえば和食という固定観念にこだわっているともったいない!洋食やエスニック料理をはじめ、普段食べているガッツリ系の料理とも相性が良く、さらにそれぞれの料理の味わいをよりおいしく引き立ててくれます。食中酒としての日本酒を自由に楽しんでみてください。


取材・文=諫山力(knot)
撮影=東野正吾(PHOTOLAND107)

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