9月に入ったものの、いまだに猛暑日が続いており、「休日はおでかけを楽しむ」といった気分になれない人はまだまだ多い模様。とはいえ、今のうちから旅行の計画を立てておけば、もう少し過ごしやすい気候になった際に即座に行動に移せるので、秋の行楽シーズンを思いきり満喫できるはず!
そこでウォーカープラス編集部がおすすめしたいのが、「日本100名城」に選定された全国各地の名城をめぐる“秋のお散歩”。大河ドラマでも戦国時代が描かれており、城郭に対する関心が高まっている昨今、名城のお膝元では、行楽シーズンに合わせてお祭りなどのイベントが予定されている。このタイミングで訪れれば、より一層史跡への愛着も湧き、満足感の高い旅行を堪能できるというわけだ。
本記事では日本100名城の中から、秋の行楽シーズンにイベントが開催される城を中心に、気になる9城をピックアップ。各城の歴史や見どころに触れつつ、イベント開催日程などの情報も併せて紹介しよう。
秋のお散歩にぴったりな名城9選
伊賀上野城
もともとは平楽寺という大寺院があった台地に、豊臣秀吉の家臣・筒井定次が築城。さらにその後、徳川家康が豊臣方に対抗するため、藤堂高虎に命じて改修させた平山城。高虎が本丸の西に築いた高さ約30メートルの石垣は、大阪城と並び、日本一の高さを誇ることで知られる。9月~11月には「お城まつり」と称し、太鼓フェスティバル、菊花展などの催しが多数実施される。
会津若松城(別名:鶴ヶ城)
戦国時代中後期は“黒川城”という名称だったものの、蒲生氏郷の入城後、本格的な天守の建築に合わせて“鶴ヶ城”に改名。時は経ち、慶応4年(1868年)の戊辰戦争では、新政府軍の1カ月におよぶ猛攻に耐え、難攻不落の名城としても広く知られるようになった。9月22日(金)~24日(日)には「会津まつり」が開催され、提灯行列や会津磐梯山踊り、会津藩公行列といった催しが楽しめる。
岡山城
宇喜多直家が天正元年(1573年)に本拠地として入城した居城。その後、子の秀家が大改修を行い、慶長2年(1597年)に天守が完成。近世城郭としての形が整う。黒漆塗の下見板で覆われた外壁が特徴的で、その見た目から“烏城(うじょう:「烏」はカラスの意味)”とも呼ばれている。10月7日(土)~9日(祝)には岡山城および周辺の公園で、さまざまな屋台が出店する「秋のおかやま桃太郎まつり2023」が開催。
大阪城
戦国時代の大坂本願寺(石山本願寺)を前身とし、その跡地に豊臣秀吉によって建築された居城。大坂の陣をはじめ、明治維新の動乱、第二次大戦時の空襲など、幾度となく戦火に見舞われながら現在に至り、いま見ることができる石垣や堀、大手門・多聞櫓・千貫櫓といった古建造物は、徳川時代以後に再築されたものになる。大阪城公園では今秋も、定期的にさまざまなイベントが開催予定。
松本城
もともとは“深志城”という名で、武田信玄による信濃侵攻の拠点にもなった城郭。武田氏の滅亡後は、徳川家康の家臣である小笠原貞慶が入城し、松本城へと改名した。その後、家康の関東移封に合わせて貞慶が下総国に移ると、代わって石川数正が入城。以降も幾度となく城主の入れ替わりが起きるものの、幕末まで居城として活用され続けた。11月3日(祝)~10日(金)にかけて「国宝松本城Week」というイベントが開催。
首里城
琉球王朝の王城。第二次大戦時に全焼したが、戦後、復元事業が推進され現在に至る。中国と日本の築城文化が融合した独特の建築様式や石組み技術には、高い文化的・歴史的価値があるとされ、2000年に世界遺産に登録。周辺にも玉陵(たまうどぅん)、園比屋武御嶽(そのひゃんうたき)石門など、重要な文化財が多数点在する。11月3日(祝)~5日(日)には、琉球王朝の歴史と文化を堪能できるイベント「首里城復興祭」が開催予定。
上田城
天正11年(1583年)に真田昌幸によって築城。その後、天正13年(1585年)の第一次上田合戦、慶長5年(1600年)の第二次上田合戦と、二度にわたって徳川の大軍を迎え撃ち、これを退けたことで知られる平城。周辺には、歴代の上田城主を祀る眞田神社や、貴重な文化財を多数展示する上田市立博物館がある。11月3日(祝)~5日(日)には武将隊によるステージイベントや、ご当地グルメ&特産品を楽しめる「上田城紅葉まつり」が開催。
姫路城
江戸時代初期に建てられた天守や櫓などの主要建築物が現存し、国宝や重要文化財に指定されている特別史跡。白漆喰総塗籠造りの鮮やかな白の城壁で知られ、その外観から“白鷺城”の愛称でも親しまれている。ちなみに、今日見られる大規模な城郭への改築は、関ヶ原の戦いのあとに城主となった池田輝政によるもの。11月10日(金)~12日(日)に開催される「第73回姫路お城まつり」では、大規模なパレードやステージ企画が楽しめる。
安土城(※城址)
織田信長の掲げる「天下布武」を象徴する城として、天正4年(1576年)に築城された居城。それまでの城にはない独創的な意匠を誇り、絢爛豪華な城郭であったそうだが、本能寺の変のあと、本丸が消失。数年後には廃城されたと伝えられている。安土城そのものは“城址”という形での見学になるが、周辺には信長の菩提寺である摠見寺があり、土日や祝日には特別拝観も実施している。11月12日(日)には「第39回あづち信長まつり」が開催予定。
“ウォークゲーム”でおでかけがさらに楽しく
ここまでさまざまな城郭について紹介してきたが、上記のスポットへのおでかけを検討している人には、旅のお供としてスマートフォン向けの“ウォークゲーム”をプレイすることをおすすめしたい。
「ポケモン GO」の大ヒットをきっかけに、幅広い世代に親しまれるようになったウォークゲームは、GPSによる位置情報を活用し、実際に街を歩くことでゲームを楽しむというもの。遊びながら運動不足を解消できるこれらのゲームは、実際に多くの人を街へ連れ出すきっかけとなった。
そんなウォークゲームは、旅やおでかけとの相性も抜群。ただ目的地まで歩くのは疲れるだけだが、「普段訪れることのない場所を歩くことでアイテムなどがゲットできる」というタイトルも多く、歩くこと自体のモチベーションにも繋がっていく。特に旅先では歩く時間も距離も増えがちなので、より効率的にゲームを楽しめるというわけだ。
「ポケモン GO」や「ドラゴンクエストウォーク」に加え、「Pikmin Bloom」「Monster Hunter Now」など人気シリーズをウォークゲーム化したタイトルが続々登場し活況を見せている中、現在話題となっているのが、8月31日にサービスを開始した「信長の野望 出陣」だ。
「信長の野望 出陣」は、ウォークゲームならではの直感的な操作で、歴史シミュレーションゲームの戦略&バトルを手軽に楽しめるタイトル。実際に全国各地の名城や史跡を訪れるほど、ゲーム内で報酬をもらえる機能が搭載されているのも、おでかけ好きには見逃せないポイントだ。
なかでも、日本100名城の城へ実際に訪問すると、ゲーム内の「名城図鑑」に登録されるだけでなく、城ゆかりの武将などさまざまな報酬をもらえる仕様になっている。せっかく城めぐりに出かけるなら、リアルな旅行とゲームを同時進行で楽しんでみてはいかがだろう?
そして、9月15日(金)~18日(祝)には、鶴見区民文化センター・サルビアホール(神奈川県横浜市)にて「城熱祭2023 in 横浜」というイベントが開催される。こちらは“城×アート”をコンセプトにした催しで、「城アート展」を中心に戦国トークショーやワークショップ、史跡・お城ツアーなどが行われることになっており、歴史好きにはたまらない企画が満載だ。
歴史にちなんだ本格的な秋のおでかけを計画する前に、まずはこちらのイベントに足を運んで、“日本の戦国時代”に関するさまざまな企画を楽しんでみてはいかがだろう。
取材・文=ソムタム田井
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