カンガルーの仲間で“世界一しあわせな動物”と呼ばれる「クオッカ」。日本で唯一飼育している埼玉県こども動物自然公園(埼玉県東松山市)にクオッカが来園してから5周年を記念して、東武鉄道は2025年10月13日から、東武東上線でラッピングトレイン「“ニコニコ”笑顔やしあわせを呼ぶ黄色い電車『クオッカトレイン』」(以下「クオッカトレイン」)の運行を開始した。同日、森林公園検修区にてお披露目式、高坂駅にて出発式が執り行われた。
黄色い車体は幸せをイメージ、クオッカや豪州の動物描いたラッピングトレイン
クオッカトレインは、東武東上線の池袋駅~小川町駅間で当面の間運行するラッピング車両。東上線に“笑顔”を届ける官民連携プロジェクトとして、埼玉県こども動物自然公園と動物園が所在する東松山市、二次交通を担う川越観光自動車、そして東武鉄道が連携し実現したものだ。また、埼玉県が推進する「埼玉県SDGs官民連携プラットフォーム『埼玉の豊かな水とみどりを守り育てる』分科会~都市公園の持続可能な利活用と環境保全に関する検討部会~」による取組みの一環でもあり、埼玉県こども動物自然公園の新規来園者獲得と、環境にやさしい公共交通機関へのシフトチェンジの促進を図る狙いも盛り込まれている。
クオッカが笑顔のような表情を作り「世界一しあわせな動物」と称されることから、車体は幸せをイメージする黄色を基調としている。2両1セットで、クオッカが暮らすオーストラリア南西部の島・ロットネスト島に建つ灯台、東京スカイツリー、そして埼玉県こども動物自然公園の天馬の塔をあしらい、各地の大地を表現。
その上に、クオッカを中心にコアラやエミューなどオーストラリアの動物を描いたストーリー性あふれるラッピングだ。また、池袋方から寄居方にかけて黄色のトーンが濃くなっていき、そのグラデーションが降り注ぐ太陽の輝きと疾走感を演出しているという。
車内にはクオッカの写真とともにクオッカの特徴や生態についてのクイズが記された広告が掲示されていて、乗っている間も楽しめ、クオッカに興味を抱くような仕掛けが施されている。運行は50090型10両1編成のみで、クロスシートで運行する「川越急行」や座席指定制の有料列車「TJライナー」でも用いられる。
森林公園検修区で行われたお披露目式には、東武鉄道の鈴木孝郎鉄道事業本部長、埼玉県の大野元裕知事、埼玉県公園緑地協会の清水匠理事長、川越観光自動車の石井英俊社長が出席。鈴木さんは主催者あいさつにて「東上線は1日100万人のお客様にご利用いただいておりますが、どうしても通勤・通学の路線という性格が強く、沿線の素晴らしい観光地がなかなか目立ちません。そうした中で、高坂に埼玉県こども動物自然公園という立派な施設があることをPRし、沿線内外の皆様にぜひ来ていただきたい」と述べた。
大野知事は「現在、クオッカに会えるのは、オーストラリア以外ではドイツの動物園と、こども動物自然公園だけです。こども動物自然公園は、東武鉄道の高坂駅から川越観光自動車の路線バスで約5分の場所にあります。多くの方に公共交通を利用して、こども動物自然公園へ足を運んでいただき、かわいらしいクオッカたちに会いに来ていただきたい」とあいさつした。
動物園のスタッフもアイデアを持ち寄りクオッカトレインが完成
埼玉県こども動物自然公園の最寄り駅にあたる高坂駅では、クオッカトレインの入線に合わせて出発式が催された。東松山市の森田光一市長は「こども動物自然公園は多くの観光客が訪れる東松山市の観光拠点施設になっております。このラッピングトレインでこども動物自然公園の魅力がさらに増して、東武東上線に乗車いただき、多くの方に訪れていただくことを心から祈念しております」と話した。
また、クオッカのキャラクター「Qちゃん」とともに出席した埼玉県こども動物自然公園の野口幸子園長はあいさつの中でクオッカトレインの企画時の経緯について説明した。
「クオッカトレインの企画をいただいてから実は1年ほど経っております。その間、こども動物自然公園の気持ちやクオッカのことなど、気持ちを汲んでデザインしていただきました。たくさんのオーストラリアの動物が散りばめられていますが、そちらも私たちこども動物自然公園のスタッフと話しながら作られたものです」
そして「この電車が走ることでクオッカを皆さんに覚えていただいて、楽しい電車に乗ったらこども動物自然公園の方に本物のクオッカを見に来ていただける、それが私たちの願いになっています。このクオッカトレインが皆様に笑顔を送るような電車になっていただけたらと思います」とあいさつした。
その後、2番線に池袋行きのクオッカトレインが入線。高坂駅の宮原正浩駅長の「出発進行」の合図とともに、列車は池袋に向けて出発した。
日本で見られるのは埼玉県こども動物自然公園だけ!“世界一しあわせな動物”クオッカとは?
同日、埼玉県こども動物自然公園では正門ゲートにて特製ステッカーの来園者プレゼントを実施した。配布したステッカーは、ラッピングに描かれたクオッカのイラストや車体の正面・側面など、クオッカトレインにちなんだデザインだ。
クオッカはカンガルー科の小型の動物で、先述のロットネスト島のほか、バルド島やオーストラリア南西部に分布する。笑みのような独特の表情は、発達した口角の筋肉によるものだ。絶滅危惧種とみなされているが、埼玉県こども動物自然公園では毎年繁殖に成功し、現在は11頭を飼育している。
当日は三連休の最終日ということもあり、クオッカの展示場には多くの来園者が足を運んでいた。同園ではクオッカの屋外展示場「クオッカアイランド」と、隣接する屋内展示室の2カ所で展示を行っており、クオッカアイランドでは同エリア内にいるカンガルーとともに、のびのびと動き回るクオッカを見ることができる。
公開時間は、クオッカアイランドは平日10時から12時まで、土日・祝日は10時から13時まで。屋内展示室は閉園時間の15分前まで開館している。
「クオッカトレイン」に乗って、埼玉県こども動物自然公園にクオッカに会いに行こう!
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