岐阜県を縦断するJR高山本線の特急列車「特急ひだ」。2022年7月には新型車両の「HC85系」が一部区間で運行を始めたが、2023年3月18日(土)にはJR東海のダイヤ改正により、特急ひだの全定期列⾞はすべての区間でHC85系での運⾏となる。
これに伴い、1日1往復のみJR大阪駅を発着していた特急ひだも新型に切り替わり、さらに停車駅の見直しを図るため、所要時間が最大10分短縮されることになった。つまり、大阪から飛騨高山までの旅がより快適になるということだ。
そこで今回は、大阪在住の編集部員が都会の喧騒から離れてリフレッシュするべく、特急ひだの新型車両を利用して飛騨高山の旅を決行!グルメに体験、お土産など、大満喫する様子をレポートする。(2月16~17日撮影)
大阪から飛騨高山へ!「HC85系」のポイントは?
取材当日、新型車両の乗り心地を体験すべく、特急ひだに乗車。コロナ禍前からの久しぶりの旅だったこともあり、「ここ数年、長距離移動をしたり自然に触れたりする機会が少なくて…。岐阜県に行くのは初めてなので、わくわくです!」と、編集部員はすでにテンションが上がっている。
座席シートの色は、沿線に広がる紅葉や高山祭、下呂花火の様子をイメージし、グラデーションで表現しているとのこと。また、車内は内壁の明るい木目調によって木のぬくもりを感じることができるので、落ち着いた気分になれる。
車両のデッキ部分には「ナノミュージアム」と呼ばれるスペースが新設。「岐阜団扇」「一位一刀彫」「美濃和紙」といった岐阜県が誇る伝統工芸品が飾られており、「旅のお供にぴったりなスペースですね」とうれしそうな編集部員。
しばらくすると都会の景色から打って変わり、窓の外に広大な自然が広がり始めた。岐阜駅を過ぎるといよいよ高山本線。本格的な飛騨高山の旅がスタートしたことを感じさせる。その景色を見て、「川の水めっちゃきれい!」と編集部員は喜びを隠せない。車窓から見られる、緑に輝く飛騨川と青空のコントラストは必見だ。
「古い町並」で食べ歩き&さるぼぼ作りに挑戦!
JR高山駅に到着し、一度荷物を置くため、その日宿泊する「ホテルアソシア高山リゾート」へ向かうことに。JR高山駅からホテルまでの無料送迎シャトルバスが毎日出ているのもうれしいポイントだ。また、JR高山駅1階にある「i-cafe TAKAYAMA」に荷物を預けるとホテルに届けてくれる、宿泊者限定の無料キャリーサービスもある。(受付時間:9時~14時)
その後ホテルからタクシーを使っておよそ10分で、飛騨高山の定番観光スポット「古い町並」に到着。国選定重要伝統的建造物群保存地区である古い町並。敷地内に集まる店はすべて徒歩で移動できる距離なので、ゆっくり景観を楽しみつつ、食事やお土産の購入も可能だ。なお、JR高山駅から古い町並までは徒歩約12分ほど。春休みシーズンで道路の混雑が予想される3・4月に訪れる際は、散歩がてら歩いて向かうのもいいかもしれない。
古い町並は城下町の中心と、商人町として発達した上町・下町の三筋の町並みになっている。到着するやいなや、江戸時代を思わせるレトロな風景に早くも目がくぎ付けになった。
まず向かったのは、飛騨牛が手軽に食べられる「咲くやこの花 こって牛」。お昼の混み合う時間帯には、常に行列ができているほどの人気ぶりだ。
同店で最も人気の「三種盛り」を注文し、お寿司が大好きな編集部員は購入早々に食べ始め、「飛騨牛のお寿司なんてたまらん!」と言いながら、あっという間にたいらげてしまった。使用されているのは飛騨牛の最高5等級のなかでも希少部位で、甘味のある脂ととろけるような食感が特徴。受け皿が煎餅になっており、ゴミが出ないので食べ歩きにはぴったりのひと皿だ。
<咲くやこの花 こって牛 住所:岐阜県高山市上三之町34/時間:10時〜17時/休み:なし>
次に、甘いものが食べたくなった編集部員は、綿菓子専門店の「岩ト屋」へ。名物の綿菓子は、ザラメのなかでも極めて純度が高い「鬼ザラ糖」を使用しており、きめの細かさとあっさりした甘さが魅力だ。
7種ある綿菓子のなかで「真っ赤なベリー」を注文した。数分後に出てきた綿菓子の大きさに、思わず編集部員が「顔より大きいやん…」とポツリ。ちぎって食べるのがおすすめとのことだが、なかにはかぶりつく人もいるんだとか。そのほか、ザラメの代わりに綿菓子を添えたA5等級飛騨牛すき焼き(780円)も看板メニューの1つ。
<岩ト屋 住所:岐阜県高山市上三之町79-2/時間:10時〜16時/休み:火曜日>
続いて、「旅といえば地酒!」という編集部員の強い希望により、200年の歴史を持つ「舩坂酒造店」を訪問。見どころは、酒蔵で出来立ての日本酒を楽しめる「日本酒コインサーバー」だ。100円でカプセルに入ったおちょこを購入し、隣にあるコイン交換処でお金をコインに交換したら準備完了という、ゲームセンターさながらの仕組みになっている。
10種類の日本酒が並び、なかでも大吟醸と純米吟醸が人気なのだとか。お酒が大好きな編集部員は目を輝かせながらコインサーバーを眺め、「ゆず酒 ゆず兵衛」を飲むことに。「甘くておいしい!ユズの爽やかな味わいが最高ですね」と大喜びだった。自分でお酒を注ぎに行けるため、それぞれのペースで少量ずつ多彩な日本酒を堪能できるのも大きなポイント。車の運転を気にせずお酒が飲めるのも、特急ひだの旅ならではと言える。
<舩坂酒造店 住所:岐阜県高山市上三之町105/時間:8時30分〜18時/休み:不定休>
最後にしっかり飛騨高山のおいしい水を飲み、リフレッシュした編集部員が次に足を運んだのは、飛騨の名物である「さるぼぼ」作りなどが体験できる「飛騨高山まちの体験交流館」。入館すると、さるぼぼのほかに「組紐」「竹ランプ」を作っている観光客たちで賑わっていた。
さるぼぼ作りは小サイズ(1800円)と大サイズ(2200円)の2種類。色は8種類から選ぶことができ、編集部員は小サイズの青色を選択。体験開始から順調に進んでいったが、腹当てに書く文字で行き詰ってしまう。そこでカメラマンから、「好きな文字を書けば」とアドバイスを受けるも、編集部員が書いた文字は「好」。いわく「好きな言葉が思いつかへんから『好』って書いた」とのこと。何を書いてもいいのだが、だいたいは「開運」「安産」「幸」など、願いを込めた文字を書くものだそうだ。
なお、小さいサイズはキーホルダーとして使い、大きいサイズはインテリアとして飾っている人が多いという。そのほか「木版画レトロ行灯」や「有道しゃくし」「宮笠」「竹ランプ」など、飛騨高山でしかできない匠の技や歴史・文化を見て体験できるので、ぜひ立ち寄ってみよう。
<飛騨高山まちの体験交流館 住所:岐阜県高山市上一之町35-1/時間:体験交流館は9時〜19時、交流広場は9時〜21時/休み:無休(臨時休館有)/料金:入場無料>
<古い町並 住所:三町伝統的建造物群保存地区 高山市上一之町、上二之町、上三之町、片原町、神明町4丁目の各一部 ほか/時間:店舗により異なる/休み:店舗により定休日あり/駐車場:
飛騨高山観光公式WEBサイト
を参照>
飛騨牛コースと絶景温泉でゆったりした夜を
食事やお酒、体験と、古い町並を存分に満喫した後はホテルにチェックイン。宿泊する客室は46平方メートルの広々としたデラックスツインで、大きな窓からは美しい北アルプスを一望できる。椅子に腰掛けた編集部員は、「めっちゃきれいですね!ずっと見てられる」と気分上々で、快晴の景色を眺めていた。
その後、ホテル内にある「日本料理 華雲」で夕食を取る。同店1番人気の「飛騨牛づくし御膳」を注文。「飛騨牛炙り寿司」「飛騨牛朴葉味噌焼き」「飛騨牛しゃぶしゃぶ」「飛騨牛しぐれ煮」と、A5等級飛騨牛を4種の食べ方で味わえる贅沢なコースが登場し、これには編集部員も「飛騨牛のいろんな味が堪能できて幸せ!」とご満悦。
そして1日の旅の疲れを癒やすべく、同ホテルの「飛騨高山温泉1号泉」へ。10種の露天風呂と2種の内湯という豪華なラインナップで、特に空と北アルプス、湯面を一度に眺められる「インフィニティバス」は一見の価値ありだ。
<ホテルアソシア高山リゾート 住所:岐阜県高山市越後町1134/時間:9時~20時(問い合わせ、申し込み)、チェックイン15時〜、チェックアウト~12時/駐車場:無料駐車場200台※JR高山駅より無料送迎シャトルバスあり>
<日本料理 華雲 住所:ホテルアソシア高山リゾート2階/時間:17時30分~21時(最終入店19時30分)/料金:「飛騨牛づくしプラン」1泊2食付き2名1室2万520円/1名〜(諸税サービス料込み)>
景色もグルメもお土産も充実!「白川郷」を散策
2日目は、無料送迎シャトルバスでJR高山駅へ向かい、駅から出ている濃飛バスに乗車。次なる目的地である「白川郷」へ向かった。バスは木曜日や金曜日は観光客で混雑するそうなので、前もって予約しておこう。バスに揺られること約50分、白川郷に到着した。
「合掌造り」の並ぶ集落全体が世界遺産に登録されている、日本でも有数の観光名所だ。当日は天候に恵まれ、そこまで肌寒くなくまさに散策日和。現地の人いわく「3月でも雪が残っている場合があるので、滑らないように念のため『トレッキングシューズ』などでお越しください」とのことだ。
まず取材班が向かったのは「白川郷 ぷりんの家」。看板商品の「水ぷりん」をはじめ、「五平餅ぷりん」などその土地ならではのフレーバーがあり、季節限定商品も展開している。国内外からの観光客で行列ができるほど人気で、メディアにも取り上げられている。
水ぷりんを食べて「甘さも卵の味わいもしっかりあるのに、後に引かずさっぱり食べられますね」と大満足の編集部員。営業日時を記した、まるでバス停の看板のような標識や看板がかわいい外観にも注目だ。
<白川郷 ぷりんの家 住所:岐阜県大野郡白川村荻町702/時間:10時~16時30分/休み:水曜日(臨時休業の場合はSNS・公式サイトにてお知らせ)/駐車場:なし※村営駐車場を利用>
白川郷の水を使用した絶品スイーツをぺろりとたいらげた後は、現地のお土産を購入するべく「こびき屋 本店」へ。国の重要文化財「和田家」の隣にある合掌造りの店で、お菓子・漬物・地酒・ご当地限定キャラクター商品・季節限定商品など、あらゆる商品を取りそろえている。お昼を過ぎても多くの人たちが往来するので、ゆっくりと買い物がしたい人は15時以降に訪れよう。
「やっぱり、ここでしか買えないものを買うのが旅行の醍醐味ですよね」と、店内で目に入った「抗菌消臭竹タオル」「白川郷ハンカチ」「どぶろく羊羹」を購入した編集部員。そのほか、さるぼぼや飛騨の漬物、地酒といった、白川郷だけでなく飛騨高山の名物全般を扱っている。
<こびき屋 本店 住所:岐阜県大野郡白川村荻町286/時間:9時半〜17時(時期により変動あり)/休み:不定休/駐車場:4台※9時〜16時は進入規制あり>
大阪に帰る前に腹ごしらえをするため、最後に立ち寄ったのは「そば処 乃むら」。お昼時には満席であることが多く売り切れ次第終了なので、早めに訪れて白川郷のそばを味わおう。
そば処 乃むらは二八そばを使用した手打ちそばが特徴で、白川郷のそば粉を100%使用し、新鮮な水で締めることで、のどごしを重視した歯切れのよい食感になっているそうだ。シンプルに「もりそば」を注文した編集部員は「いいお水を使ったそばは格別ですね!」と言いながらそばをすすり、現地でしか味わえないおいしさに満面の笑みを浮かべていた。
<そば処 乃むら 住所:岐阜県大野郡白川村荻町779/時間:11時~15時頃(売り切れ次第終了)/休み:不定休/駐車場:なし※村営駐車場を利用>
今回は1泊2日で古い町並や白川郷を堪能した編集部員。「高山ラーメンなどまだまだ魅力たっぷりなので、すぐにまた行きたくなりました!」と旅を締めくくった。なお、帰りも特急ひだを利用する場合は高山駅からの最終が15時34分なので、余裕を持って行動しよう。
特急ひだを利用すれば、これまでよりさらに快適になる大阪から飛騨高山への旅。都会では味わえない自然豊かな環境で、日頃の疲れを癒やせること間違いなしだ。
※施設の許可を取り、撮影時のみマスクを外しています。
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※新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。
※店舗情報などは2023年2月時点のものです。変更になっている場合がありますので、おでかけ前に必ずご確認ください。