東京から栃木をつなぐ新型特急車両「スペーシア X」(N100系)が7月15日(土)より運行スタート。浅草から東武日光・鬼怒川温泉駅間を、月曜から水曜は2往復、木曜から日曜および祝日は4往復するスペーシア Xは、現行のスペーシアよりもさらに進化。カフェカウンターやコックピットスイートなどを備えていて、旅がさらに快適になりそうだ。
そこで今回は、新型車両の乗り心地を体験するべく、編集部員が日光まで乗車!車内の様子や豪華な空間、さらに旅のおともとして味わえるこだわりのグルメをレポートする(2023年6月7日撮影)。
まるでホテル空間!上質な座席の数々を紹介
スペーシア Xは6両から成り、1号車、2号車、3から5号車、6号車でそれぞれシートが異なっている。まずは1号車の「コックピットラウンジ」からご紹介。扉を開けて入ってみると、黄金色に輝くカウンターがあり、ワインレッドのカーペットに高級感のある座席は、まるでホテルのようなクラシックな空間!日光金谷ホテルや大使館別荘をモチーフにしているそう。
ソファはクッション付きで、大きな窓ガラスから道中の自然も楽しめる。春の季節は桜が、秋の季節は紅葉がきれいに見えそうな予感!運転席を見通せて臨場感を味わえるのも、なんだか特別感たっぷり。向かい合わせの4人席と2人席が3組ずつあり、広めのソファはフワフワの座り心地で、ゆったりと過ごせるのがうれしい。
運転席側にはお一人様用の座席が2席。一人旅もこんなリッチな空間で往復できたら、テンションが上がりそう。女子旅にもうってつけ!
さきほどのカフェカウンターでは、見ての通りビールサーバーを完備。なんと車内で入れたてのビールを味わうことができて、目の前でビールを注いでくれるのがうれしい。ビール以外にも、スペーシア Xのために開発された日光らしい味わいを楽しめる限定メニューが多数用意されているので、のちほどご紹介!
さらにすごかったのが、6号車の「コンパートメントルーム」。4名で利用できる「コンパートメント」は4つあり、高級感のあるテーブルをふかふかのソファで囲む形。テーブルは折りたたみ式で広げられるので、旅の移動を楽しくパーティー気分で過ごせそう。個室空間なので、親子連れも周りを気にせず過ごせるのでおすすめ。
「コックピットスイート」は、さすがスイートと付くだけあって、まるでホテルのスイートルームのよう!3人がけの大きなソファと1人用ソファが4つあり、大人数でもゆったり過ごせる空間。窓が広く開放感があるので、車内から見える自然を満喫できそう。
スタンダードシートさえもプレミアム感満点!
2号車のプレミアムシートは35席。広いシートに加えて、枕のように頭を包み込んでくれる座席は贅沢な気分になれる。
3〜5号車のスタンダードシートは、スタンダードでありながら女子なら足を伸ばせるくらい広い!コンセントも付いているし、お得なお値段にもかかわらず、満足度はかなり高め。座席をボックスにしてワイワイするのも楽しそう♪
おいしい日光の味が満載の車内限定メニュー
1号車の「コックピットラウンジ」にあるカフェカウンター「GOEN CAFE SPACIA X(ゴエンカフェ スペーシア エックス)」のメニューは、スペーシア Xでしか買えない限定商品ばかり。旅行先での食事を邪魔しないオリジナルの軽食は、こだわりがたっぷり!
目の前でビールサーバーから注いでもらえるこだわりのクラフトビールは、Nikko Brewingの「NIKKO LAGER」。一般的なクラフトビールの味わいとは異なり、IPAに近いような辛口の味わいで、喉越しスッキリ。ジューシーかつ濃厚なのが、ビール好きにはたまらない!ちなみに季節限定の第1弾として「ICHIGO ALE」も販売予定。日光の名産品であるいちごを使用したコラボレーションが気になるところだ。
このクラフトビールに合うおつまみも、日光の味。栃木のブランド豚「あさのポーク」を使った「あさのポークジャーキー」、日光のブランド鱒「頂鱒(いただきます)」を使った「頂鱒のスモーク」や「頂鱒とらっきょうのリエット」、地元の酒造が作った酒粕と栃木産の米粉を練り込んだ「酒粕と米粉のクラッカービスケット」、栃木県下野市の玉ねぎを使用した「オニオンコンソメラスク」など、おしゃれなおつまみで現地に到着する前から日光気分を先取りできるのだ。どれも小腹を満たすような軽食なので、満腹になってご飯がいらなくなっちゃうかも…なんて心配ナシなのもうれしい。
もうひとつ、クラフトビールと並ぶ看板商品が、日光珈琲が手掛けたクラフト珈琲「NIKKO BLEND」と「SEASONAL BLEND」だ。移動の車内で買うコーヒーは、なんだかインスタントな味がしがち…というイメージだが、こちらは別物。「NIKKO BLEND」はコクのある味わいにフルーティーさが加わって、深みのある濃厚さがおいしい。一方の「SEASONAL BLEND」はエチオピアをベースにした、ラズベリーのような酸味と花のような香りが楽しめる。どちらもまるで喫茶店の味!
コーヒーにもぴったりのスイーツが用意されていて、酒粕の風味がふわっと広がる「酒粕のバターサンド」や「酒粕のジェラート」、日光を代表するようかんの店「三ツ山羊羹本舗」の「一口羊羹」、日光に工場を持つヨックモックのオリジナル商品「プティ シガール オゥ ショコラ SPACIA X缶」などがラインナップされている。
特におすすめなのが、「酒粕のバターサンド」と「一口羊羹」。「酒粕のバターサンド」は厚みのあるバタークリームを、しっとりとしたビスケットでサンド。口に入れた瞬間はひんやりとしたアイスなのに、だんだんとふわふわの食感になるのも楽しい!「一口羊羹」は、コーヒーにようかん?と思われるかもしれないが、これがよいマッチングで、新鮮な味わい。コクと奥行きのあるコーヒーはようかんの甘さをスッキリとさせて、さっぱりとした後味が残るのだ。
これらのメニューは、1号車の座席指定券を持っている人に優先販売される予定。他の車両の場合は、オンラインで整理券を取得してから注文が可能。お目当てのメニューがあるときは、1号車に乗車するのがおすすめだ。
メニューのこだわりをプロデューサーに聞いてみた
スペーシア Xの“日光尽くし”のメニューの開発に携わったのは、good mornings株式会社の代表取締役、水代優さん。コミュニティープロデューサーとして、東京・丸の内や日本橋をはじめ、全国各地で「場づくり」を行う水代さんが、メニュー制作のこだわりを教えてくれた。
「これからの日光を作る人たちと一緒にメニューを考案しました。Nikko Brewingの『NIKKO LAGER』は、水墨画をイメージしています。クラフトビールのカルチャーは、多いほどよい、たくさんあるほどよいとされているのですが、あえて水墨画のように少ないほど豊かで、研ぎ澄まされたビールを作ろうという考えのもとに出来上がりました。『ICHIGO ALE』は日光の特産品であるいちごを使用し、クラフトビールらしく、喉ごしではなく香りを楽しむ一品に仕上がっています。
食事の3品は日光の門前町にあるフランス料理店『ジルエット』のシェフと開発したもので、どれも自然豊かな日光で育った素材を使用しています。ブランド豚を使用し、ピリリとする山椒が効いた『あさのポークジャーキー』、芳醇な香りを楽しめる『頂鱒のスモーク』、日光の特産品であるらっきょうのたまり漬けがスパイスになっておいしい 『頂鱒とらっきょうのリエット』。これらは特に女性に向けた商品で、“女子旅”でシェアしながらぜひ召し上がっていただきたいですね」
ビールだけでなく、日本酒も2種ラインナップ。「日光を代表する渡邊佐平商店さん、片山酒造さんにご協力いただき、すっきりとした『日光誉』とキリッとした『日光路』を、車中で飲みきれるように小さめのサイズでご用意しています」
最後に、水代さんに日光の楽しみかたを尋ねると「日光は水がきれいなところ。食べ物も飲み物もおいしいだけでなく、輝くような水が流れる景色がすばらしいと感じます。私自身、ランニングが趣味なのですが、日光を走っていると景色が本当にきれいで心が洗われるんです。ぜひスペーシア Xで日光に行く際は、流れる水の美しさを見てリフレッシュしていただけるとよいかと思います」
撮影=奥西淳二/取材・文=イワイユウ