休日は観光列車に乗って ~あれもしたい、これもしたい!よくばり女子の鹿児島旅~ 特急『指宿のたまて箱』

2019年2月7日

仕事に、遊びに、趣味に、恋に。華の20代は毎日が大忙し。

「たまには女2人でのんびりしようか」と目指したのは、鹿児島指宿市。

ところが。

ガイドブックやネットを見ると、見たいもの、行きたいところ、食べたいものが盛りだくさん。この地には“竜宮伝説”も眠るんだとか…!

うーーん、やっぱりのんびりなんてしていられない!

あっという間に過ぎてしまいそうな20代。今は欲ばりに、貪欲に。あれもこれも楽しんじゃえ!

いざ竜宮伝説に彩られた列車旅へGO!


竜宮伝説にちなんだ白と黒のボディ


玉手箱を開けた浦島太郎が、煙とともにおじいさんになってしまう…。誰もが知る“竜宮伝説”が眠る地・薩摩半島を走る特急『指宿のたまて箱』。2両編成の車体は、浦島太郎が黒髪から白髪に変わるシーンをイメージした白と黒のユニークな色合い。出発点となる鹿児島中央駅のホームに登場するや、鉄道ファンだけでなく、家族や外国人観光客もこぞって記念撮影を行うなど、JR九州の『D&S列車』の中でも人気の高い列車の1つとなっている。

玉手箱の煙も体験?約50分のショートトリップへ


この煙でおばあちゃんにはならないのでご心配なく


特急『指宿のたまて箱』のドアが開き、乗り込もうとした瞬間、シュー!っと白い煙が。

「え?なになに?」と驚く2人。実はこれ、玉手箱から出る煙をイメージしたミストで、『指宿のたまて箱』独自の仕掛け。旅の始まりからワクワクさせてくれるはからいだ。

車内には玉手箱のエンブレムがたくさん!


竜宮伝説にまつわる絵も展示


ソファシートでゆっくりくつろぎのひと時を


胸を躍らせながら乗り込んだ車内は、明るく開放的で、丸ごと展望デッキといった風情。ヨットや客船などに使われるチーク材や南九州産のスギ材をふんだんに使った温かみにあふれるしつらえもうれしい。

また、車内のあちこちに玉手箱のエンブレムがあしらわれていたり、竜宮伝説にちなんだ絵を見たりと見どころもたくさん。華やかな竜宮城を思わせる、カラフルな座席シートやゆったりとくつろげるソファシートにも注目だ。

鹿児島を代表する景観は必見!グルメもお見逃しなく


雄大な桜島


「あ、見て見て!」

鹿児島中央駅を出て10分ほどすると、海側の窓の外に錦江湾と桜島が見えてきた。

特急『指宿のたまて箱』は、鹿児島のシンボルともいえるこの絶景を思う存分眺められるよう、海側に回転シートや横並びのカウンターテーブルを設置。錦江湾の潮騒と大地の鼓動を感じさせる桜島の雄姿が記憶に刻まれ、心が満たされてゆく。

「カメロンパン」(240円)。列車の外観をイメージ。中にはサツマイモのペーストがたっぷり


「おにぎりのたまて箱」(280円)。列車と同じように白と黒に色分けされたオリジナルおにぎり。中には豚みそも!


心が満たされると、不思議とおなかが減るもの。腹ごしらえなら、車内販売で人気の『カメロンパン』(240円)や、鹿児島の食材にこだわった『おにぎりのたまて箱』(280円)がオススメだ。

横並びのカウンターテーブルは、景色を眺めるのに最適


「メロンパンとおにぎりシェアする?」「んー、それぞれ2個ずつ買おっか(笑)」

もちろん、デザートに『いぶたまプリン』(410円)もしっかり堪能。この日ばかりはダイエットもおあずけ。

「言霊メッセージサービス」はこの列車だけのオリジナルサービス


記念乗車証はスタンプ台紙にもなる。車内で無料配布している


左から「携帯ストラップ」(820円)、「ピンバッチ」(520円)、「マスキングテープ」(310円)、「立体キーホルダー」(720円)


“いぶたまグルメ”に舌鼓を打っていると、終点・指宿駅までもうすぐ。楽しい時間ほどあっという間に過ぎてしまう。

「ああ、まだやってないことたくさんある!(汗)」…と後悔しないように、列車の魅力を余すことなく体験しておこう。記念乗車証へのスタンプや旅の思い出にオリジナルグッズの購入はもちろん、オススメは『言霊(ことだま)メッセージサービス』。車内に設置された玉手箱に、普段言えない思いや旅の思い出をカードに記入して投函すると、客室乗務員が心を込めてアナウンスしてくれるという粋なサービスだ(車内状況によってアナウンスできない場合もあり)。ぜひ利用しよう。

あたたかいおもてなしに、思わず頬も緩む



指宿駅に到着すると、地元の人たちが温かいお出迎え。ほっこりとした気持ちとともに、特急『指宿のたまて箱』への名残惜しさがじんわり。でも、旅はまだまだこれから。期待に胸が膨らませ、指宿を楽しもう。

竜宮写真館のある指宿駅より日本最南端の駅へ


「指宿駅」構内にある「竜宮写真館」


「指宿駅」の目の前に立つモニュメント。いざ指宿観光へ!


指宿駅構内の『竜宮写真館』で竜宮伝説を学んだあとは、西大山駅へと向かう。ここはJRが営業する鉄道路線で日本最南端となる駅として知られ、同時に絶景スポットとしても名高い場所だ。

標高924mの開聞岳がそびえる


もう1枚!「はいチーズ」


オススメの撮影スポットは、駅のホームから“薩摩富士”と呼ばれる美しい開聞岳をバックにした一枚。

「幸せを届ける黄色いポスト」で記念撮影


また、駅のそばには『幸せを届ける黄色いポスト』もある。大切な友人や家族、恋人に、言葉ではなかなか言えない思いを手紙にして送ってみては?

指宿の名宿で旅の疲れを癒す


広大な敷地を誇り、国内外問わず観光客に人気の宿


今回の旅のテーマは“もっとよくばりに”。もっともっと指宿を満喫しようと2人が訪れたのは、創業70余年の老舗宿『指宿白水館』。今日はここで一泊だ。

およそ6万5000坪という広大な敷地をもつ『指宿白水館』。本館をはじめ、平成10年にオープンした離宮、さらに敷地内には貴重な美術品など多数収蔵する『薩摩伝承館』もあるなど、県内屈指の名宿として知られている。

離宮の一室「あやめ」


「今日はがんばったご褒美!」と、2人が宿泊したのは、贅を凝らした離宮の和洋室。離宮の部屋は全室海側に面し、錦江湾や大隅半島、手入れの行き届いた庭園を眺めることができる。

「広い!」「すごいきれい」と、興奮を隠せない2人。部屋のしつらえは随所に日本の伝統美が散りばめられており、畳の香りにも癒される。

また、この宿の自慢はなんといっても温泉。1000坪という広さを誇り、江戸情緒たっぷりの大浴場・元禄風呂をはじめ、露天風呂や展望風呂も備える。泉質は美肌効果があるとされるメタケイ酸を豊富に含んでおり、さながら“浸かる化粧水”のような良湯だ。

どのくらいの時間入っていられるかは個人差がある。あなたなは何分入っていられる?


体の芯から温まる砂むし温泉


そして、指宿ならではの『砂むし温泉』も見逃せない。この宿では室内に砂むし風呂を設置し、寒さや雨を気にすることなく砂むしを楽しむことができる。温泉を使って温めた砂は50℃前後。疲労回復や冷え性の解消などに効果があるとされている。

季節の料理一例。鹿児島ならではの味に舌鼓を打とう


夕食に鹿児島の海の幸、山の幸をふんだんに使った料理も堪能すれば、あとに待つのは至福のひと時。錦江湾を照らす朝日が昇るまで、ゆっくり休むとしよう。

砂むし風呂でしっかり汗をかいたせいか、翌朝は驚くほどすっきりした目覚め。昨日はかなり歩いたのに、足どりも軽い。

「砂むし温泉ってすごいね。昨日より元気かも」「じゃあもう1泊いきますか?」

指宿で開けた旅の玉手箱は、おとぎ話とは逆の効果があるみたい?

特急 指宿のたまて箱 ルートMAP


[指宿白水館]鹿児島県指宿市東方12126-12 / 0993-22-3131 / チェックイン 15:00~、チェックアウト10:00 / 無休 / 1泊2食(2名1室)18,360円~

特急『指宿のたまて箱』


[特急指宿のたまて箱]【鹿児島中央~指宿】運行日:毎日 / 1日3往復(全席指定) / 大人片道2,140円、子ども1,070円

【九州ウォーカー編集部/文=前田健志(パンフィールド)/撮影=福島啓和/提供=九州旅客鉄道株式会社】

前田健志