元ゲーム会社所属デザイナーで、現在はストーリー漫画をメインに執筆している吉良いと(@kilightit)さん。個人で作品を公開・販売するほか、商業誌にも作品を掲載するなど、精力的に活動している漫画家だ。代表作「ようこそ亡霊葬儀屋さん」は、「このお話ほんとに好きです」「1度見た事あるはずなのに泣いてしまった」など、多くの読者に感動をもたらしている。
今回は、Twitterなどでも公開されている「幽霊が視(み)える葬儀屋さん」シリーズから、「嘘つきなお父さん」をお届けする。今回の主人公は、家族を捨てて出ていったお母さんのことも、そんなお母さんをかばうお父さんのことも、お母さんと同じ色をした自分の目も嫌いだという少女・小鳥遊柚(たかなし・ゆず)。ある日、教室で友人のなつめから「柚の目の色と同じ青でぴったり!」と髪飾りをプレゼントされた直後、突然父の訃報が届けられる。柚の父は、娘に心配をかけまいと癌を患っていたことを隠していたのだ。
葬儀当日。霊が視える葬儀屋・烏丸枢(からすま・くるる)に話しかけられた柚は、「私、父からはしばらく出張で家には帰れないって、そう聞かされていたんですよ…?」父の嘘に対する不満や疑問を漏らしてしまう。それを聞いた烏丸の、まるで父の本音を知っているかのような返答にカッとなる柚だったが、「お父様の幽霊に直接聞いた」と冷静に話す烏丸に「この人もお父さんと同じ嘘つきだ」「もう誰も信じられない」と呆れ、その場を去ってしまう。
橋の上で立ち尽くす柚を見つけたなつめは、先ほど渡しそこねたプレゼントを手渡しながら、この髪飾りの本当の送り主が柚の父であることと、自分から渡すことになった経緯を告白する。しかし、柚はその告白も「嘘だ」「あの人が私に贈り物なんてする訳ない」と信じず、感情のままに髪飾りを川に投げ捨ててしまう。
川に飛び込み、髪飾りを探す烏丸。“柚の父から直接頼まれた願いを叶えたい”と言う烏丸に感化され、柚も川に入って髪飾りを探し始める。ようやく見つけた髪飾りを手に、プレゼントに込められた父の思いを烏丸から聞いた柚は、涙を流しながらお父さんに対する自分の本当の気持ちに気付く。その髪飾りは父の手作りだった。そして花言葉は「幸福な愛」。
わだかまりが溶け、父娘の物語は丸く収まったかと思いきや、事態は急転。ある豪雨の夜、烏丸の事務所に切羽詰まった表情のなつめがやってきて……。柚に関する衝撃の事実が明かされる、最終ページまで目が離せない!
画像提供:吉良いと(@kilightit)