3月から始まった、浅草の観光情報や歴史にまつわるお話、街のトリビアをもっともらしくガイドするが、そのすべてが嘘という、一風どころか、かなり変わったツアー。公開後すぐに話題となり、もともとは1日限定の開催だったようだが、急遽増便し、現在では8月までの開催が決定している。
今回、この「嘘のツアー」に実際に参加してきたので、大きなネタバレにならない範囲でご紹介!
浅草駅周辺の待ち合わせ場所に行き受付を済ませると、ツアーの紹介が。ツアーガイドの松澤茂信さんによると「浅草は来るたびにランダム生成される街で、街が大きく変わるため、ツアー内容も大きく変わる」とのこと。
「今回は金色のオブジェがあるのでパターン112、あのオブジェが自由の女神のときやスフィンクスの場合もあり、例えばパターン91のスフィンクスの場合は555段の階段があるのでそのツアーはかなり困難を極める」とのことで、今回は良いパターンに恵まれた?らしい。
その後、全員嘘をつきながら自分の自己紹介をしてツアーがスタート。スタート直後からもっともらしいガイドを聞いていくが「これは絶対嘘だな」とすぐに分かるものから「これは……どっちだ……」と一瞬嘘か真実かわからなくなるものまで。しかし、冒頭にもある通り、基本はすベて嘘。
雷門までの道では「200万部売れた大ヒットミステリー小説『失踪前夜』で舞台となったのが浅草の雷門。しかし、純粋な人しか読めない本ということで今日は実際にみなさんで読んでみましょう」という前フリで参加者で『失踪前夜』を回し読みすることに。
私は純粋ではなかったようで白いページが続いていたものの、参加者のなかには「ひらがなだけ読める」「読んだことある」「挿絵だけは見えた」など、まだ純粋な心が残っている?人も。この嘘のツアー、自己紹介もそうだが、嘘をつかれるだけではなく、参加者自らも嘘をついていくというおもしろみもある。
最後には「嘘の解説」として解説書が配られるのだが、90分ほどのツアーで実に25個以上(明らかな嘘は解説していないとのことで、実際にはそれ以上の)嘘が散りばめられていたようだ。
すべてが嘘ということで、いわゆる通常のツアーのように歴史に触れたりトリビアを知ることはもちろんなかったが、それでも「嘘のツアー」に参加しなくてはちゃんと見ることはなかった、普段であれば見逃してしまいそうな、例えば看板や、岩や木などを見ることで、いつもとはまったく違った視点で街歩きできるのはとても楽しいものだった。
最後に、ツアーガイドの松澤茂信さんにインタビューを行い、企画に至った経緯や、参加者の感想などを聞いてみた。
ーー「嘘のツアー」の着想のきっかけを教えてください。
【松澤茂信】私は珍スポットマニアで「東京別視点ガイド」というブログを運営しており、変わった観光地や妙なサービスがある飲食店を1000ヵ所以上巡ってます。珍スポットは、嘘みたいだけど本当にある場所。普段マニアなツアーでやってる珍スポット巡りのツアーと嘘のツアー。私としては、楽しさのポイントはそんなに変わらないと思い、今回のツアーも企画しました。
ーー「嘘のツアー」ですが、実際に参加した方の感想や反応はいかがですか?
【松澤茂信】「嘘のはずなのに、なぜか浅草の魅力に引き込まれた」「想像以上に参加型だった」「良い意味でなにも学びを得られなくて最高」「意外にも嘘から発見することがけっこうあった」など、さまざまな意見をいただいてます。ツアーにご協力いただいてる店舗さんが複数あるんですけど、ツアー後に足を運んでらっしゃる参加者さんが多くいらっしゃるようで、うれしいですね。
ー一最後に、これから参加される方、申し込みされる方に、「嘘のツアー」の見どころや注目ポイントがあれば教えてください。
【松澤茂信】これは嘘じゃないんですが、ツアー後は街の見え方がちょっと変わってるはずです。みなさまのご参加、心よりお待ちしております。
なお、ツアー概要に「このツアーの実施自体は本当です。嘘ではありません」と書かれているように、嘘のツアーは本当に行われているし、この記事については本当。後半はまだ枠はあるとのことなのと、キャンセルも発生するようなので、気になる人はぜひ参加してみよう。