「犬好きみんな泣きます」新しい子犬を連れてきた飼い主に先住犬はいじけるが…?その真相が心に響く【作者に訊く】

2024年1月26日

犬の特徴のひとつといえば、利口で社会的な動物の代表格であること。飼い主とまさに家族のような絆で結ばれるほどだが、その反面ほかの犬とうまくいかなかったり、時にはヤキモチを丸出しにすることも。

飼い主との絆に邪魔者が!?新入り犬にヤキモチの柴犬描く短編に感動さく兵衛(@sakubetaro)


漫画家のさく兵衛( @sakubetaro )さんがX(旧Twitter)に投稿した創作漫画「君は最高の相棒」は、主人が大好きな先住犬の柴犬「テツ」が、突然やってきた新入りの子犬に面食らう場面から始まる短編作品。嫉妬心からすねる犬の姿をコミカルに描きながら、実はテツは既にこの世におらず、なぜ新入り犬を飼い主が連れてきたのかが明かされる真相に「不意打ちの展開で号泣」と、X(旧Twitter)上で7万件超のいいねが寄せられた作品だ。

「君は最高の相棒」(01)さく兵衛(@sakubetaro)

「君は最高の相棒」(02)さく兵衛(@sakubetaro)


実家の柴犬から着想を受けて描いたという作者のさく兵衛さん。愛犬との絆を感じさせる同作が生まれたきっかけや、作品作りでのこだわりについて話を訊いた。

漫画ならでは感情表現と柴犬らしさがこめられた愛犬「テツ」の姿


さく兵衛さんによると、同作は「感情を描く」という意識で描こうとした作品。

「今回は『嫉妬』という感情をテーマにしました。最初はテツは生きている犬という設定でしたが、描いていくうちに『愛情深い飼い主が先住犬をないがしろにするだろうか?』と考えるようになり、今回のストーリーに変更しました」と制作の過程を振り返る。

「君は最高の相棒」(05)さく兵衛(@sakubetaro)


主人公である先住犬の柴犬「テツ」は、新参者の子犬の存在にむくれたり動揺したりと、漫画的なキャラクターとして描かれる。

「テツというキャラクター自体は『嫉妬』というテーマで描こうと決めていたので、多少オーバーに感情の起伏を表現しました」と、感情表現に重きを置いたと話すさく兵衛さん。

その一方で、畳の上でよじれる仕草や、じっと子犬を見るたたずまいなど、実際の柴犬らしさを感じるカットも多い。こうした犬らしさの表現は、実家で飼っていた柴犬の様子が取り入れられているという。

「君は最高の相棒」(06)さく兵衛(@sakubetaro)


「気づくとじっとこちらを見ているので、そういう仕草が今回の漫画にも反映されているのだと思います。犬が見せる人間臭さ、たとえば自分のことをかわいいとわかったうえで甘えるポーズをするなどの仕草が好きなので、そこを意識しました」

そうして作品を描く中で、「登場人物の感情を最初に決めて描いたのは普段はしないアプローチでしたが、いつもよりキャラクターに感情移入してしまい、自分で考えた話なのに感極まって泣きながら描くことになってしまいました」と、自身でも心が動かされたと話すさく兵衛さん。

「君は最高の相棒」(08)さく兵衛(@sakubetaro)


読者からも「うちの犬もこうだったらいいな」「犬好きみんな泣きます」と感動の声が集まったことには、「私の実家にいる犬は息災ですが『この子が亡くなったとしても代わりになる子はいないな』と常々考えています。コメントをくれた方々の中にも、それぞれ大切な子がいらっしゃる方が多く、ペットといえど、それぞれにとってはかけがえのない家族だなと思っています」と思いを語った。

取材協力:さく兵衛(@sakubetaro)