「魔王の正体が猫…?」かわいすぎて討伐失敗する勇者に“共感”の声続々「この魔王城に棲みたい」「猫の子どもは卑怯」【作者に訊いた】

2024年1月27日

世界を救うため、魔王城に乗り込んだ勇者。だが玉座に座っていたのは、体を丸めてこちらを見つめる猫だった……!?

謎のベールに包まれた魔王の正体はかわいい猫ちゃんだった!王道ファンタジーをひっくり返すキュートさに反響野愛におし(@nioshi_noai)


SNSを中心に人気を博すWEB漫画の中には、プロの作家が個人制作として発表したものも多い。「ポンコツお嬢様と陰キャ世話係」(単行本第1巻は2024年1月9日発売)などの商業作品がある漫画家の野愛におし( @nioshi_noai )さんが2024年1月、自身のX(旧Twitter)に投稿した創作漫画「勇者が魔王城通いになるまで」もそうした作品の1つだ。

魔王を倒すために冒険する勇者という王道ファンタジーな導入から、魔王が座っているはずの玉座に何故か子猫が乗っているという意外な展開が描かれる同作。その猫は魔王の子どもで、親である魔王もふくよかな猫そのもの。あまりのかわいさに勇者はなすすべなく倒れる――というストーリーだ。

「勇者が魔王城通いになるまで」01野愛におし(@nioshi_noai)


野愛さんによると、商業企画の没ネタを個人的に描いたものだという同作。読者からは「これは倒せない」「ある意味魔王」「この魔王城に棲みたい」と、そのキュートさに魅了されたコメントが寄せられた。「奴隷の私氏 モフモフ主人が尊くて 今日も無事死亡」「ベランダに猫(?)が来た」など、これまでも猫を主要なキャラクターに多く描いてきた作者の野愛さんに、同作の制作秘話を訊いた。

「王道」と「真逆の関係性」から生まれた魔王猫


――以前のインタビューで「あったらおもしろそうな生き物と設定の組み合わせ」を考えているとお話されていましたが、今回の作品もそうしたアイデアが発端だったのでしょうか?

【野愛におし】それに加えて「もしみんながよく知る〇〇が××だったら…」という設定づくりをいたしました。猫がしゃべってもどんなに大きくても特に深い設定は必要ない舞台としてファンタジーを選びました。今では魔王と勇者の関係性は世間一般に認知されていますし、真逆の関係性はドラマを生むと考えてのチョイスです。

「勇者が魔王城通いになるまで」02野愛におし(@nioshi_noai)


――デフォルメされた猫はもちろん、ほっぺをすりすりしたり写実的に寄ったカットがかわいらしいです。特に力を入れたシーンや、今回モデルになった猫がいたら教えてください。

【野愛におし】現在のXでは、1ページ目の画像を1枚に設定し、続けてリプライで2ページ以降を表示させる手法が主流となっておりますので、その分1ページ目で続きが読みたくなるよう引き込まないといけません。なのでやはり、1ページ目に一番力を入れました。

魔王の描写はラフで申し訳ないのですが、企画段階でビジュアルが決まっていなかったため手癖で仕上げました。その際にやはり過去作品のビジュアルが強く出てしまったので、「奴隷の私氏 モフモフ主人が尊くて 今日も無事死亡」のキャラクター、ノル様に寄ったデザインになってしまいました。一応模様は若干変えたつもりですが(笑)。

――魔王が実は猫だったというコンセプトが刺さる作品でどんな続きがあったのか気になります。どんな展開を構想されていたのでしょうか?

【野愛におし】ジャンルはコメディですが、メインストーリーは感情と立場による葛藤をコンセプトにしてそれに猫を足す形で描こうと思っておりました。

魔王と勇者という、対立した関係性であることは活かしつつ「本当は敵の本拠地に遊びに行ってはいけないのについ行ってしまう」とか「王様や仲間たちには内緒にする」とか「討伐に行くと嘘をついて行くことに罪悪感」等色々人間ドラマを練り込む予定でした。機会があればこちらも練習かねて続きを描きたいと思っております。

取材協力:野愛におし(@nioshi_noai)