ボツネタは星の数!?アイデア探しに悪戦苦闘する日々
ランチパックは「ピーナッツ」や「たまご」など通年で販売される定番商品から、過去に流行した「タピオカ」や「チーズタッカルビ」などのトレンドが意識された商品など、タイプはさまざま。ランチパックの開発チームではヒット商品を輩出すべく毎日たくさんのアイデアが出されているが、「実際にパンに挟んでおいしいものを実現させるのは一筋縄ではいかない」と保田さんは頭を悩ませる。
「味の開発はとても大変で、常に新味のアイデアを求めています。時には何時間もスーパーをうろうろしたりして、どんな商品が流行っているのか、どんな味がお客様に求められているのかなどを常にリサーチしています。また、月に40〜50種類のアイデアが出されますが採用されることは滅多になく、ほとんどがお蔵入りになります。アイデアが通っても試作からおよそ半年から1年をかけて開発するため、その間にボツになることも多いんですよ」
常に新味に挑戦すべく奮闘している開発チームの人たちは、毎日16種類以上もの試作品を食べているという。もはやランチもいらないくらいに感じるが、「ランチは別腹です(笑)」と保田さん。
さらにこれまでに作られた試作品のなかには、「これは世に出せないな…」といったボツネタも多く存在した。
「たくさんの試作品を作ってきましたが、『エナジードリンク』と『もやしのナムル』はパンとの相性が絶望的でしたね。過去にはサーティワンアイスクリームとコラボした商品を発売したことがあるのですが、『ポッピングシャワー』だけはうまく行きませんでした。アイスに入っているパチパチキャンディーがパンのなかで弾けてしまったためです」
ほかにも、「味噌汁」や「ラーメン」などの汁気の多いものはパンに滲んでしまうため難しいらしく、パンとの食べ合わせが良くても商品化にまで至らないものも多い。私たちが普段食べるランチパックは、非常に狭き門をくぐり抜けていたのだった。
関東と関西で人気の味が違う!その理由は?
人気の味は定番の「たまご」や「ピーナッツ」、「ツナマヨネーズ」、「ハム&マヨネーズ」など、よくスーパーやコンビニで見かけるものだそう。しかし人気の味には地域差があり、関東と関西では1番人気の味が大きく異なるという。
「東京を中心に東ではピーナッツが人気で、大阪を中心とした西ではたまごが人気です。関東にはピーナッツの産地・千葉があるからで、関西では喫茶店のモーニングにゆで卵が出てきたりカレーに入れたりと、卵を食べる機会が多いからかもしれませんね」
ちなみに保田さんのおすすめの味は「チョコレート」だそう。ただチョコレートクリームが挟んであるのではなく、実は硬めと柔らかめの2種類のベルギーチョコ入りクリームが使われているため、口あたりがとてもなめらか。
そしてもう1つのおすすめ商品が、2020年1月に発売された「ブルーベリージャム」、「マーマレード」、「いちごジャム」の3種類。果実感のあるジャムが楽しめるシリーズで、それぞれに果肉や皮が入っていてフルーツのジューシー感がしっかり感じられるひと品だ。
球団コラボが好評!「ランチパック」のこれから
ランチパックの製造を行う工場は全国で20カ所あり、この地の利を生かして全国販売やご当地ランチパックの開発を行ってきた。これからはそれぞれの工場ならではの地域性や魅力を生かした商品作りや、全国規模でのコラボ商品・キャンペーンなどを企画したいと保田さんは話す。
「2022年3月には、シーズン開幕に合わせてプロ野球12球団とのコラボ商品を発売しました。それぞれの球団をイメージした味を12種類発売したところ、全ての味をコンプリートした野球ファンの方もいらっしゃったりと好評でした。今後は新味の開発だけでなく、日本各地のエリアに工場を持っているという持ち味を生かしてコラボ企画を行うなど、力を注いでいきたいです」
1984年に発売されて以来4種類の味からスタートして、今や開発担当者も数えきれないほどの種類がある大ヒットとなったランチパック。もうすぐ誕生40周年を迎えるが、これからどんなおいしさを生み出していくのだろうか?新しい挑戦に期待が膨らむばかりだ。
取材・文=越前与
※掲載商品は2022年7月時点のものです。