アザラシやトドってどんな味?『ゴールデンカムイ』に影響されて「獣肉特別セット」を食べてみた

2022年7月12日

エゾジカはあっさり、イノシシは野生味たっぷり?

ついに実食。「最初は味の想像ができるやつがいいかも」ということで、エゾジカに決定。ジビエとしてシカはメジャーであり、高タンパクで低脂肪、さらには鉄分が豊富という栄養満点な肉だそう。一切れ箸で掴んでみると水分が少なく、少し硬め。

食べてみると、「しっかり赤身!」という味と食感。水分が少なく、ジャーキーのように噛めば噛むほど肉の風味がしっかりと滲み出てくるので、噛みごたえのある食材が好きな人にはぴったりかもしれない。想像していたような獣感も少なく、担当編集も「これは食べやすい!鶏肉に近いあっさり感」と箸が止まらない様子。


次に食べたのはイノシシ。こちらはエゾジカに比べて色が薄めで照りがあり、食欲をそそる。ひと口食べると「あー!シカの5倍は獣!」と担当編集が絶叫。しかしジビエ特有の野生感のある臭みというよりは豚肉に近い感覚だったため、嫌な感じではない様子だった。

むしろ「ちょっとチャーシューっぽい」と気に入ったようで、次々に口に入れていた。醤油と程良い臭みが合わさって、食べ慣れた味だったのが驚き。イノシシについては「これは豚肉です」と言われれば、そうと思い込んでそのまま食べ続けてしまいそう。獣肉初心者には1番おすすめしたい。


クマはあの大阪名物にそっくり!?

お次はクマに挑戦。クマの肉は狩猟されるか罠で捕獲する以外に手に入れる方法がないため、とても貴重なのだという。そのため、なかなか食べる機会がないうえに「ザ・獣」というイメージもあって、担当編集も口に入れるのを恐れている様子。肉の見た目は5種類のなかでは最も色が薄く、味噌で煮込まれておりタケノコと生姜も入っている。


なぜか目を瞑りながら恐る恐る口に運んでみると「牛すじっぽい!牛肉より獣感があるけど、全然食べられる!おいしい!」と絶賛。口に入れた第一印象は大阪名物の「どて煮」に近く、おかずとして違和感がなく食べられそうな味だった。エゾジカやイノシシに比べても脂身が多く、ぷりっぷりの食感。一緒に煮られているタケノコや生姜との相性も抜群だ。

筆者は猛烈にご飯が欲しくなったが、酒飲みである担当編集は「これはビールだな」とひと言。「ヒンナヒンナ…」と、『ゴールデンカムイ』のワンシーンを思い出しながら、ビールでぐびぐびと流しこんだ。


気になる海獣・アザラシ&トドのお味は…?

次に口にしたのは、味の想像がつかないアザラシ。見た目は5種類のなかで4番目に黒く、まさに“未知との遭遇”といったところ。担当編集は「ちょっとビビってるかも」と、匂いを嗅いだりして食べるのを躊躇していた。箸で持つと身がほろほろと崩れ、思いのほか水分は少なめの様子だ。

勇気を振り絞って口に放り込んでみると、「あ!そうなるのか!おいしい」と思わぬ反応が。「獣感というよりは魚っぽいクセがあって、魚介が好きな人にはいいと思う」と話していたが、たしかに野生味のある味というよりはマグロなど魚の煮付けに近い。日本酒とも合いそうな味だ。ただ、少し血の味も感じるので、レバーが苦手な人は食べにくいかもしれない。


そして最後はトド。今回の獣肉セットのなかで最も味が読めないため、ラスボス感が半端ない。見た目はアザラシに近いものの、かなり黒くてしっかり煮込まれた様子。このような機会でないと決して食べるとのない海獣…一体どんな味がするのだろうか。

担当編集が思い切って口に入れると、「あ、クセ強っ」とポツリ。「おいしいけど、魚感が強いのにトドより獣っぽさがフワーッと感じられる。言葉では表現できないクセがあるから、一度食べてみてほしい」と、とにかく食べた人にしかわからない味わいらしい。筆者も食べてみたが、「鼻の奥のほうにトドがいる気がする」という意味不明な感想しか出せなかった。味わいとしてはアザラシと似ているが、クセがパワーアップされたのがトド、という感じだ。ただ、担当編集からは「でもビールにはしっかり合います」とコメントが。ジビエ初心者にはあまりおすすめできないが、珍味好きはぜひトライしてみてほしい。


おつまみにもご飯のお供にも!自宅で気軽にジビエを楽しもう

全てのジビエを食べてみて、それぞれ味や香り、臭みの種類までが全然違うことがわかった。陸の獣は思いのほか獣臭くなく食べやすい味で、おつまみとしてもおかずとしてもイケるという結果に。逆にアザラシやトドは、魚の味わいに近くクセが強い。魚介好きの担当編集は、イノシシ、アザラシ、エゾジカの順番に好きという結果になった。

「イノシシは豚肉っぽさがあり抵抗なく食べられて、おいしかったです。アザラシは私が魚好きなこともあるので、個人的にはけっこうおすすめ。エゾジカは鶏ムネ肉に近く、本当に食べやすかった。食の好みによってどの獣肉が好きか、大幅に変わってくるかもしれませんね」

ちなみに筆者はどて煮が好きなこともあり、味わいが近かったクマが圧倒的に1位。逆にアザラシやトドは血の味を強く感じ、レバーが苦手な筆者の舌にはあまり合わなかった。5種類それぞれ個性が強いため、こんなふうに家族や友人とわいわい食べ比べるのも楽しそうだ。

今回貴重な経験をさせてくれた「獣肉特別セット」。『ゴールデンカムイ』を読んでジビエを食べてみたくなったという人は、自宅で気軽に獣肉を試すことができるのでおすすめだ。この機会に、命をいただくありがたさを味わってみては。

取材・文=福井求

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