日本ではなにかと食べる機会が多い魚料理。なかでも生魚を使った寿司などは海外で「ジャパニーズフード」と呼ばれ、国内外問わず多くの人に親しまれている。ただ一方で、生臭さが苦手だったりアレルギー体質であったり、近年ではヴィーガン思考の人も増えたりと、魚が食べられない人がいることも事実だ。
しかし、こうした魚に対する見方が大きく変わる可能性を秘めているのが、あづまフーズ株式会社が販売する「まるで魚シリーズ」。大豆ミートなどで知られる“代替食品”の1つだが、見た目はまさに生魚そのもの。地球にも人にもやさしい次世代食品として注目を集めつつある。
今の時代にフィットした新しい食品の誕生に、興味がある人も多いのではないだろうか。今回は、あづまフーズ株式会社(以下、あづまフーズ) 販売事業本部の坂下卓也さんに、「まるで魚シリーズ」の誕生秘話とユーザーから寄せられた驚きのエピソードを聞いた。さらにクオリティの高さを体験するべく、実際に商品を調理して実食レポート!
原材料は「こんにゃく」!SDGsをきっかけに開発スタート
「まるで魚シリーズ」の開発がスタートしたのは2020年。あづまフーズと取引がある台湾の企業が、前身の商品を開発したことがきっかけだったんだとか。その後、日本でもSDGsの考えが浸透してきたことを受けて、あづまフーズと台湾の企業の共同開発によって日本風にアレンジ。2021年に次世代シーフードブランド「グリーンサーフ」を立ち上げ、国内での販売を開始した。
「現在、通常販売している商品は『まるでマグロ』(以下、マグロ)『まるでイカ』(以下、イカ)『まるでサーモン』(以下、サーモン)の3つで、原材料には『こんにゃく』を使用しています。また、当社はもともと水産加工メーカーなので、水産資源確保の一環として8年ほど前から代替食品の商品開発・提供に取り組んでいました。海外では欧米を中心に代替食産業が盛んになっていることを事前に掴んでいましたので、いずれ日本にも同じ流れがくると踏んで、『まるで魚シリーズ』の開発をスタートしました」
パッと見て「魚じゃない」と判断できる人はほとんどいないのではないか、と思えるほど再現度が高い「まるで魚シリーズ」だが、どのようにして作られているのだろうか。
刺身の白い筋まで!見た目の再現度にこだわった理由
これまでもいろんな魚の代替食品が販売されているが、刺身にある“白い筋”まで忠実に再現している商品は、現状「まるで魚シリーズ」のみだと話す坂下さん。まさに「まるで魚」と言わしめる最たる要素と言える。
「台湾の現地メーカーからも、『筋を入れる技術は他社では再現できない』と聞いています。特に再現度が高いと言っていただけるのはマグロとサーモンですね。公式サイトではユーザーの方が商品を使用して作ってくださった料理の写真を掲載していますので、ぜひご覧になってください」
生魚が苦手な人の多くが最も気になるのは、「匂い」ではないだろうか。「まるで魚シリーズ」は原材料がこんにゃくであるため、特有の生臭さがないそう。苦手な人にとってはこれだけでも朗報かもしれない。
「食感については、もとがこんにゃくなので完全に再現するのは難しいですが、薄切りにすることで本来の歯ごたえに近づけることが可能です。醤油をつけることでより本物に近づくので、よかったら一度試してみてください。また、味についても多少の塩味があるだけで生魚には寄っていませんので、いろんな料理にアレンジできます。ただ、魚が好きな人は本物を食べられたほうがいいと思います(笑)」
開発するうえで重視しているのが“味”ではないのは、「さまざまな理由で魚が食べられない人が疎外感を抱かないように」という思いからだそうだ。
「魚の味がする」?ユーザーからの驚きの声
前述のように、味については多少の塩味があるものの魚とは全く違う味のはずなのだが、ユーザーからは意外な声が寄せられているという。
「『魚の味がする』と言う人がたまにいらっしゃるんですよ。なかには『こんにゃくだ』とお伝えしても、見た目で魚だと思い込んでしまっているためか、感想が変わらない人もいます(笑)。その後、何回か食べてようやく味の違いに気づかれるみたいですが…。このように提供している私たちのほうが、思わずびっくりしてしまうようなお声をいただくことがあります」
また、坂下さんが偶然見かけた質問サイトでのあるやり取りがとても印象に残っているんだとか。
「『魚が食べられない子供に何かいい商品はないですか?』という質問に対して、弊社の『まるで魚シリーズ』が紹介されていて、その回答を受けた質問者さんが『そんな商品があったんですね!』と、感動されていたことがとても印象に残っています。この件で商品に需要があることを改めて実感しましたし、何よりブランドとしての自信にも繋がりましたね」
さらに、病気などの理由で魚に含まれるタンパク質を制限しなければいけない人たちからは、「見た目で魚料理の雰囲気を楽しめる」といった声も。開発当初には予想していなかった意外な需要が次々に生まれている。