大阪・梅田のランドマーク「HEP FIVE」の観覧車が生まれた理由とは?珍しい“ビル一体型観覧車”の魅力

2023年10月26日

大阪・梅田エリアには多くの商業施設やビルが立ち並び、“梅田といえば”というランドマークとなっているものがいくつもある。そのなかでも、ひときわ異彩を放っているのがファッションビル「HEP FIVE」の赤い観覧車だ。

関西に住む人々の間では当たり前のように存在しているHEP FIVEの観覧車だが、よく考えてみると、大きな駅前のビル群の中に観覧車があるのはとても不思議な光景。しかもファッションビルと一体型になっているという点も、かなり珍しい。

では、なぜHEP FIVEには観覧車が併設されているのだろうか?今回はそんな疑問を解消すべく、施設を運営する阪急阪神ビルマネジメント株式会社の担当者に話を聞いた。

大阪・梅田エリアを代表するランドマークのひとつ、HEP FIVEの観覧車


「梅田に遊園地がほしい」HEP FIVEの観覧車ができた意外なきっかけ

JR大阪駅のすぐそばにある梅田エリアといえば、阪急うめだ本店や阪神梅田本店といった百貨店があるイメージが強い。そんななか、若年層が多く集まっているのがHEP FIVE。1998年11月28日に誕生したHEP FIVEは2023年で開業25周年を迎えるが、観覧車は開業当時から運営しているという。

「阪急ファイブ(HEP FIVEの前身)が発行していた情報誌『ボイス』のアンケートのひとつに、『梅田になくて、あってほしいものは何か』という設問があり、それに対して男女ともに第1位だったのが『遊園地』でした。そこからヒントを得て、できたのがこの観覧車なんです」

車輪もゴンドラもHEP FIVEのイメージカラーである赤で統一されている


観覧車が利用者の声から生まれたものだったとは意外だ。たしかに、梅田は買い物には事欠かないエリアだが、遊園地のようなエンターテインメント施設は多くない。ましてや、多くのビルが立ち並ぶエリア。観覧車のような大掛かりなものは建てるのが難しいだろう。

担当者は「オープン当初、早朝3時から並ばれるお客様もいらっしゃったようです。連日大賑わいで、ビルの外にまで行列ができるほどだったそうですよ」と、当時の様子を教えてくれた。

HEP FIVEの観覧車は7階にある搭乗口から乗り込むという特性上、ゴンドラに乗り込んだ瞬間、高所からの絶景を楽しめるのが魅力。1周の所要時間は15分程度で、最上部の高さは地上から約106メートルにもおよび、天気のいい日には大阪城や生駒山などを望むことができるのだとか。

カフェなど、飲食店があるフロアから搭乗。“ビル一体型”を感じる

ゴンドラの内部も鮮やかな赤色。4人まで乗車可能


当時、世界的にも珍しかったビル一体型の観覧車

現在では観光地の側面も出てきており、利用者層も変化してきているそう。国内外からの観光客はもちろん、アイドルなどとのコラボで観覧車をラッピングしたり、ARでキャラクターが浮き上がるイベントを実施したことで、今では“推し活”の一環で搭乗する人もいて観覧車に乗る目的もさまざまだ。

頂上からは大阪の街並みを望める


今でこそ珍しくはないが、実はHEP FIVEの観覧車ができた当初は、「ビルの屋上部分に日本初の冷暖房完備の大観覧車が設置された」と大きな話題となった。ビルに併設された観覧車は、今では北海道や鹿児島県など、日本各所に存在する。それらの建造物の先駆けが、このHEP FIVEの観覧車だったのかもしれない。

冷暖房のほかに、好きな音楽を聴きながら空中散歩を楽しめるようスピーカーも備え付けられている

想像以上の高さに、思わず足がすくんでしまう…

ビル内に戻る際の通り道でもゴンドラに接近でき、フォトスポットとして多くの観光客が集まる

チケットの半券は持ち帰ることもでき、施設内で割引や特典が受けられる店舗もあるので要チェック!


ただのランドマークじゃ終わらない!今後の展望は?

ユーザーの意見を取り入れ、梅田エリアのランドマークと言われるようになったHEP FIVEの観覧車。関西では十分な認知度を誇るが、今後はどのような展開を考えているのだろうか。

この問いに対して、「今後も施設イベントと連動した取り組みで、景色を眺める以外の楽しみもある観覧車を目指していきたいと思います。お客様が何度でも乗りたくなるようなものにしていきたいですね」と担当者は話す。

夜の観覧車は昼とは異なる姿を見せてくれる


これからもビル一体型という仕様を生かしたイベントなどを検討しているそうで、新しい体験ができそうだ。毎日多くの人々が行き交う梅田界隈を盛り上げる、HEP FIVEの観覧車。今後の展開からも目が離せない。

取材・文=織田繭(にげば企画)

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