夏目漱石の小説にも登場した「ヱビスビール」が誕生135周年!遊び心から生まれた「ラッキーヱビス」とは?

2025年3月24日

これからの季節、会社の歓送迎会や花見など、さまざまなシーンで「ビール」を飲む機会が増える人もいるかもしれない。そのなかでも長い歴史を持ち、贈り物としても人気が高いのが「ヱビスビール」だ。

そんな「ヱビスビール」が、2025年2月25日に誕生135周年を迎えた。発売当初のビールは、今のように誰もが気軽に飲めるものではなかったそうだが、どのようにして人気を獲得していったのだろうか。

135年の歴史と、その人気の秘密に迫る【提供=サッポロビール】


今回は、サッポロビール株式会社のヱビスブランドマネージャー沖井尊子さんに、「ヱビスビール」の誕生秘話や長年愛されている理由について話を聞いた。

1994年のCMが転機に!?「ヱビスビール」が長く愛されるワケ

「ヱビスビール」の誕生は1890年にさかのぼる。当時の日本におけるビールを人々が手に取るにはハードルが高い時代だった。そんななか、日本麦酒醸造会社(現サッポロビール株式会社)の社長であり、後に「東洋のビール王」として称される馬越恭平氏は、日本でも本格的なビールを普及しようと奔走した。

「ドイツから最新の醸造設備と経験豊富な醸造技師を招き、1890年、ついに『ヱビスビール』が誕生したのです。その品質の高さから、日本国内だけでなく海外でも高く評価されるようになりました。特に、1900年に開催されたパリ万博への出展は、同ブランドの国際的な認知度を大きく向上させるきっかけとなりました」

1889年、竣工当初の「ヱビスビール醸造場」(現在の東京・渋谷区恵比寿)【提供=サッポロビール】


その後も「ヱビスビール」は進化を続け、1994年には「ヱビスビールあります」というキャッチフレーズを掲げたCMが話題となり、飲食店を中心に多く流通するようになった。その結果、3年間で売り上げが2.5倍にまで伸び、同ブランドは高級志向のビールとしての地位を確立していった。それにしても、これほど長く愛され続ける理由は何なのか?

「愛していただいている理由として、“常に挑戦し続けている”点にあると思っています。2024年4月にヱビスビール誕生の地である恵比寿にオープンした『YEBISU BREWERY TOKYO』もその挑戦の一つで、私たちは『ビールっておもしろいな』と感じてもらえる取り組みを続けてきました」

取り組みの成果もあり、サッポロビール株式会社のほかのブランドと比べても認知度は高いようだ。沖井さんは「主な購入者の年齢は高めですが、若いお客さまからも『正月には必ず飲みます』といった声をいただいたりと、ブランドのイメージが幅広い層に浸透していると感じますね」と語る。

数百本に一本の割合で製造される「ラッキーヱビス」とは?

「ヱビスビール」といえば、ラベルに描かれた「七福神の恵比寿様」(以下、恵比寿様)を思い浮かべる人が多いだろう。恵比寿様のデザインは通常、右側の脇に鯛を一匹抱えているが、「ヱビスビール」の瓶には“ある秘密”が隠されているのだとか。

「実は『ヱビスビール』は、数百本に一本の割合で恵比寿様が鯛を二匹抱えた『ラッキーヱビス』のラベルを製造しています。SNSでも『ラッキーヱビスを見つけた!』といった投稿を目にするのですが、私はまだ『ラッキーヱビス』に出合ったことがなくて…(笑)」

これが「ラッキーヱビス」のラベル。左後ろの魚籠(びく)にもう一匹の鯛が入っているのがわかる【提供=サッポロビール】


これは広告目的ではなく、消費者に楽しんでもらいたいという遊び心から1998年に始まったものであり、サッポロビール株式会社から「ラッキーヱビス」について発信することはないそうだ。「『ラッキーヱビス』は全国に流通しているので、コンビニやスーパーに立ち寄った際にはぜひチェックしてみてください」と沖井さん。

「ちなみに、発売当初から現在まで、アイキャッチには恵比寿様が描かれていますが、時代に合わせて少しずつデザインを変更してきました。直近では2024年にリニューアルされ、余計な要素を削ぎ落としたことで、より洗練された印象となっています」

【写真を見る】「ヱビスビール」の缶製品、歴代デザイン。1991年から現在のリアル描写の恵比寿様になった【提供=サッポロビール】


移りゆく時代のなか、「ヱビスビール」の新たな挑戦とは?

長らくプレミアムビールとして愛されてきた「ヱビスビール」だが、現在では他社からも同様の商品が多く販売されている。さらに近年ではクラフトビールなど、プレミアムビールとは異なる高価格帯のビールも増えているが、同ブランドは今後どのように商品価値を提供していくのか。

「ワインやチューハイなどお客さまの選択肢が増えるなか、『ヱビスビール』の存在意義を時代に合わせて再定義しています。2025年は、100年以上にわたる真摯なビール作りをテーマに、『さあ、いい顔でいきましょう』というキャッチコピーを掲げ、同ブランドならではの前向きな気持ちをお客さまに届けるコミュニケーションを行っています」

ビールには主に2つの発酵方法があり、一つは華やかな香りが特長の「上面発酵(エールビール)」。もう一つは、すっきりとした爽快な味わが魅力の「下面発酵(ラガービール)」だ【提供=サッポロビール】


また、きたる2026年には酒税改正により、ビール系飲料の酒税が統一される。これにより、減税対象となる「ヱビスビール」は今より手に取りやすくなるが、沖井さんは「価格以外の部分でも選ばれるように、ブランドの価値を一層高めていきたいですね」と意気込む。

「1994年のCMの影響が今も色濃く残っているため、ブランドイメージの刷新が課題です。これを解決するためには、恵比寿の街でお客さまの声を反映しながらビールを作り続けた135年の歴史と現在、未来を一つの物語として体験できる『YEBISU BREWERY TOKYO』が重要な役割を果たすと考えています。今後もこれまでご愛飲いただいた方はもちろん、新たなファンの獲得にも努めてまいります」

「ヱビスビール」のブランド体験施設「YEBISU BREWERY TOKYO」。35年ぶりに誕生の地・恵比寿にてビール製造を再開した【提供=サッポロビール】


その高級なイメージゆえ、特別な場面で楽しむという人も少なくないかもしれない「ヱビスビール」。これからは食事中や仕事後のリラックスタイムなど、日常のさまざまなシーンで楽しんでみてはいかがだろうか。もしかすると、同ブランドの新たな魅力を発見できるかもしれない。

取材・文=西脇章太(にげば企画)

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