大阪梅田に初出店した老舗書店・有隣堂、その勝算は?

2026年3月8日

有隣堂グラングリーン大阪店の小さいけれど「編集された売場」

このような事前情報をもとに、私は興味津々で有隣堂グラングリーン大阪店を訪れた。詩集、文芸、美術などのジャンルに分けられ、小さい売場面積ながら、こだわりを感じる書籍が棚に並べられている。そしてZINEの常設コーナーでは、透明のアクリルスタンドが設置され、いろいろなZINEの表紙が見えやすいように斜め向きに配置されている。有隣堂公式サイトの発表によると、書籍のほか、ZINEや雑貨なども含めた「編集された売場」をつくることで、ふらっと立ち寄った人が“何かに出会える”体験を提案するのがコンセプトだ。

ZINEが所狭しと並んでいる


ただ、店長の松永さんに話を聞いてみると、近隣で働く会社員がふらっと立ち寄るというよりは、ZINEやマニアックな書籍を目当てに有隣堂を訪れるお客さんが多いとのこと。また「有隣堂愛」が強い常連客も多く、横浜から関西に転勤してきて、慣れ親しんだ有隣堂がグラングリーンにオープンしてくれてうれしいと告げられたこともあるらしい。このように、一般の大手書店との差別化が明確に図れている。

松永さんにおすすめの本も教えてもらった。現在、平積みで大きく展開している『ふつうに働けないからさ、好きなことして生きています。』だ。著者の平城さやかさんは、もともと心身の不調から仕事を辞めてZINE制作に打ち込み始めた。本作はひとり出版社・百万年書房から初めての商業出版物として刊行されたばかり。自分の好きなZINEやイラスト雑貨を制作して、いかに生計を立てていくかをつづった「起業本」であり、まさに昨今のZINE人気を象徴するような一冊だ。

おすすめ本を平積みで展開中


にわかにZINEの人気が出はじめたのは、デジタル依存への反動なのかもしれない。テンプレートやAIがつくった文章が氾濫するSNSに疲れた人たちが、より熱のある言葉を求めて手作り感のあふれるZINEを手に取るということも考えられる。有隣堂はそんな動きを敏感にキャッチして、ZINEと読者をつなぐ個性的な売場を提供している。

施設情報

有隣堂グラングリーン大阪店
住所:大阪府大阪市北区大深町6-38 グラングリーン大阪 ショップ&レストラン 北館2階
アクセス:【電車】JR大阪駅から徒歩約5分、阪急大阪梅田駅から徒歩約5分、Osaka Metro御堂筋線梅田駅から徒歩約5分
駐車場:231台(グラングリーン北館66台、南館165台) 8時~24時 600円/60分、以降300円/30分
営業時間:11時〜21時
定休日:不定休



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取材・文=レックス 二宮大輔

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