「自身の全数値が10倍に?」無職ストリーマー・なるおが直面した「スト6」人気!見据える“格ゲー界の発展”と“セカンドキャリア”を激白

2024年7月25日

人気爆発!「無職」→「DFM なるお」にジョブチェンジしたストリーマー・なるおさんに独占インタビュー

2023年6月2日に発売され、1周年を迎えたばかりの対戦型格闘ゲーム「ストリートファイター6」(以下、スト6)の影響により、大きな盛り上がりをみせている格ゲー界。全国各地で開催されるイベントや大会ではその勝敗だけでなく、高いエンタメ性とフェス感覚で参加できる臨場感と没入感が若者にも受け入れられ、その市場規模は日を追うごとに拡大している。

では、「スト6」が若者を魅了した理由は何のか…?要因としては、これまで格ゲーのイメージとしてあった“敷居の高さ”を払拭した簡易操作システム「モダン操作」の影響。そしてなにより、人気ストリーマーとプロゲーマーたちの交流によって生まれる“新しいドラマ&ストリーリー”による相乗効果が大きいだろう。

そんな成長著しい格ゲー界を牽引する人気ストリーマーのひとり・なるおさんもまた、この「スト6」の影響により自身を取り巻く環境の「全数値が10倍」になった!という渦中の1人である。

「ストIV」での40連敗の逸話から、脱サラして人気ストリーマーになるまでの軌跡、そして、この後に見定めるセカンドキャリアなど… “現在進行形”で歩むなるおさんの“ウィニングロード”について話を聞いた。

人気ストリーマー・なるおさんってどんな人?


ストリーマー・なるおさんのプロフィールを紹介!

<プロフィール>
自身のYouTubeチャンネル「なるおのひとりでできるもん」では、歯に衣着せぬ物言いで登録者数5.9万人、Twitchでも登録者数7.4万人(ともに7月24日現在)を誇る人気ストリーマーだ。プロゲーマーとしての活動経験はないものの、格ゲーの実力は折り紙つきで、数々の大会で強豪プレイヤーを撃破してきた実績から“最強の無職”と称されたことも。先日、DetonatioN FocusMe ストリーマー部門に所属することを発表し、「無職」から「DFM なるお」へのジョブチェンジを果たしている。


格ゲー歴25年の中で「なるお」が40連敗を喫した伝説の男とは?


――格ゲー歴はどれくらいですか?

【なるお】最初にプレイしたのは兄ちゃんとやったスーパーファミコンの「ストリートファイターII」だから、保育園の頃になります。格ゲー歴のなかでベスト「ストリートファイター」を選ぶとしたら、思い出補正も含めて「ストリートファイターIV」(以下、ストIV)ですね。ストIVでは、サガットでBP70万というダントツ全国1位の数字を残したマゴさんとの出会いが印象深いです。

――ぜひ詳しく教えてください。

【なるお】当時、ゲーセンの全国ランキング1位の選手として「マゴ」という名前が残されていて、「めっちゃ強いんだろうな〜」って思っているなか、たまたま横浜のゲーセンにマゴさんがやってきて、「うわっ、全国1位の人じゃん!」と思い、迷わず対戦を申し込みました。そしたらめちゃくちゃ強くて、そこから40連敗ぐらいしましたね…。「強すぎんだろ?この人…」「本物はこんなに強いんだ!」と感動したのを覚えています。

昔のストリートファイターの対戦はゲーセンでの対面なので、対戦後はテクニックを聞いたり格ゲー界隈の雑談をする文化があって、マゴさんにはそこから仲良くしてもらって、今では家に遊び行ったり交流させてもらっている関係です。

パチスロ好きでも知られるなるおさん。取材中もついついパチスロ店に引き寄せられ…


「スト6」人気でフォロワーや視聴者数などすべての数字が10倍に!


――ストリーマーになるまでの簡単な経歴を教えてください。

【なるお】2010年頃、ゲーセンで「キミ、横浜で強いらしいじゃん?ウチで配信やってみてよ」と、KSKさん(※)に声をかけられたのがきっかけです。ただ、その後に子どもを授かったり、仕事が激務だったために格ゲーや配信から遠ざかっていた時期もあって、ストリーマーとして本格的に活動するまで会社員を約8年ほどやっていました。
(※)総師範KSKさん:“ゲーム配信のパイオニア”でありレジェンドゲーマーのひとり

当時、ライブストリーミングサービスのMildom(ミルダム)をはじめて、「よし!脱サラして、それで飯を食っていこう!」と決意したのが本格的なスタートで、それが4〜5年ぐらい前の話です。でもストリーマーとして「ブレイクしたかな」っていう感覚を持てるようになったのはスト6が発売してからです。スト6以前と以後では「フォロワーや視聴者数などすべての数字が10倍になったので、まさにスト6様様です(笑)。

――スト6発売以後で思い出深いイベントは?

【なるお】“自分の認知度が上がった”と実感できたのは「CRカップ(Crazy Raccoon Cup)」です。

――「スト6」第1回CRカップではウメハラ(梅原大吾)さんによる“令和版・背水の逆転劇”といったドラマも生まれました。

【なるお】そういったさまざまなドラマが毎回生まれるこの大会を見て「ストリートファイターをはじめた」というリスナーの声も多く聞きました。自分にとっても、視聴者さんの数や反響が大きく変わったターニングポイントでした。

プロゲーマー・マゴさんとの思いでを笑顔で語ってくれた


――2024年6月2日で「スト6」が1周年を迎えました。今なおブームが続く理由は何だと思いますか?

【なるお】ストリーマーが継続的にプレイしている、そしてCRカップでもそうですが、「ユーザー+カプコン」という構図で、企業が大会を定期的に開催していることが人気の要因だと思います。それを観たユーザーは「やりたい!」「買いたい!」と思ってくれますし、演者も大会に向けて活動することで、ストリーマーたちのモチベ維持にも繋がっています。何より、大会やイベントに向けて「やろう!」と思い続けられる“ソフトとしての面白さ”がスト6の魅力です。

あと、以前の大会って割と“ガチ勢向け”でしたが、現在はランクマ別、ストリーマー限定、女性VTuber限定、最下層カップといった実力に応じたさまざまな大会が開催されていて、エントリーのハードルも下がっています。ライトな感覚で大会に参加できるのもよいと思います。

なるおさんが見据えるセカンドキャリアとは?


“孤高のリュウ推し”で存在感を見せるなるおさん、その理由とは?


――なるおさんといえば、多くの実力者がリュウを見限るなか、“孤高のリュウ推し”で存在感を見せています。それほどリュウを“推し”続ける理由とは?

【なるお】見た目も昔から好きなんですが、一番は梅原(大吾)さんの影響です。実は、ストIVで久々にストリートファイターを本格再開した際に、一番強い人の動画を観ようと思って出会ったのが梅原さんのリュウでした。

キャラはもちろん、プレイスタイルが「すげーカッコいい!」と思って、“本物のリュウ”はこんなに強かったんだ!っていう憧れと、オレもこうなりたい!っていう気持ちがさらなるモチベーションに繋がりました。

――2024年5月22日に豪鬼が追加された際、リュウにも調整が入りました。新たな武器となった「Dゲージ削り」について魅力を語ってください。

【なるお】リュウは5月22日の調整で相手の「Dゲージ」を大幅に削られるようになったんです。相手の「Dゲージ」を削ることでこちらの行動の幅を広げられるし、相手の行動を限定できるようになる。それってすごく面白い!他キャラには強コンボ、火力が高い、運びやすい、といった特徴がありますが、リュウの個性となった「Dゲージ削り」を活用すれば、かなり戦いが安定することがわかりました。

商店街を歩くと、今はすっかり少なくなった街角のゲーセンを思い出すのだそう…


――昨年のSFL(ストリートファイターリーグ※)での使用者ゼロ、今期のSFLも使用予定者がゼロという不遇の時代にいるリュウ。キャラ選択で迷っているリュウ使いに、彼らの迷いを解き放つメッセージをください。
(※)カプコン公式のチームリーグ戦

【なるお】他の人と同じ行動をしているとダメだと思います。いわゆる胴着系キャラは波動拳(↓↘→)、昇龍拳(→↓↘)を主軸に戦うのですが、リュウは「Dゲージ」を削るのに特化しているキャラなので、リュウらしく戦えば強いし、面白いので、“Dの破壊者=リュウ”を追求してほしいですね。そして、戦い方のレシピは僕の配信を見てください。リュウは基礎が詰まっているキャラなので、初心者の方にも優しいと思います。

格ゲー業界の衰退は自身の衰退にも直結する「運命共同体」


――格ゲーマーの今後、という部分でもお話しを聞きたいです。なるおさんはストリーマーとしてセカンドキャリアをどう考えていますか?

【なるお】ストリーマーをずっと続けられればよいですが、格ゲー業界が低迷すれば、おのずと自分達も低迷していく“運命共同体”だと思っています。今後はいろんなチームが参入して業界全体が大きくなって、プロゲーマーもストリーマーも若手が育って行くなかで、“コーチ”という立場から業界の発展に貢献できるような展開も考えつつ、格ゲー界隈の繁栄に尽力したいと思っています。

いま、自治体や企業が開催する「スト6」イベントが増えているなか、格ゲーの解説者の需要も高まっていると感じます。コーチ業だけでなく、ストリーマーで培った“わかりやすく楽しさを伝える”という技術を生かして、格ゲーの解説者を目指すことも考えています。

――大会を盛り上げるための“解説者の重要性”は、今後より注目されていきそうですね。

【なるお】「ゲーム業界はみんな友達」という和やかな雰囲気もあるので、「みんなが一緒に盛り上がれば最高!」というイメージで、若手が育つ環境作りを目指していきます。

格ゲーに魅せられ、格ゲーとの“運命共同体”を誓うなるおさん


――ありがとうございました!

取材協力:なるお(@moujaatumare)さん