【スト6】リュウはもう弱くない?15歳・Blazが“準優勝”で示した「3つの強み」をYASが徹底分析

2025年4月13日

コートを翻す姿が印象的なYASさん。強さと色気がにじむ1枚を紹介(全7枚)

チリの神童・Blaz選手の活躍を語るYASさん。リュウ使いとしての信念が滲む

「リュウは弱キャラ」――。そんな常識を覆す快挙が、世界最高峰の舞台で立て続けに起きた。

2025年3月に開催された『ストリートファイター6』の世界大会「CAPCOM CUP 11(以下、カプコンカップ 11)」で、チリの神童・Blaz選手(大会時15歳)がリュウを使って堂々の準優勝。さらに同年4月に開催された「Red Bull Kumite 2025」でも、同じくリュウ使いのEndingWalker選手(イギリス)が準優勝を飾り、日本における“リュウは弱キャラ”という風潮は大きく揺らいでいる。

今回は、国内屈指のリュウ使いとして知られるYASさんにインタビューを敢行。Blaz選手の「3つの強み」を軸に、リュウを取り巻く環境の変化と自身への影響を語ってもらった。

リュウの話になると、自然と目が輝く。そんなYASさんの素顔が見える1枚


■国内屈指のリュウ使い・YASさんが分析!Blaz選手「3つの強み」

――先日の「カプコンカップ 11」では、Blaz選手がリュウをメインに準優勝を果たしました。あの活躍を予想していましたか?

【YAS】予想外でした。チリのプレイヤーにBlaz選手という強プレイヤーがいることを知らなくて。

――そのダークホースが「カプコンカップ 11」で準優勝しましたが、YASさんから見たBlaz選手の強みとは?

【YAS】3つの要素に分けられるのかなって思っていて。まず1つは若さからくる圧倒的反射神経、いわゆる“人間性能”ですね。

(Blaz選手が主に使用する)リュウの技はリーチが短く、なかなか相手に触りに行けないんです。ただ彼はものすごい反応速度で相手の空振った技を差し返すので、相手も迂闊な技を振らなくなってくるんです。そうすると、相手の懐に一歩踏み込んで触りに行ける、そういう展開が多く見えました。

――一般的に、リュウ自体は前に出るキャラなんですか?それとも待ち構えるキャラ?

【YAS】リーチの長い技はあるにはあるんです。足刀(蹴り)だったり、大ゴス(※鳩尾砕き)だったり。でもそれって、上級者帯だと、見てから“ジャストパリィ”されちゃうんです。自分の場合だと大ゴスや足刀をジャスパ※ジャストパリィの略)される展開が多かったんですけど、Blaz選手はそれらの技をまったく使わずに一歩踏み込んで、(リーチの)ちょっと短い通常技で差しに行く、というシーンが見られました。あのレベル帯だと、リーチが長いけどリスクのある技は全然振らなくなるんだなと思いました。

――2つ目のポイントを教えてください。

【YAS】2つ目は読みの強さです。たとえば、起き上がりで無敵技を打つケースで、(Blaz選手は)ほとんどガードされることがなくて。Kusanagi選手とXiaohai(小孩)選手が戦った(UFA 2024)決勝でも思ったんですけど、(リュウが)勝っているときってOD昇竜がほとんど当たっていますね。実際、OD昇竜が8~9割当たるならまず負けないんです。でも、それを実戦でやり遂げるのはやっぱりすごい。そういう読み合いの強さはBlaz選手の強みだなと思いました。

――格ゲー歴の長いベテランは“読みも強い”というイメージがありますが、Blaz選手は15歳です。

【YAS】Blaz選手がベテランとの読み合いに勝ったのは、「型にハマっていない」からだとも言えます。格ゲー経験が長い人ほど「ここだったらパナさない(※)」「ガードされたら負けちゃうからパナさない」って思う場面でBlaz選手はパナすから、その分読みが通るところがあったんだと思います。普通は「OD昇竜打ったらバーンアウトする」と思って打つのを躊躇う場面でも、Blaz選手は迷わず打つ。そこが自分には無い部分かなと思います。
(※)パナす=ダウンしたあとなどに無敵技を“ぶっ放す”こと

――最後の3つ目は?


【YAS】メンタルです。見ていて緊張や動揺なんてまったく感じなかったですね。そう思った理由の1つに、(「カプコンカップ 11」Losers Round 2のblaz対xian 3セット目)ラッシュ中段から、“生(なま)”のSA3(※スーパーアーツLv3)を直接使っていたんですよ。それって理にかなっていなくて、火力も出ないですし、なんならミスする危険性も高いので、普通なら火力が出る簡単なコンボを選ぶはずなんですけど、恐らく“魅せたい”がために生SA3をぶっこんだんですよ。

――「カプコンカップ 11」で魅せプレイをしていた!?

【YAS】そうなんですよ。「この舞台でそれやるの!?」みたいな。火力やミスもそうだし、もしかしたら倒しきれない可能性もあった。見ていた大半の人は「足りないんじゃない?大丈夫?」って思っていたんじゃないかと。当のBlaz選手は、(SA3の)演出が出た瞬間に席から立ち上がっていて「まだ座れ!」って思った人が多いと思うんですけど、彼は倒しきるのを確信して喜んでいた。あの大舞台でそれができるメンタル、楽しめる余裕が多分一番の強みなんじゃないかな、と。

――失うものがない15歳ゆえの強みだと。

【YAS】緊張すると、場面場面もそうですし、全体を通してもいつも通りのプレイって本当にできないんですよ。自分も大会にはちょろっと何回か出たことがあって、自分でもわかるぐらい「いつも通りの動き」が出来なくなるのを実感します。波動拳が打てなかったり、対空昇竜が出せなかったり、「相手が飛んでくるんじゃないか」みたいなことを考えるとリスクの高い技選択ができなくなって、後手に回りがちになったり。Blaz選手のプレイを見ていてそういう緊張は感じませんでした。

――今回の準優勝で世界から追われる立場になり、彼の中で変化があるかもしれないですね。

【YAS】そうですね。どうなっていくのか楽しみです。

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