【万博国際交流プログラムレポート/アフリカ編02】大阪府松原市、秋田県にかほ市、兵庫県南あわじ市とアフリカ各国の交流の様子

2025年3月7日

いよいよ2025年4月13日(日)に開幕が迫る「2025年日本国際博覧会」(通称:大阪・関西万博)。この大阪・関西万博の開催を前に、そこに参加する国や地域との相互理解や国際交流を通じて、地域の課題解決や活性化を図る取り組みを内閣官房が支援する「万博国際交流プログラム」が実施されている。

日本の参加自治体は、地域住民などと交流相手国の万博関係者や出身者との交流事業を通して、万博の理念や共通の課題等への理解を深めるための事前学習を行ってきた。そこで、この記事では「万博国際交流プログラム」を活用した自治体による、アフリカ各国との交流事業をレポート。今回は、大阪府松原市、秋田県にかほ市、兵庫県南あわじ市の取り組みを紹介する。

【大阪府松原市✕タンザニア連合共和国】アーティストと子どもたちによるティンガティンガ教室と作品展示会

大阪府松原市では、2024年8月7日~11日にかけて、タンザニア連合共和国から招いたアーティストによる、ティンガティンガ教室を実施。「松原市立松原中学校」を会場に、小学5年生~中学3年生の150人が参加した。


ティンガティンガとは、1960年代にタンザニアで生まれた、あざやかな色使いが特徴のポップアート。エナメルペンキや建材の板などを用いて、サバンナの動物や風景、幾何学模様を描くことが多い。


ティンガティンガ教室は、ティンガティンガアーティストの指導のもと2日間にわたって行われ、エナメルペンキで布に絵を描き、太陽光で乾かすという行程を繰り返した。2024年8月9日~11日には、「ハンズマン松原店」にてティンガティンガの展示会も開催。アーティストによる作品のほか、松原市の子どもたちが描いたティンガティンガも展示された。


また、2024年8月9日には、松原市人権交流センター「はーとビュー」にて、交流会を実施。タンザニアの子どもたちが、日本の子どもたちに向けて自国の紹介を行うなどで交流した。子どもたちは異なる文化を肌で感じることができ、多文化理解とともに海外に興味を持つきっかけとなったようだ。


今回のティンガティンガ教室や交流会を通して、今まで全く関係を持っていなかったタンザニアと関係を持つことができ、子どもたちの国際理解にもつながった模様。なかには万博へ行った際に、「タンザニアのパビリオンを観に行く!」と言っている参加者もいるとのこと。


万博期間中には、今回のイベントに参加した子どもたちがパビリオンを訪問し、ナショナルデーにも参加予定。万博閉会後も、松原市市庁舎にティンガティンガの展示を行うなど、タンザニアとの関係を続けていくそうだ。

【秋田県にかほ市✕リベリア共和国】陸上オリンピアン・駐日リベリア大使関係者交流

秋田県にかほ市では、2024年10月31日~11月3日にかけて、東京2020大会ホストタウンとして関係を築いてきたリベリア共和国の駐日リベリア大使館関係者および陸上競技オリンピック選手を招き、交流会を実施。これまでオンラインで交流を実施してきたリベリア共和国の人たちと、互いに希望していた対面交流が実現した。

リベリア陸上オリンピアン招へい交流

「にかほ市立院内小学校」では、5・6年生を対象に、リベリア共和国のオリンピアンと一緒に走ったり、給食を一緒に食べたりするなど、積極的な交流が行われた。昼休みには全校児童に囲まれて握手や鬼ごっこをするなど、子どもたちにとっても貴重な交流の機会となったようだ。


陸上教室では、オリンピアンからスタートの仕方や走り方のコツなど専門的な指導を受け、小学生~高校生の子どもたちが真剣に学んでいた。また、健康交流会では、インターバル速歩の会員と一般市民が参加し、オリンピアンが普段実施しているウォーミングアップやクールダウンと、にかほ市民が実施しているインターバル速歩を一緒に体験し、楽しんだ。


駐日リベリア大使館関係者招へい交流

駐日リベリア大使館関係者を招き行われた交流事業では、「秋田県立仁賀保高等学校」にて、全校生徒と大使が対話型の講演会を実施し、生徒が積極的に質問や発表を行った。また、生徒4人が英語で市内名所観光の案内を行った。


そのほかにも、にかほ市の食材を使った料理とリベリア共和国の料理を、市民や学生と一緒に作り、食の交流を実施。また、大使たちは「にかほ市民文化祭」を見学し、小物づくりや茶道の体験を通して市民と触れ合った。手芸団体は、東京2020大会時に手作りのみやげを届けた団体でもあり、思い出話で盛り上がったそうだ。なお、交流の際は国際教養大学の学生が大使たちと市民の間に入り、細かいところまで行き届く通訳を行った。


食の交流や文化祭では、高校生・大学生・市民が、リベリア共和国の大使たちに気軽に声を掛け楽しんでいる様子が見られた。人種や言葉の壁を超え、お互いの文化を知る機会となり、多様性の理解促進につながるイベントとなったようだ。


万博期間中のリベリアナショナルデーでは、ダンス交流や仁賀保高校生との交流を実施予定。その後も、陸上や柔道、ダンスなど、オンラインでのスポーツ交流を続けていくそうだ。


【兵庫県南あわじ市✕南アフリカ共和国】アフタースクールでの文化講習

兵庫県南あわじ市では、2024年11月6日~2025年2月12日のうち5日間で、南あわじ市教育委員会が行う「アフタースクール事業」と連携し、南アフリカ共和国の食文化や歴史学習のほか、同国の小学校とのオンライン交流事業などを行った。自分たちの住む淡路島での“地チーズ”作りを体感するために、淡路島牛乳を使ったチーズ作りも体験した。


まずは、南アフリカ共和国について学ぶ基礎講座や、同国の遊びを体験する教室などを実施した。また、南アフリカ共和国視察にて撮影をした動画や写真を直接発表。現地の動物にまつわる絵本や食文化を伝えるみやげも披露した。


淡路島牛乳でチーズを作る体験では、最初に南アフリカ共和国ではワイン製造が盛んで、日本よりもチーズの種類が豊富であることを紹介。次に、南あわじ市の代表的な食産業である乳製品についても、製造工程や歴史を学習。その後、実際に自分たちで作ったチーズを試食し、そのおいしさを体感した。


また、南アフリカ共和国の小学校とオンラインでつなぎ、現地の子どもたちの様子や、日常の暮らしをライブ配信。そのあとは質疑応答の時間も設けられ、交流を行った。最終日には、南アフリカ共和国在住の板垣さんより、同国での暮らしぶりや現地の小学校との文化交流についての講演があった。

この事業を通して、南アフリカ共和国と南あわじ市の間では、食文化を軸とした持続的な関係構築を約束。特に、子どもたちの異文化理解の促進や、地域事業者の国際展開支援においては、新たなビジネス機会の創出といった成果もあったようだ。


残念ながら南アフリカが万博への参加を辞退したため、2025年度の万博国際交流プログラム事業の継続はできなくなったものの、2024年度に築き上げた在南アフリカ共和国日本大使館との関係を活かし、交流自体は継続していく予定のようだ。

なお、今後も南あわじ市ではアフタースクールでの文化講習を発展させ、オンライン交流と実地交流を組み合わせた、より充実した教育コンテンツを提供予定。年間を通じた国際理解教育プログラムとして確立することを目指していくという。

さまざまな国について、さらに知りたいと思ったら万博へ!

ここで紹介した以外にも、「万博国際交流プログラム」を活用して、アフリカ諸国を含むさまざまな国との国際交流を実施した自治体は多数あり、各地でさまざまなイベントが行われた。「大阪・関西万博」は、2025年4月13日(日)〜10月13日(祝)の184日間で開催される。各国の多様な文化に興味を持ったならぜひ万博に足を運んで、さらなる理解を深めてみてはいかがだろうか?


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