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いよいよ2025年4月13日(日)に開幕が迫る「2025年日本国際博覧会」(通称:大阪・関西万博)。この大阪・関西万博の開催を前に、そこに参加する国や地域との相互理解や国際交流を通じて、地域の課題解決や活性化を図る取り組みを内閣官房が支援する「万博国際交流プログラム」が実施されている。
日本の参加自治体は、地域住民などと交流相手国の万博関係者や出身者との交流事業を通して、万博の理念や共通の課題等への理解を深めるための事前学習を行ってきた。そこで、この記事では「万博国際交流プログラム」を活用した自治体による、アフリカ各国との交流事業をレポート。今回は、大阪府高石市、愛媛県、広島県広島市の取り組みを紹介する。
【大阪府高石市✕マダガスカル共和国】万博スペシャルサポーター帆船来航イベント
大阪府高石市では、2024年10月5日にマダガスカル共和国の人々を招き、万博スペシャルサポーターである「帆船 BLUE OCEAN みらいへ」船上での交流イベントを実施。900人を超える応募者の中から選ばれた、市民250人が参加した。

「帆船 BLUE OCEAN みらいへ」は日本で唯一、一般客が自由に乗船できる大型帆船。大阪・関西万博のスペシャルサポーターに任命され、全国各地の港で万博の魅力を伝えている。

高石市とマダガスカル共和国は、ともに美しい海の恵みによって繁栄した地域。今回の来航イベントはそんな共通点をきっかけに実現し、マダガスカル共和国の人々による歌やダンス、音楽などを通して市民と交流。在日マダガスカル人を中心に、アフリカの音楽家が船上にて演奏を行い、参加者とともにダンスを楽しむなどした。

今回のイベントには高石市長をはじめ、近隣の泉大津市や忠岡町、また大阪府からも来賓参加があった。高石市は家族で参加する市民が多かったことにより、万博での国際交流のあり方がよくイメージできたと感じているようだ。

「大阪・関西万博」の開催決定をきっかけにスタートした、高石市とマダガスカル共和国の交流事業。今回の取り組みを機に、高石市は「ふるさと納税」の返礼品としてマダガスカル共和国のバニラビーンズを活用。地元事業者による新しいスイーツの開発を進めるなどして、今後も交流を続けていきたいと考えているようだ。
【愛媛県✕モザンビーク共和国】万博国際交流フォーラム
愛媛県では、2025年1月26日に「松山市男女共同参画推進センター COMS」(愛媛県松山市)にて、「万博国際交流フォーラム」を実施。モザンビーク共和国の人々を招いて、市民80人へ基調講演やパネルディスカッション、団体活動発表、音楽アトラクションを行った。
まずはモザンビーク共和国陳列区域代表のリドゥアン・イスマエル・アダモさんによるあいさつで開幕。モザンビーク共和国のパビリオンや、万博へ参加する意義などについて紹介した。基調講演では、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会持続可能性局長の永見靖さんによる、大阪万博の魅力や持続可能な社会に向けた国際交流についての講和があった。

また、モザンビーク共和国からの留学生と永見さん、NGO団体関係者が登壇し、モザンビーク共和国との交流や現地での経験、万博への期待、万博を通じた国際交流などに関するパネルディスカッションが行われた。イベント終盤には、現地の楽器「ティンビラ」によるミニコンサートも開かれ、一体感に包まれた会場は大いに盛り上がったそうだ。


なお、同時開催された文化・食体験に関するサイドイベントでは、モザンビーク共和国の民族衣装に用いられる「カプラナ布」の試着体験や、モザンビーク料理教室と試食会などが行われ、多くの親子が楽しんだ。


イベント後のアンケートでは、「モザンビーク共和国に興味を持った」「大阪・関西万博へ行ってみたくなった」との回答が多く、万博への期待感が増したようだ。愛媛県は今回のイベントを通して、モザンビーク共和国とのつながりが持てたと成果を感じており、2025年度も万博国際交流プログラムを活用して、ミュージシャンや武器アーティストといった芸術家をモザンビーク共和国から招き、交流事業を続けていきたいと考えているそうだ。

【広島県広島市✕カメルーン共和国】「バウムクーヘンの日」啓発イベント
広島県は、“日本国内におけるバウムクーヘン発祥の地”として、新たなバウムクーヘンを創造し、広島の新名物として世界へ発信することを目指している。「広島バウムクーヘン振興協議会」が中心となって取り組むこの啓蒙活動の一環として、2025年2月22日に広島県広島市の「アルパーク」にて、「バウムクーヘンの日(3月4日)」の啓発イベントが行われた。72人の市民参加者に加えて招待されたのは、カメルーン共和国の人たちだ。

1982年に当時の広島市長の呼び掛けで始まった、反核運動を促進する世界の自治体で構成される国際機構「平和首長会議」。カメルーン共和国は、この加盟都市数がアフリカ各国の中で最も多い。このことから、平和文化を通じた交流を推進するために今回のイベントへ招待された。
イベントでは、小学生とその保護者30組を公募。子どもたちは、保護者にプレゼントするバウムクーヘンとメッセージカードを作るワークショップに参加した。子どもたちのバウムクーヘンづくりをサポートしたのは、在日カメルーン人協会のエルビス副会長とネビさんだ。

子どもたちがバウムクーヘン作りにチャレンジしている間、保護者たちはカメルーン出身の漫画家・星野ルネさんと、児童書「バウムクーヘンとヒロシマ」の著者・巣山ひろみさんによるトークショーを聴講。星野さんが両国を行き来するなかで知った、カメルーンと日本の子どもたちの共通性など、ここでしか聞けない話が繰り広げられた。


今回の交流イベントを通して、カメルーン共和国の国民食と言われるキク科の植物「ンドレ」を活用した、新たなバウムクーヘンを開発することを今後の目標とした。広島市内の菓子事業者とピエール・ゼンゲ駐日カメルーン大使とで意見交換を行い、試作品の開発に着手することとしている。その進展によっては、両国の経済面での効果も期待できるだろう。

万博期間中は、カメルーンとの交流に係る重点イベントとして、2025年9月16日(火)の「カメルーンナショナルデー」に、日本におけるバウムクーヘン発祥の地「似島」(広島県広島市)の中学校生徒が万博会場を訪問予定。そこで「ンドレ」を使ったオリジナルバウムクーヘンの披露を計画しているそうだ。
さまざまな国について、さらに知りたいと思ったら万博へ!
ここで紹介した以外にも、「万博国際交流プログラム」を活用して、アフリカ諸国を含むさまざまな国との国際交流を実施した自治体は多数あり、各地でさまざまなイベントが行われた。「大阪・関西万博」は、2025年4月13日(日)〜10月13日(祝)の184日間で開催される。各国の多様な文化に興味を持ったならぜひ万博に足を運んで、さらなる理解を深めてみてはいかがだろうか?
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