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いよいよ2025年4月13日(日)に開幕が迫る「2025年日本国際博覧会」(通称:大阪・関西万博)。この大阪・関西万博の開催を前に、そこに参加する国や地域との相互理解や国際交流を通じて、地域の課題解決や活性化を図る取り組みを内閣官房が支援する「万博国際交流プログラム」が実施されている。
日本の参加自治体は、地域住民などと交流相手国の万博関係者や出身者との交流事業を通して、万博の理念や共通の課題等への理解を深めるための事前学習を行ってきた。そこで、この記事では「万博国際交流プログラム」を活用した自治体による、アフリカ各国との交流事業をレポート。今回は、大阪府南河内地域の4市、奈良県橿原市、鹿児島県三島村の取り組みを紹介する。
【大阪府・富田林市・羽曳野市・藤井寺市・大阪狭山市✕エジプト】「エジプトフォーラム」
2025年1月18日、大阪府・南河内地域に属する富田林市、大阪狭山市、藤井寺市、羽曳野市の4市が合同で「エジプトフォーラム」を開催。4市の市民447人が参加し、エジプトについての理解と関心を深めるフォーラムが行われた。

南河内地域の4市は、それぞれ古墳群を有するなど古来の歴史と文化に恵まれた土地でありながらも、今まで観光については特段力を入れてこなかった。そこで、今回の「大阪・関西万博」を契機にインバウンド需要を増やすべく、エジプトと交流事業を行うにいたった。

「すばるホール」(大阪府富田林市)で行われたイベントでは、まずエジプト出身タレントのフィフィさんが登壇。イスラム社会の魅力と不思議、イスラム社会と文化などについての講演が行われた。また、2025年日本国際博覧会協会副会長のウスビ・サコさんと、古代エジプト文明専門家である金沢大学教授・河合望さんの対談も実施。南河内地域4市とエジプトの共通点などを中心に、トークセッションが繰り広げられた。

さらに、エジプト雑貨の物販ブースも設けられ、商品の使い方などについて販売者と参加者が会話を楽しんだ。エジプトの文化に触れることができた参加者の笑顔が印象的なイベントとなったようだ。
今後は、「大阪・関西万博」へ来場するエジプト関係者に南河内地域にも足を運んでもらうべく、万博会場との近さを活かして策を講じているところだ。また、2025年7月23日(水)の「エジプトナショナルデー」には、多くの市民に万博へ参加してもらうことを目指していくという。

今回の交流事業を経て、これからは観光にも力を入れていきたいという南河内地域の4市。世界で、エジプトのピラミッドと「百舌鳥・古市古墳群」(大阪府堺市)が同格で語られることを目指すという、大きな目標を掲げた。
【奈良県橿原市✕ブルキナファソ】オペラに関する講演と練習会
奈良県橿原市では、2025年1月25日にオペラに関する講演と練習会を開催。「大阪・関西万博」にてブルキナファソを代表してオペラを上演するモイス・コンボルボさん、藤家溪子さんを講師として「橿原市立金橋小学校」に招き、講演や授業参観、給食を通じた交流を行った。


全校生徒468人が集まった体育館で、ブルキナファソの国や文化を紹介。動画による歌や踊りの解説、クイズ大会なども実施され、講演会は大いに盛り上がった。また、モイスさんと藤家さんは、子どもたちが学ぶ姿を見学したほか、一緒に給食を食べるなどした。

なお、同日には2025年8月4日(月)の「ブルキナファソナショナルデー」に上演されるオペラへの出演生徒を募集。54人の児童が集まり、モイスさん、藤家さん、パフォーマーの大橋武司さんを講師として招いて、オペラの練習を行った。児童を4つの班に分け、それぞれのチーム内で相談しながらオリジナルダンスを考案。また、曲「平和を築こう」の歌と振り付けを教えてもらいながら練習した。


万博期間中は、会場内での文化交流イベントや合同ワークショップを実施し、ブルキナファソの人々と直接交流できる場を設ける予定。伝統音楽やダンスといった体験型プログラムを通じて、児童が異文化をより身近に感じられる機会を創出するとのこと。



将来的には、ブルキナファソとの交流を教育カリキュラムにも組み込み、次世代の国際感覚を育成する取り組みを進めようと計画中。これにより、子どもたちの国際感覚を養い、グローバル社会で将来的に活躍できる人材の育成につなげるとともに、地域全体で多文化共生の意識を高めることを目指しているようだ。
【鹿児島県三島村✕ギニア共和国】両大使の視察・交流とジャンベワークショップ
アジア初となるジャンベスクールが開校するなど、ギニア共和国との深いつながりを持つ鹿児島県三島村。2005年に愛知県で開催された「愛・地球博」(2005年日本国際博覧会)の「ギニアナショナルデー」では、ギニア共和国から訪れたジャンベ奏者と三島村の子どもたちがセッションを行ったほか、「三島村ジャンベ留学制度」を設けるなど交流をした実績がある。ジャンベとは、ギニア共和国をはじめとする西アフリカで親しまれる伝統的な打楽器。1994年にギニア共和国からジャンベ奏者が三島村を訪れて演奏を行って以来、今日まで関係を続けてきた。

そんなつながりを持つ三島村とギニア共和国が、「大阪・関西万博」を前に、双方のさらなる理解を深めるため交流事業を計画。在日ギニア大使と、在ギニア日本大使による現地視察を予定していたが、悪天候によりオンラインでの交流会に変更となった。その際ギニア大使から、「ジャンベを通してギニアの魅力を日本全国へ広めてほしい」とのコメントがあった。

また、在日ギニア人によるジャンベワークショップも開催。実際にギニア人からジャンベやダンスを直接習う機会ができたことで多くの村民が参加し、村内でのジャンベ振興は大幅に推進されたそうだ。

今回の交流事業のなかでは、「ジャンベ以外にも、たくさんのギニア文化を知ってほしい」との要望があった。たとえば、ジャンベの演奏スタイル。現在のギニアではダンスがメインで、ジャンベがそれに合わせて盛り上げる「バレエスタイル」が主流だという。そのほか、食べ物や装束、言語、あいさつの仕方1つ取っても日本とは違い、ギニアを知るべき項目は多数あると感じたようだ。

今後もこれまで通りギニア共和国との交流を続けつつ、ギニアの今、そしてギニアの人々の思いを、万博に参加しない村民にも伝わるよう、村の広報誌に掲載する形で還元する予定だ。
さまざまな国について、さらに知りたいと思ったら万博へ!
ここで紹介した以外にも、「万博国際交流プログラム」を活用して、アフリカ諸国を含むさまざまな国との国際交流を実施した自治体は多数あり、各地でさまざまなイベントが行われた。「大阪・関西万博」は、2025年4月13日(日)〜10月13日(祝)の184日間で開催される。各国の多様な文化に興味を持ったならぜひ万博に足を運んで、さらなる理解を深めてみてはいかがだろうか?
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